スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
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優しさとは…
もしミズーリ州に住む第三者としてこの事件を概観するとしたら、やはり3枚の広告は立てるべきものではなかった、そう思うのだろう。この母の怒りを発端とした出来事が、次々に二次災害を生んでいったように思えてしまう。結果だけをみると、大変登場人物それぞれが惨めな状態に陥ってしまったようだ。
しかし終わり方を含め、思い起こされるシーンの一つ一つは大変美しい。自分を重傷にした加害者に差し出すジュース 自分が大切に思うものへの手紙、犯人を突き止めるために奔走する元警官。
それらは、(宗教ちっくな響きだが)自分への見返りを求めない他者への優しさに満ちた行為だ。そういった行動が、怒れる登場人物たちの考え方をじわりと変えていったように思えた。対照的に描かれる、怒りを発端とする暴力的な行動は、全て人を不幸に陥れてしまっている。
大切なのは慈悲の心なのだ、とラストのシーンに語りかけられた気がした。それを思えば、賛否は両論だろうが、3枚の看板は立てる必要などなかったのかもしれない。
琴線に触れるかは観る人次第。想像を絶する悲しみの果てに。
【賛否両論チェック】
賛:娘を奪われた母親の悲しみが、人々の心に一石を投じ、止まっていた歯車が少しずつ動き出していく様が、重々しくも人間らしさを感じさせる。
否:主人公の人柄や行動は、見方によってはかなり利己的で、受け入れられない部分も多い。終わり方もやや消化不良か。
一言でいうと、「ザ・観る人を選ぶ映画」です。
愛娘を殺された母親の悲痛な叫びが、狭い町の人々の閉鎖的な心に一石を投じる重厚な作品ともいえます。一方で見方によっては、母親の行きすぎた言動によって、町に生じた不協和音が大きな歪みを生んでいくという、観ていてどこか不快な印象を受ける向きもあると思います。
いずれにしても、観る人によって受けるイメージが全く異なりそうな、そんな作品といえそうです。
脚本に翻弄され続ける。
演技が刺さってきてビリビリする
すごく不思議な映画
主人公が警察署に火をつけても
警官が一般人を半殺しにしても
元夫が看板に火をつけても罪に問われない
あるいは
自殺を妻に見つけさせる警察署長
もう、すべて理解できないけど、不思議と思わない妙に説得力ある映画。。
面白い!
感情移入していたつもりの登場人物の行動に振り回されるので、共感しにくいという意見があるけど、自分だけの正義にひた走る姿と、いたずら心が人間らしくて好きでした。
私がこの映画は何かおかしいと最初に感じたのは元旦那が家に来た時の家族喧嘩。
ここでの穏便そうな息子の行動に、あ、この映画はヤバイやつだと思いました。
ミルドレッドはやりすぎなのでは?と思うかもしれないが、それでいいんです。何故なら娘をレイプされ焼き殺された怒りは誰にも分からないのだから!
アメリカの田舎ってのはおかしいという偏見なのかもだけど、ミルドレッドも主人公でありながら、差別や偏見を持つ人物なのも面白い。
細かな演出も素晴らしく、やり取りも皮肉が効いてます。
音楽もとても良いです、かっこいいです。
久々に興奮しながら観た好きな映画でした。
主演女優賞、助演男優賞受賞、ホント嬉しい!
「考える人」のための上質な映画
犯罪被害者による『赦し』の物語(キリスト教的に単純な)
…ではない事だけは確か。
世界はファンタジーのように勧善懲悪でもないし
善悪や「良い人」「悪い人」など二元的でもない。
理不尽な組織や権力…それを構成しているのも
生活や感情のある「個」。
たった2時間で、現象や事件を語るだけでなく
アメリカ社会、人間の社会の本質を
群像劇として、それぞれの背景を入れ込んだ脚本の力が
とにかくスゴイ。
そして何より映画としてちゃんと魅せる、完成度の高さ!
美しいしスペクタクルでドラマチック。
無責任に「権力が」「マスゴミが」とか言いいながら
社会を構成しているのは、自分たち個人なんだよな…
とか、結論の出ない事をグルグル考える葦になってしまう。
人間だもの
良作
脚本、魅せ方、キャラクターの立たせ方などどれもレベルが高い。
色々な感情が込み上げる、色々な事を考えさせるという面ではいい作品。
ただ、改めてアングロサクソンと日本人とは似て非なるものだという事を感じた。
通常の日本人が、署長の主人公を思いやる手紙やディクソン元刑事が体を張ってまで手に入れた証拠や正義感などに触れた場合、その事に感謝し、色んな紆余曲折はあるだろうが(場合によっては何十年も掛かるかもしれないが)、最終的には「罪を憎んで人を憎まず」に行き着くのではないだろうか。
最終的に犯人を殺しに行こうとするシーンはかなり異質なものを感じた。
署長もあれだけいいハートと正義感を持った人なのに、なぜ主人公が広告を出す前にもっと捜査説明なりケアなりをしてあげられなかったのか。
あと、この映画と実際のアメリカの社会がどこまでリンクしてるのかは分からないが、実社会と全く浮世離れしたストーリーであるなら本国でもこんなに人気は出ないだろうから、ある程度アメリカの(田舎の)社会を反映した映画だと仮定する。
だとすると、自分たちの国で起きた残忍な犯罪の犯人のアリバイを軍がどうにでも操作できるという社会も話半分ではないという事になる。
(比較的正義感が強いと思われる)警察署の署長でも触れようともしない大きな組織に牛耳られてる国って、民主主義が聞いて呆れるし、我々の隣国と大差ないのではないか(残忍さでいうと遥かに凌駕してるが)。
本国でもそうなのだから、沖縄で犯した犯罪をもみ消すくらい何とも思っていないんだろうし、それを正す事の重要性も大して感じてないのではないか。
ある意味恐ろしい映画だが、そんな事まで考えさせるという意味では自分にとっては考え深い映画だった。
タイトルなし(ネタバレ)
クライマックスに近づく場面でディクソンが飲み屋で二人組に出会い、女性をレイプして焼き殺したと話した男のDNAを引っ掻いて採取し、車のナンバーを控えたが、車のナンバーの男は二人組のもう一人の所有する車だったのではなかったのか?新しい署長は善人面して、きちんとした捜査をしなかったと言いたかったのか…。ちょっと分かりにくかった。
住所が分かったのもレイプの話をした奴ではなく、もう一人の男じゃなかったのか…。犯人と思われる男にそもそも出会えたのか?
なんかいろいろ考えてしまった。
淡々としているのに引き込まれる
心は繰り返し黒い影に戻ってしまう
とても見応えがありました。
大変な事件が発端だけに、心は繰り返しあの黒い影に戻ってしまう。
ましてやミルドレッドは。
炎が意味深く効果的、そして美しいと思いました。
後味は意外とスッキリでした。
ベテランも若手も、くせ者俳優揃い。何層にも感じる深みのある競演を楽しみました。
ミルドレッドを演じた フランシス・マクドーマンドに圧倒されました。
そしてサム・ロックウエル演じる警察官ディクソン、凄味もあり、なんとも言えない可愛らしさもあり。魅力的でした。
若手も本当に良かったです。
帰りにぱらぱら覗いたパンフレットの寄稿者に橋口亮輔監督の名前が。
あっ。そうだったのか。
いくつかの場面がカタカタと繋がって、恐いだけと思っていたディクソンの母ちゃんにも想いが巡りました。
サンディ・マーティン、印象深い名演でした。
タイトルなし
米国は、夜道の歩行は厳禁
最終場面が中途で終わった。
想像させるのかと。
処罰したのか、しなかったのか。
主人公は、切れていて、どこか、打っ飛んでいる。
粗野、粗暴。メンタルなのか。
余り共感出来ず。
米国では夜道歩行は危険なのが再認識。
犯罪に巻き込まれる。
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