迫り来る嵐

劇場公開日:

迫り来る嵐

解説

経済発展に向けて社会が激変した1990年代後半の中国を舞台に、殺人事件の捜査に取り憑かれた男の運命を描いたサスペンスノワール。小さな町の古い国営工場で警備員を務めるユィ・グオウェイは、泥棒検挙で実績をあげ得意になっていた。ある日、近所で若い女性を狙った連続殺人事件が発生。刑事に憧れるグオウェイは勝手に捜査を進め、犠牲者のひとりに似た女性に出会い接近するが……。テレビドラマ「項羽と劉邦」のドアン・イーホンが主演を務め、「修羅の剣士」のジャン・イーイェンが物語の鍵を握るヒロイン役を演じた。2017年・第30回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、最優秀男優賞(ドアン・イーホン)と最優秀芸術貢献賞を受賞した。

2017年製作/119分/G/中国
原題または英題:暴雪将至 The Looming Storm
配給:アットエンタテインメント
劇場公開日:2019年1月5日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14

(C)2017 Century Fortune Pictures Corporation Limited

映画レビュー

5.0変化に取り残された人たち

2019年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

97年の香港返還は、中国にとって大きな転換点だった。香港側から見た返還を描いた作品はこれまであったが、中国側の視点で描かれた作品はあまりなかった。香港返還と前後して、中国は大きな経済成長期に入ったが、その急激な成長が市井の人々にもたらしたものが富だけではなかったことがうかがえる作品だ。

簡潔に言うと、急速な社会の変化によって漠たる不安が社会を覆っていたのだ。その不安が動機不明の猟奇殺人として噴出し、その事件に翻弄される人々を本作は描いている。主人公の男は、今のままでいいと思っているが、変化は否応なくやってくる。男と思いを寄せる、流れ者の女は香港を希望の土地だと信じている。変化への不安と期待が人々の中に入り混じっていたのだ。
97年には巨大な製鉄工場だった場所が10年後には、ショッピングモールに変わっているのも中国の変化を象徴的に表している。その変化に身も心も取り残された主人公のような人は、おそらく中国にたくさんいたのだろう。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
杉本穂高

3.5本当の意味はわからなくても面白かったよ

2024年3月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

主人公ユィが刑務所から出所するところから物語は始まる。
彼はどんな罪で投獄されていたのか、殺人?暴行?もしかしたら濡れ衣かも?
表情は穏やかなように見えるが、不穏な雰囲気もある。
と、ここで時は遡り連続猟奇殺人の現場へ。

犯人を上げることこそ自分の価値を証明することだと疑わず突き進む男は次第に泥沼にハマっていくサスペンスで面白かった。
とりあえず良かったとだけは先に書いとかなきゃいけない。

物語が半分くらい進んだところで、設定、描写、不必要そうな場面などで、コレってもしかして中国という国、または中国政府を批判するような作品なんじゃないかと気付き始めた。
終盤になるにつれその予想は強まっていき、エンディングのテロップが出たところでほぼ確信した。

アメリカや日本など、自国や政府を批判するような作品を作っても特に問題にならない国はストレートにそういう作品を作るが(日本の場合は作品自体があまりないけど)そうではない国やそうではない年代に作られた作品の場合、比喩的に批判したり間接的に批判する作品を作る。
本作「迫り来る嵐」は十中八九それ系の作品だろうと思う。

表彰、工場の閉鎖、工場の爆破、降り続く雨、大寒波、怪しいシーンはとても多い。
最後のテロップ、主人公の境遇、行動、20元、買収、考え出したらきりがない。もうストーリーのための出来事なのか何かを暗示する出来事なのかも判断できない。

で、ここで大きな問題に直面する。
この手の作品の場合、ある程度描かれている国に対して製作者と共通認識をもっていないといけないが、私は中国にも政府にも党にも詳しくないし興味も薄い。
なので、漠然とした何かを感じとることはできても具体的にどういった事を言っているのかまでは理解が及ばない。
簡潔に言えば「わからん」なのだ。

とりあえず97年と08年に中国で何らかの変化があった事だけはわかった。
どう変化したのか、何が問題なのかまではわからん。知識不足ですね。
本当の意味が理解出来たら傑作なのかもしれないなと思う。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
つとみ

2.0期待したのだが。

2021年2月8日
iPhoneアプリから投稿

「殺人の追憶」の傑作の所以たるサスペンス喜劇社会派の超絶バランスを、無理に社会派側に寄せつつ模した、一見重厚そうな凡作。
終始雨天の銀残し的薄暗い画も、肝心な所の説明不足も、重厚に見せんが為の打算的演出に映る。
期待したのだが。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
きねまっきい

3.5【時代に翻弄され、遣り過ぎてしまった”自警警察”の末路。】

2020年5月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

悲しい

怖い

難しい

ー1997年 中国の鉄鋼工場のある小さな町が舞台の物語。雨が降り続く、陰鬱な風景の中、若き女性の連続殺人が起こるが・・。-

 中国の時代の変化をモチーフに、一人の男、ユィ・グオウェイ(ドアン・イーホン)が”人を捜査し、優越感に浸る”事に執着しすぎて、何時の間にか狂気の淵に立ってしまう姿を、ドン・ユエ監督は描きたかったのだろうが、”色々と”気になってしまった作品。

 ・ユィの独りよがりの”捜査”の”犠牲”になった、ユィを師匠と呼ぶリウの工場の高所から落下する姿や、犯人扱いされた男の姿、恋人のイェンズ(ジャン・イーェン)の姿など、観ていて暗鬱な気分になる。

■印象的なシーン
 ・イェンズのセリフ”香港へ頻繁に行けるようになると思う?”
 ・2008年 釈放された・ユィが老いさらばえたジャン警部を訪れるシーン
 ・2008年 且つて働いていた国営鉄鋼工場が爆破される様子を遠目に眺める人々の姿

<監督がこの作品で表現したい事は何となく分かる気がするが、ストーリーテリングが上手くないため、焦点がぼやけてしまったと思われる作品。
 但し、作品が醸し出す”中国の時代の変遷についていけない人々の気持ち”を代弁するが如きの暗鬱な雰囲気は、良かったかな。>

<2019年1月6日(日) 京都シネマにて鑑賞>

ー良く、分からない部分が多数あったので。ー

<2020年5月27日(水)別媒体にて再鑑賞>

コメントする (0件)
共感した! 2件)
NOBU