シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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途中で類似する先行作に気づき、ラストで唖然
「パンズ・ラビリンス」で独創性あふれる世界観を提示してみせたギレルモ・デル・トロ監督の最新作だし、今年のアカデミー賞で最多ノミネートということで、観賞前の期待は高かった。実際、イライザの暮らしぶりに親近感を覚え、彼女と半魚人(=彼)との心の距離が近づいていく過程にときめき、彼を施設から運び出す作戦には心躍らせた。
でも、彼をアパートのバスタブに入れてかくまうあたりで、この話「スプラッシュ」に似ている、と気づく。あちらは青年と人魚の恋で、男女の性を入れ替えた格好だ。人魚も軍の施設で研究材料にされ、弱ってしまう。終盤、埠頭で追っ手に取り囲まれた異種恋愛のカップルは、海へダイブ。人間も水中で呼吸できるようになり、海底の王国で幸せに暮らしましたとさ……って、ラストまで一緒じゃん! 原案・脚本にデル・トロがクレジットされているが、オマージュの域を超えてはいまいか。
コミュニケーション・ツールとしての言葉の破滅
「パンズ・ラビリンス」で見事ジャンル映画としてのファンタジーの限界点を超えてみせたギレルモ・デル・トロ。その最新作は、異形の者同士が言葉を介さず、互いに交わす目線と表情だけで愛を確認し合い、やがて、2人だけの世界へと身を投じていく姿に新たなファンタジーを見出している。対極として、愛のない生活に辟易している夫婦や、意思の伝達能力に乏しいゲイの隣人を登場させて、コミュニケーション・ツールとしての言葉の破滅にもはっきりと言及している。常時濡れているような深緑色の画面、そのウェット感、冷戦時代の冷気を切り取ったようなセットデザイン等々、隅々にまで監督の確立された美意識を感じる、まさしく監督賞に相応しい新ファンタジーである。
You don't know just how much I love you !
1980年頃は年3~400本映画を観ていた時期もあったが、自身の入院や脳梗塞になった父親や認知証を発症した母親の介護で映画を観ていない(観られない)時期もあった。
2017年などは劇場観た映画はたった1本だった。
最近、再上映される作品が多いのは、見逃していた作品や若い人が旧作を映画館で観る機会が得られて良いことだと思う。
12月3日(火)
サーチライトピクチャーズ設立30周年を記念して再上映されている作品の一つである未見だった「シエイプ・オブ・ウオーター」をTOHOシネマズ日比谷で。
イライザ(サリー・ホーキンス)は、耳は聞こえるが言葉が発せられない。政府機関の研究所の清掃の仕事をしている。隣人の絵描きジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)とは仲良くしているが、彼は女性には興味がない。一緒に清掃の仕事をしているゼルダ(オクタビア・スペンサー)は超おしゃべりだが、手話を理解しイライザを助けてくれる。(喋れないイライザと喋りまくるゼルダのコンビが絶妙)
ある日、研究所にアマゾンで捕らえられた半魚人のような生物が秘密裏に運ばれて来る。責任者のストリックランド(マイケル・シャノン)は“彼”を虐待している。“彼”が捕らえられている部屋も清掃するイライザは“彼”と手話等でコミュニケーションを取るようになる。
ストリックランドは“彼”を生体解剖をすると言い出し、イライザはソ連のスパイであるホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)やジャイルズの手助けもあり、“彼”を研究所から脱出させ自宅のバスルームに匿うのだが・・・。
この映画では緑色がかなり強調されている。イライザが清掃業務の時のユニフオームが緑色、隣人のジャイルズが描がいて書いているポスターには緑色を使えとオーダーされるし、ジャイルズがイライザと一緒に食べるパイが緑色、ストリックランドが購入したキャデラックの色がグリーン(グリーンではない、ティルだ)、食べている菓子の色もグリーンである。
全てがダークウオーターの緑色を暗示しているかのようだ。
イライザも最初のうちは地味な色の服を着ているが、“彼”に会って、夢で“彼”と踊るシーン(まるでここだけミュージカル)では真っ白な服を着ている。ウエディングドレス姿を想起させる。そして、彼女は“彼”と結ばれ、真っ赤な服を着るようになり、ラストでは真っ赤な血にまみれてしまうのだ。映画のポスターにも使われている赤いドレス姿で水中で抱き合うイライザと彼。
水には形がない。彼らの愛も形に収まるものではなかった。ちょっと「スプラッシュ」を思い出したね。
ストリックランドに言い寄られたりして、彼に嫌悪するイライザが面と向かって(中指を立てるのではなく)手話でF・U・C・Kとやるのが可笑しかった。
おとぎばなし人魚姫ではないな
ロマンチックなおとぎばなしっていうからみたけど
んー。
半魚人が指を噛み切るほど凶暴だったのに、急にイライザには優しく接して無理ある展開。過程が大事なんだよ
ラストは期待を込めての展開だね
入り込めなかった
監督が、美女と野獣で野獣が最後にイケメンになるのは
納得がいかないとインタビューに答えているのは、
私も同感なので期待して観に行きましたが。
美女と野獣の場合は、まだ見た目が野獣であっても、
中身は人間なので、知的な交流や理解があった。
そこに愛情が生まれたとしてもそれほど疑問は感じなかった。
しかし、この映画では、いくら多少の言葉理解力があるとはいえ。
あの程度では犬や猫が人間の言ってることを多少理解してるレベルでは?
明言はされていないけれどもヒロインも同種では?という
匂わせがあるので、言葉が無くても通じ合えるって
言いたいのかもしれないけれど、だとしたらそれをもっと
全面に出してもらわないと、ペットを性欲処理の対象にしちゃった感があって
違和感もだけどまず気色悪く感じてしまった。
もう少し半魚人が人間的交流ができる相手であったら、
声の出ないヒロインが自分の気持ちを歌い上げるイメージ場面が
とてもいい場面に思えただろうと残念。
画面はきれいだし曲も良いのにもったいない。
「アメリ」に似ていたことは許すとして
猫を食うのなら、頭からは食わんでしょう。普通、肉食動物は、内臓から食うよ。脳みそ好きなのかな、なかなかのグルメ。
まぶたとは別に、半透明の膜が目にあったけれど、あれは「瞬膜」。サメ類・両生類・は虫類・鳥類・一部のほ乳類にある。腹筋に見える模様が腹筋だとしたら、ほ乳類。パカッって開いて、ペ○スが出てくるのは、イルカやクジラと同じだ。ひれは当然、魚類。ウロコっぽい物が、はがれてもきていた。2つの呼吸法は、よくわからなかったけれど、ハイギョっていう魚類と同じかな。総合的に考えると、魚類が近い感じはするけれど、頭なでてもらうと毛が生えてくるっていう魚を聞いたことはないので、微妙。そんな魚、わたしも飼いたい、なでてほしい。
3~5%濃度の海水で飼育、とホフステトラー博士がイライザにアドバイスしていたように思う。アマゾンで捕獲設定だったと思うけど、ならば、淡水で飼育しなきゃ。汽水域で捕獲?でも、1960年代にあんな大型の生物が、ジャングルの奥地以外で発見される、というのもちょっと不思議。それに、バスルームを水浸しにして愛し合うシーンでは、塩がどれだけ必要だったか、たくさん買い置きしてあったんだね~ぇ。
「ロケットに乗せて宇宙に飛ばす」アイディアはナイス。ロケット内では肺呼吸させる?それとも海水を宇宙に送り込む?ちょっと重いけど。
この物語、半魚人と人間の女性の愛の話、ではないでしょう。
イライザの首の傷、あれはもともと彼女が、エラの痕跡というか、未使用のエラをもっていた、ということだと思う。川に捨てられていた孤児だった、というのだから、もしかしたら半魚人と人間のミックスだったのかもしれない。だから、半魚人と同じように音声言語を使わない。食いちぎられた指もけっこう平気。卵好きも共通の性質?お風呂にはいるとオ○○ーしちゃうのは当然。そして、当たり前に半魚人に心惹かれていく。最後にエラが開眼したのは(開鰓したのは、か?)、彼女の本来の居場所を見つけた、ということだと思うのです。
黒人、ゲイ、ろうあ者、掃除夫。半魚人は、差別を受けるマイノリティーのメタファー。イライザの「わたしの話をちゃんと聞いて!」という言葉、もっとも大切なメッセージなのでしょう。
自分にはあんまり…
悪役が胸クソ悪い。本当に見ていて気分が悪くなるほどひどい。良いテーマなのに胸が悪くなるシーンがあまりにも多すぎた。作品自体は悪くなかったけど、1回見ればいいかな…全体的にそんなに面白いとは感じなかった。好みの問題かな。
無駄に甘ったるくないのは、とても良かったです。性のことや夫婦のこと、男女差別やマイノリティへの差別、貧困など、綺麗事が無い中で展開される愛の話であった点が良かった。
ただ、あんなに傷が簡単に回復できるのであれば、魚人がラボで拘束されている時に研究者たちが真っ先にその神の力に気付きそうなもんだけどね。棒で殴られたり電気で折檻されたりして流血するようなケガを負ってたんだから。あと、イライザが「良い人ね」って言ってた研究者、魚人を連れ出す時に人を殺してますけどね…あと、イライザの急なミュージカルシーン。テレビで、ダンスや歌が写るシーンはたくさんありましたが、効きが弱くてやや唐突に感じてしまいました。
魚人が段々可愛らしく見えてくる。
撮影大変だったろうな…魚人スーツ着て、女優さんもいっつもびしょ濡れ。ラストシーンも雨でずぶ濡れ。
せめてる
開幕ヌードだったり、のんびりしたスタートでヤベェおもんないかも思ったけど杞憂でした
敵役の男はワル悪の悪だったけど、一回の失敗で失脚するシーンとか前後半でズタボロになってるシーンとか見るとかなしーってなるよね
いやー愛愛してましたねって感じ。ゆで卵から始まる恋ってか
おっさんがいきなり手を取って引かれて、そんで客を追い返すシーンは情報量多くて禿げました
博士はもうフラグビンビンでしたね。生きて欲しかったけど
それを言ったら初っ端から千切れた2本の指くんも治って欲しかったけど、宿主があれじゃあな…残された家族かわいそう
かわいそうで言ったら、真面目に偽造ID見抜いた警備員君が死んでしまって残念だ
子供の頃見たら理解できてなかったな自分は。神様出てきたシーンで笑う
いろいろ考えさせられる
人魚(男)と声帯を失ってしまった女性のお話。
人魚は恐ろしい、と言えるような姿形をしているけれど、言葉や音楽を理解する。観ているうちに、愛らしさも感じられる。
が、やはり、わたしは人魚への恐ろしさを最後まで拭い去ることができなかった。
最後、人魚が主人公を海へ連れ去るのは、ハッピーエンド、と言えるのかもしれない。
傷も治り、彼女は水中で息ができるようになるのかもしれない。
そこは、彼女にとって、現実よりも生きやすい場所かもしれない。
ただ、「純粋な」欲望によって生きる人魚が怖いと感じた。
原始的な欲望は、美しくも、恐ろしくもある。
私が感情移入した人物
独特の色彩感覚、1960年代のセット、それに「ヒューゴの不思議な発明」を彷仏とさせるような冒頭のカメラワークが素晴らしい。ただ、肝心の物語にはいまいち入り込めなかった。ところどころ残酷なシーンもあったのも評価を下げた理由の一つだ。私の場合、誰に感情移入するかによって、作品の評価が左右される場合が多い。この映画では、イライザと同棲している初老の男性だ(ナレーションの男?)。結構いい人なのに、結局最後はイライザを失ってしまい一人ぼっちになってしまう・・・ちょっとかわいそうではないか。
とりあえず人間って最悪だな
レビューが酷すぎて見るの躊躇してましたが、意を決して見ました。
不思議な生き物の目が可愛くて、抵抗感なくストーリーに入り込めました。神と崇められていたものを捕まえて、拷問して解剖してソ連より優位で月へ行くための材料にするとかあいつらまじクソ。最初から最後までクソでした。いじめたから指噛みちぎられてんで!猫を食べたのも威嚇された防衛本能からだった気がするし、不思議な生き物は、自分から好んで攻撃したことはない。やられて身を守るため。猫襲っちゃって逃げる時に怪我させたことも反省してたし。イライザと好意を抱き合うのがまた可愛かったです。ラスト幸せになってたらいいなって思います。
自分内・恋愛映画ベストテン入り確定
<うろ覚え/思い出しレビュー>
去年か一昨年、観ました。
いやー、、、「パンズラビリンス」とどっち先に観たかもう思い出せないんだけど、とにかく、大好き。大大大好き。さすが「ぼくたちのトトロ」ギレルモ・デル・トロ。
ギレルモたんなので、まぁ多少やっぱりバイオレンス描写キツめではあります。でも、構成/音楽/展開/主人公や友人のキャラクター、、どれも個人的には申し分ないです。
サリー・ホーキンスって、ブルージャスミンでケイト・ブランシェットの姉妹役やってた人か、、、とか、悠長に言っている場合ではない(>_<) けれど、この作品の良さは筆舌に尽くしがたいものがあるのだよぅ。
"卵"っていうジェスチャーとか、しばらく真似してました(笑) ヒロインがねー、かわいいし、また中年というのも嬉しい(笑) "彼"のビジュアルも、キモいと格好いいのバランスが絶妙で、その技術に恐れ入る。悪役のキャラクター造形もしっかりしていて、営業マンの口車に乗せられて高級車買ったり、自己啓発本読んだり安定剤飲んだり、「ドSの皮一枚剥いだら、弱い人間」ていうことをちゃんと描いてる。
マイノリティ、神秘、人間の尊厳、そしてラヴ。
それらを真正面から気負わずてらわず、美しい音楽に乗せて描いてます。嗚呼。ギレルモたんに幸あれ。
人魚
イライザは人魚だった。
そう思うと色々と辻褄があう。
川のなかに捨てられていたこと。
耳は聞こえるが声を失っていること
足に執着してること。(靴フェチ、タップ好き)
水(風呂)での自慰行為
首の傷はよくわからないが、
もしかしたら半魚人こそが彼女が赤ん坊の頃川から救っていてその時についた傷であるとは
考えすぎでしょうか。
彼はアマゾンで捕獲されてますが神がかった存在ならば
どこの水辺に現れても不思議ではないとおもう。。。
ティムバートンのような奇妙な世界感だけどもっと
エグくて好みはハッキリと分かれるだろう。
私は好きです!
ノンバーバルコミュニケーション
対比なのだろうが、人間が話す言葉が、高圧的であったり、下品であったり、意味がないものであったりしすぎる
言葉がなくても理解しあえることを伝えたいのであっても、言葉の扱いが雑に感じる
音楽、水の中の映像が美しい
最後の詩以外の言葉を除けば...
Unable to perceive the shape of You, I find You all around me.
異形・芸術・欲望・愛情
第74回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
第90回アカデミー賞作品賞受賞作。
Amazon Prime Videoで鑑賞(字幕,レンタル)。
数あるモンスター映画への大いなる敬意と共に、ついにここまで来たか、ギレルモ・デル・トロ。と云う感じでした。まさに彼の最高到達点に相応しい上質な大人の寓話でした。
近年だと「パシフィック・リム」のイメージが強いですが、監督の本質は実は本作のような作品でこそ発揮されるんだなと思いました。上記のような賞を次々に獲得したのも納得!
こめられたテーマの多いこと。それらが巧みに絡み合っており、全然喧嘩していませんでした。骨太なファンタジー。世界観のつくり込みも相まって総合芸術の感がありました。
異形の者との切ない愛の物語、心に染み入って来ました。種族が違っていても、言葉が無くても心で通じ合える。愛の結末が美しかったです。ラストにしびれました。
[余談]
イライザの首の傷は鰓なのか?
※修正(2024/06/22)
うーん…
観た後に「素敵なんだけど、なんだかなぁ」と言葉にできないモヤモヤを抱えていましたが、今はっきりしました。
何故イライザは魚人に恋をしたのか?何故魚人はそんなイライザの恋心を受け入れ、それに応えたのか?
その辺がはっきりしなかったからなのですね
赤、緑が印象的な映像や流れる音楽はすごく良く、そこにはとても惹かれたのですが。やはりラブストーリーとしてはこのポイントがはっきりしないのは、ちょっとねぇ・・・
魚人が意外と人間だった
つかまって水槽にいるときとか猫食べちゃうとことか怪物っぽいのに、フツーに抱き合うしセックスするしで魚人が意外と人間だった。もっと魚魚(蛙?)したクリーチャーを期待してたのだけど。
美女と野獣に始まり異種婚のストーリーとしてはオーソドックス?で結末はまあ予想通り。緑と水で一貫した画面を作ってるとこと冷戦期のレトロフューチャーな世界観が本作の特徴・・・なのかな?
イライザが恋に落ちて夢中になっていくあたり、セリフは一切ないのに感情が伝わる演技がよかった。
ただ監督名からもう一癖二癖期待してたけれど及ばずというのが正直なとこ。
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