「【名匠、白石和彌監督は、たまーに迷走される・・。”愛しのサニー様”の様に・・。】」サニー 32 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【名匠、白石和彌監督は、たまーに迷走される・・。”愛しのサニー様”の様に・・。】
ー 白石和彌監督が、世に名を轟かせた「凶悪」を発表したのが、2013年。
実際に有った北関東での怖ろしき事件を、見事にエンターテインメント作品に昇華させた。劇場で観た衝撃は今でも忘れ難い。
その後も「日本で一番悪い奴ら」で、綾野剛の熱演もあり、その実力は本物であると認識した。
更に「彼女がその名を知らない鳥たち」で、蒼井優さんと、阿部サダヲさんの魅力を十二分に引き出した、秀作を世に出した。
で、今作である。脚本は「凶悪」と同じ、高橋泉。そして、役者は同じくピエール瀧とリリー・フランキーである。更に、門脇麦さんも出演である。
胸を弾ませて、劇場に向かった・・。ー
◆当時の資料を手元に置きながら、再度鑑賞したが・・
■困った点
・主演の中学校教師、藤井明里を演じた、北原里英さんに、引きつけられるものがない・・。(ファンの方々すいません・・)
・ストーリー展開が破天荒なのは良しとしても、粗すぎる。誘拐された人が、誘拐した人々の”教祖”になって行く過程の描き方が・・。
・本当のサニー(門脇麦)との、直接対決が、画面上でしかなく、サニーがなぜあのような事件を、幼き時に起こした理由の描き方も浅い。
・事業自得の方(刺された医者)や、巻き込まれた人々(カップル)も含めて、あっさりとドンドン殺されていく過程も非常に浅く描かれる。
<鑑賞後、”何かの間違いだろう・・”と言う事で、レビュー(鑑賞記録)すら残さなかった作品。もしかしたら・・、と思って、今回、別媒体放映を鑑賞したが・・。
だが、その後、白石監督は「止められるか、俺たちを」で、門脇麦さんを主演に据え、若松監督を演じた井浦新さんの魅力も十分に引き出した作品で復活し、
近年の邦画の傑作の一作である(断言する!)「孤老の血」で”矢張り、天才である”と、再認識したと思ったら、
「麻雀放浪記2020」で、アラララ・・。
けれど、その後、香取慎吾さんのダークな面を引き出した「凪待ち」そして、田中裕子さんを始めとした現代邦画を代表する役者さんの魅力を引き出した、「ひとよ」で存在感を示し・・。
どんなに優れた才能を持つ監督でも、たまにはトンでも作品を出すのだなあ・・、と久々に再度鑑賞し、思った作品でもある。>
■蛇足
・劇場公開時には、ショックの余り覚えていないのだが、エンドロールに”秋元康”の名が・・。
そういう事だったのか・・。演技経験が殆どない方を主演に据えたのは・・。
<2018年2月18日 劇場にて鑑賞>
<2020年11月22日 別媒体にて再度鑑賞>