「観衆はきっといい人。」モリのいる場所 鯖さんの映画レビュー(感想・評価)
観衆はきっといい人。
映画を観る際、映画館という環境も含めて考えていました。
もしも 1人で観るならば、この映画はつまらないかもしれません。
しかし、映画を観る環境条件が自分の直感とリンクすれば、これはユジクで見れて良かったと思う作品です。
1人で映画を観れば、映画の情報を自分1人だけで処理してしまいますが、映画館という場であれば情報の共有が可能です。
私がこの作品を観た時、オーディエンスは殆ど高齢者でした。高齢者をバカにする訳ではありませんが、この人達は最近の映画のセンスについて来られるのか心配になりました。
しかし、この作品はむしろ彼らのセンスに合う作品のようでした。作中の散りばめられた 小さな笑いは会場の雰囲気も作り出しました。
そうか!そういう映画の見方もあるのか!
私は映画を単純な娯楽だと考えていた故に、映画論や技術論にあるような 方程式でもって映画を観ようとしていたきらいがありました。
映画を観る環境を作る映画 という考えはありませんでした。映画はひとつのモノとして、完全に独立する必要があると。
しかし、ユジクの会場で観た和やかな雰囲気はこの作品とマッチングしており、観衆のささやかな笑い声は 映画を観る私のスタンスそのものに彩りを与えました。
つまり、映画 は一概に映画そのものの中で行われる効果だけで完結されるものではなく、周辺環境の在り方が 演出 としてプラスされるのです。
映画の鑑賞の仕方にアクセントもつき、なかなか良い体験をさせていただきました。
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