劇場公開日 2018年2月1日

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「警察は24時間営業じゃないんだ・・・」スリー・ビルボード kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0警察は24時間営業じゃないんだ・・・

2018年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 娘をレイプされた上に殺害されたミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)。警察が24時間開いていないことに、観る者も怠慢だと思うハズ。ちゃんと捜査してんのかよ!と言いたくなる部分は描かれてはいないものの、すい臓がんを患っている署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)は優しく彼女を説得しようとし、暇があれば黒人への虐待をもいとわないディクソン巡査(サム・ロックウェル)はミルドレッドを敵視したままだ。暴力的で差別主義者であるディクソンの何をするかわからない雰囲気を醸し出している。

 ウィロビー署長に対しては町の人たちも同情的で、田舎の空気の良さを感じさせるほど。しかし、一方のミルドレッドは殺人犯に対する怒りよりも、全力で捜査をしていないかのような警察への憎しみが増しているかのようで、広告業者を使って3枚の立て看板(ビルボード)にウィロビー名指しで批判文を掲載する。そしてウィロビーは末期がんということもあり、悲劇的な最期を遂げてしまう。

 展開があったのは立て看板が何者かによって燃やされてしまったから。敵はいったい誰なんだ!という予想外のストーリー展開にはハラハラさせられ、マザコンでもある暴力的なディクソンが徐々に本当の姿をさらけ出していく。たまたま酒場にてレイプしたことを自慢する男が隣にいたため、身体を張って怪しい男を捕まえようとするのだった・・・

 3人の俳優がとにかく素晴らしくて、傍観者である観客も典型的な差別主義者への見方を変えざるを得なくなるほどだった。この先、どうなるんだろう?というところで映画が終わるので、その後を何度も想像してみて、後からじわじわと良さが増してくる。

kossy