「天才少女の成長物語」マイ・プレシャス・リスト odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
天才少女の成長物語
IQ185の天才少女の成長物語といってもピンときませんが、名作が多いリストものなので鑑賞。
主人公の愛読書サリンジャーの「フラニーとゾーイー」に象徴されるように思春期に直面する理想と現実の葛藤が暗喩されるが実はもっと単純に思えます。
正直、IQが高くても初めての男性が不誠実だと男性、ひいては世の中に失望する典型例なのかもしれません。
まだまだ大人になれないキャリーをベル・パウリーが実にキュートに好演、金魚のエピソードはおかしいし自分も失敗することを自覚させてくれる、教授に父親がパンチをお見舞いするのも意外性があって秀逸でした。
価値観が似ていて誠実で優しい人なんてなかなか見つかるものではないのですが、そこは映画なので一見胡散臭いお隣さんが実は運命の人、やっぱり話してみなくては人は解りませんね、「彼は昨日引っ越したよ」のドッキリを入れる遊び心も監督はお茶目ですね。
ミドルネームの伏線回収もお見事でした、ミドルネームなんて洗礼名くらいの覚えだったが家系を表したり特別なリスペクトだったり国や文化で異なるらしい、したがってミドルネームを尋ねることはその人に特別な関心があるということに繋がるらしい。
女性監督ものは感受性が豊かで上品な部類の作品が多い印象で特にナンシー・マイヤーズさんなどは基本でてくる人は皆善人でハートウォームな作品が多くお気に入りなのですが、本作も全く同じティストがするので不思議に思い調べてみると実は共通するプロデューサーのスザンヌ・ファーウェルさんの存在、彼女の貢献度が大きかったのかも知れませんね・・。
名作の多いクリスマス映画の範疇なのでしょう、忙しい人々も束の間、優しさや敬虔な気持ちに惹きこまれる不思議なシーズン、珠玉の小品でした。