シェイプ・オブ・ウォーターのレビュー・感想・評価
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芸術?それとも・・・
この作品はグロなのか芸術なのか、タブーなのか正義なのか、エロなのか愛なのか、パロディーなのかマジなのか、答えが出せず観終わるまで弄ばれているようなもどかしさ。そして生々しい描写によって人間の生き物としての恥ずかしい本質をさらけだされたようで何だか居心地が悪い。久々にこんな何とも言えない感覚に陥った。
この手のジャンルは、最近刺激を嫌ってか避けてきたのだけどこの作品はインパクト十分でした。アカデミーはともかくとして、鬼才と呼ぶにふさわしいです、このギレルモ・デル・トロという監督さん。
古き良き時代 差別社会の中で見た愛 最高のファンタジー
ファンタジーを当時のアメリカ音楽と合わせて紡いだ美しい物語。
タイトルに誰もが首をかしげるが、最後にその答えがわかったとき胸が熱くなる。
ロッキーに出てきたエイドリアン風なイライザ。幼い時のけが、トラウマで声が出せない。
当時の欧米では相当数存在した孤児の一人だ。
身寄りも声もない彼女は、心優しい友人らによって細々と暮らしていた。
隣の部屋に暮らすのは、売れない絵描き。彼のための食事を賄っている。少なくとも、彼女の周囲では差別的な行為はないものの、一旦外に出れば、店でもカフェでも差別の応酬、そういう時代があったのだ。
UMAである半魚人をモチーフに、彼との心の触れ合いを描いている。
彼女に与えられる仕事が掃除。その舞台が航空宇宙局という特殊な場所。そこに運び込まれてきたのが得体のしれない生物だった。
イライザには他人の心がよくわかる。特に自分に対して差別的な言動はすぐにキャッチできる。その彼女は、人間が傷つけようとしている半魚人の心を読み、彼女自身心を寄せる。
「声も出ないし、美人でもないし、貧しい私を、彼は何の偏見もなく観てくれている」
これが彼女が感じたことで、彼を解剖しようとする局から逃がす決心をした理由だ。
選択は2つ 助けるのか、知らぬ顔をするのか?
そしてこのような選択を迫るシーンがいくつか出てくる。
絵描きの男は彼女の協力を拒んで、再就職のチャンスへと向かうが、冷たい言葉であしらわれていつものカフェに行く。絵を誉められうれしくなったが、黒人は座るなという彼の二面性、そして男の手に触った行為が誤解され、席を立つ。
そういう社会を改めて突きつけられた絵描きは、彼女の申し出に力を貸すことに。
冷戦時代宇宙が先進国の証とされ、アメリカとソ連がしのぎあいをしていたが、ソ連のスパイが航空宇宙局にもいた。
彼らは経緯でイライザと利害が一致。これによってイライザは目的を達成した。
映画は様々な謎が散らばっていて、その謎を紐解いていくと、イライザとはいったい何者だったのかというものが見えてくるような気がする。
これは監督らの設定が巧みで、だから様々なアイテムや登場人物たちの言動に矛盾がない。
しかしこの美しい物語はそんなことを気にして見る必要もない。
主人公である彼女が撃たれ、半魚人は彼女と海に飛び込む。その後は絵描きがナレーションを務めることで、その後の物語は彼の想像になる。という見方もできる。
彼女が川で助かった過去、首の傷がエラに変化したこと、見えないものを感じる心、本当に大切なものは目には見えない…
エライザがもし人間世界にやってきていた人魚姫なら、あの冷戦時代に、目に見えない美しいものが人間世界から消えたのかもしれない。
このような作品が、我々に何か大切なことを伝えてくれているのだろう。
ふたりを想像するお話
美女と野獣
を思わせる様な
野獣の魚バージョン
はじめ人の様な魚にビックリ
ハゼの様な顔で可愛い?
ファンタジー要素も大きく
音楽のテンポのよさなど
テンションが…上がります
お風呂場面はファンタジーでしか
描けない演出で楽しい!
イライザが
とても素敵な女性で魅せられる
イライザの積極的な行動は
どこから~とか思ったり
最初から大きな驚きはなく
相手を受け入れていた
そこはちょっと不思議な感じがした
まして恋愛の対象になることも。
イライザの感情が
一方的に感じたりそのことで
相手の気持ちが薄く感じてしまう
部分もある
痛められ酷い仕打ちを
受けて心の無い人間が出てきますが
言葉を話せるのに心が通じない
もどかしさを感たりします
ディズニーのような
あま~いラブstoryでは無いけど
ラストのイライザが水の中で
息を吹き返したあとが…気になった
デル・トロ監督の最高傑作は「パンズ・ラビリンス」‼️
デル・トロ監督が描く美女と野獣、いや美女と半漁人の愛の物語‼️水の中のラブシーンなど美しいシーンの連続で、アカデミー賞受賞もナットクの作品‼️デル・トロ監督にしか作れない世界観ですよね‼️ただ、やたらとヒロインのヌードシーンがあったり、ヒロインと半漁人の実際の場面はなくとも、性行為を実施したセリフのやりとりがあったりして、ちょっと安っぽく感じてしまう‼️もっとプラトニックラブに徹したほうがよかったと思う‼️そして極めつけとして一言、ネ◯喰っちゃダメでしょう‼️しかも丸かじりで‼️
面白かったです。すごい映画でした。 物議を醸すべき、いろんな評を聞...
面白かったです。すごい映画でした。
物議を醸すべき、いろんな評を聞いてみたくなる一本。
主人公イライザのヒロインらしからぬ外見(含:発声障碍)が多く取沙汰されていますが、私はヒロインらしからぬ内面の苛烈さ、身勝手さ、歪な人間性に惹かれました。
相手の都合も顧みず「手話を読んで!(私の主張を聞きなさい!)」と詰め寄り、激しい手ぶりで威圧的にまくし立てるシーンでは、つい(コイツ嫌だな/関わりたくないな)と思いましたし、
職場のクソ上司が読み解けないのを良いことにジェスチュアでF***と見せつけるシーンには、外国語で侮蔑されニヤニヤされたような不快感を覚えました。
記号的なヒロイン(内気で薄幸)ではなく、熱い血の通った人間として描かれているからこそ、賛否両論あって然るべき人物造形だと思います。
そのダダ漏れな情念が(文字通り)世の中に噴き出していくサマに、こりゃとんでもない映画だなあー、と唖然としました。
そして、内面に凶暴性を秘めた半魚人にシンパシーを感じ、慈しみを抱き、そして愛に変容してゆく。
そんな二人が惹かれ合う理由が不明瞭で、説明されないのもリアル。
半魚人と裸で抱き合い、眼だけでにんまり笑うイライザの胸中にざわざわしました。二人にしか分からない心情が滾っている。。。通じ合っている。
一筋縄ではいかない人物造形なのに、主人公と半魚人の恋愛に感情移入させていく手法が巧みなので「切ない純愛映画」と思えてしまう。
エンディングで示唆されている通り、観た人が頭の中でハッピーエンドに作り上げる映画。
(パンズラビリンス同様)デルトロ監督らしい観後感の映画でした。
マイナス0.5点分は私情。私は、自分の傷に触れられたくないので(^^;)、痛みや悲しみに触れあって愛が芽生えるっていうのがよくわからなかったから、その分気持ちが引いてしまいました。
意外とコンパクト
思っていたよりコンパクトな作品だった
登場人物みんな浅慮的に自分のしたいことを優先しているので深みはなかったのが残念
主人公の清掃員女性はちゃんと描けていたので、ブレないと言えばブレなかったけど
ちょい物足りなかったです
途中のシーンであることをするんだけど、多分床抜けると思いますね
アカデミーの作品賞やヴェネツィア映画祭の金獅子賞など結構凄い受賞歴があり驚き
ちょいポリコレ臭がするのでそのせいかもしれない
入り込めなかった
監督が、美女と野獣で野獣が最後にイケメンになるのは
納得がいかないとインタビューに答えているのは、
私も同感なので期待して観に行きましたが。
美女と野獣の場合は、まだ見た目が野獣であっても、
中身は人間なので、知的な交流や理解があった。
そこに愛情が生まれたとしてもそれほど疑問は感じなかった。
しかし、この映画では、いくら多少の言葉理解力があるとはいえ。
あの程度では犬や猫が人間の言ってることを多少理解してるレベルでは?
明言はされていないけれどもヒロインも同種では?という
匂わせがあるので、言葉が無くても通じ合えるって
言いたいのかもしれないけれど、だとしたらそれをもっと
全面に出してもらわないと、ペットを性欲処理の対象にしちゃった感があって
違和感もだけどまず気色悪く感じてしまった。
もう少し半魚人が人間的交流ができる相手であったら、
声の出ないヒロインが自分の気持ちを歌い上げるイメージ場面が
とてもいい場面に思えただろうと残念。
画面はきれいだし曲も良いのにもったいない。
社会的弱者
今年のアカデミー賞で作品賞を含む4部門を受賞したファンタジーラブストーリー。
登場人物は、孤独感を抱えて生きる社会的弱者たち、声を失った女性、抑圧が激しかった時代のゲイや黒人、そして、謎の生物である半魚人が力を合わせて無慈悲な権力に抵抗を試みます。声を失った女性と半魚人の言葉はなくても目と心で通じ合う愛は成就し、弱い者同士の結束は勝利したのでしょうか。
アバターを思わせる半魚人はちょっと気持ち悪いですが、主人公の健気な演技がそれを忘れさせてくれました。
口のきけないプリンセスと、捕らわれの両生類の《究極の愛の物語》
私とは不思議と波長が合いました。
とても感動しました。
第90回アカデミー賞で作品賞他4部門受賞作。
ギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手がけました。
口のきけないプリンセスは、美しくもなんともない中年の、
孤独な清掃員です。
イライザ(サリー・ホーキンス)が勤務する政府の極秘研究所に、
不思議な生き物が運び込まれます。
大きな機械仕掛けの水槽に入った生き物・・・
アマゾンの神と崇められる半神半魚の両生類です。
そおっと覗いたイライザは、
手話やアイコンタクト、そしてゆで卵のオヤツ、
そしてプレイヤーでかける音楽とダンスで、心を通わせるのです。
魔物と人間の禁断の愛です。
(なぜそんなことが可能なのか不思議ではありますが、
(私はすっかり映像と音楽の魔法にかかってしまいました)
しかし幸せは長くは続きません。
研究所の責任者で軍人のストリンクランド(マイケル・シャノン=怪演)は
怪物を殺して解剖する・・と決めるのです。
この辺りから映画はダークファンタジーからサスペンスに
大きく舵を切ります。
しかしイライザは同僚のゼルダ(オクタビア・スペンサー)と、
友人の画家ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)の助けを借りて、
怪物を助けようと計画するのです。
この映画は異形の生き物と人間(?)の女性の愛の物語です。
イライザは生き物とプラトニックではない、本物のセクシャルな
愛を交わしますし、サリー・ホーキンスは全裸の可憐な裸身を
さらすのです。
(パディントンのブラウン家のお母さんの、何という一面でしょう!!)
そして付け加えたいのは音楽の美しさ。
場面場面に合った歌い上げるミュージック・ナンバー。
(実際に、ホーキンスが歌い踊る夢の中のシーンは、ミュージカル映画です)
まるで『シェイプ・オブ・ウォーター』は水の魔法にかかった映画です。
私は最初から夢見心地でした。
(感動を共有できたら嬉しいです)
「アメリ」に似ていたことは許すとして
猫を食うのなら、頭からは食わんでしょう。普通、肉食動物は、内臓から食うよ。脳みそ好きなのかな、なかなかのグルメ。
まぶたとは別に、半透明の膜が目にあったけれど、あれは「瞬膜」。サメ類・両生類・は虫類・鳥類・一部のほ乳類にある。腹筋に見える模様が腹筋だとしたら、ほ乳類。パカッって開いて、ペ○スが出てくるのは、イルカやクジラと同じだ。ひれは当然、魚類。ウロコっぽい物が、はがれてもきていた。2つの呼吸法は、よくわからなかったけれど、ハイギョっていう魚類と同じかな。総合的に考えると、魚類が近い感じはするけれど、頭なでてもらうと毛が生えてくるっていう魚を聞いたことはないので、微妙。そんな魚、わたしも飼いたい、なでてほしい。
3~5%濃度の海水で飼育、とホフステトラー博士がイライザにアドバイスしていたように思う。アマゾンで捕獲設定だったと思うけど、ならば、淡水で飼育しなきゃ。汽水域で捕獲?でも、1960年代にあんな大型の生物が、ジャングルの奥地以外で発見される、というのもちょっと不思議。それに、バスルームを水浸しにして愛し合うシーンでは、塩がどれだけ必要だったか、たくさん買い置きしてあったんだね~ぇ。
「ロケットに乗せて宇宙に飛ばす」アイディアはナイス。ロケット内では肺呼吸させる?それとも海水を宇宙に送り込む?ちょっと重いけど。
この物語、半魚人と人間の女性の愛の話、ではないでしょう。
イライザの首の傷、あれはもともと彼女が、エラの痕跡というか、未使用のエラをもっていた、ということだと思う。川に捨てられていた孤児だった、というのだから、もしかしたら半魚人と人間のミックスだったのかもしれない。だから、半魚人と同じように音声言語を使わない。食いちぎられた指もけっこう平気。卵好きも共通の性質?お風呂にはいるとオ○○ーしちゃうのは当然。そして、当たり前に半魚人に心惹かれていく。最後にエラが開眼したのは(開鰓したのは、か?)、彼女の本来の居場所を見つけた、ということだと思うのです。
黒人、ゲイ、ろうあ者、掃除夫。半魚人は、差別を受けるマイノリティーのメタファー。イライザの「わたしの話をちゃんと聞いて!」という言葉、もっとも大切なメッセージなのでしょう。
自分にはあんまり…
悪役が胸クソ悪い。本当に見ていて気分が悪くなるほどひどい。良いテーマなのに胸が悪くなるシーンがあまりにも多すぎた。作品自体は悪くなかったけど、1回見ればいいかな…全体的にそんなに面白いとは感じなかった。好みの問題かな。
無駄に甘ったるくないのは、とても良かったです。性のことや夫婦のこと、男女差別やマイノリティへの差別、貧困など、綺麗事が無い中で展開される愛の話であった点が良かった。
ただ、あんなに傷が簡単に回復できるのであれば、魚人がラボで拘束されている時に研究者たちが真っ先にその神の力に気付きそうなもんだけどね。棒で殴られたり電気で折檻されたりして流血するようなケガを負ってたんだから。あと、イライザが「良い人ね」って言ってた研究者、魚人を連れ出す時に人を殺してますけどね…あと、イライザの急なミュージカルシーン。テレビで、ダンスや歌が写るシーンはたくさんありましたが、効きが弱くてやや唐突に感じてしまいました。
魚人が段々可愛らしく見えてくる。
撮影大変だったろうな…魚人スーツ着て、女優さんもいっつもびしょ濡れ。ラストシーンも雨でずぶ濡れ。
異形だからこそ純粋な愛のカタチ
デルトロはホント期待を裏切らない。
モンスタームービーでここまで純粋な愛のカタチを描くなんて誰が想像しただろうか。
モンスターながら、不快感を感じない「彼」のデザイン。「彼」に出会ってから、明らかに美しく変わっていくイライザ。ともすればグロテスクになりかねない異種の交わりさえロマンチックに、上品に描いている。
正直、現代の映画を見慣れている我々は、人間ぽい別の生き物を異性としてみる事にすでに慣れている。マーベルにしても、スタートレックにしても肌が緑だろうが、多少トカゲっぽかろうが、それらの恋愛事情を普通に受け入れている。これは多様性を受容できるようになってきているということなのだろうか。
何にせよ、本作が名作である事に変わりはない。
って、まぁアカデミー賞4部門も取ってるんだもんね。
レトロなSFチックさ
ETのように、
よく分からない生命体を匿うだけかと思いきや、
あ、そーゆう描写もあるんですか…
というオドロキ。
一応オスだったのね
半魚人はスーツかな??
仮面ライダーみたいに見えてきて
予告編でもったイメージとはだいぶちがった笑
でも映像は綺麗だし
飽きさせなかった
【恋愛映画ではなく、唯一無二の存在との邂逅映画】
◉好き嫌いが分かれる絶妙なラインの映画
好きか嫌いかで聞かれれば、若干半魚人に対して気持ち悪いと思いつつも映画自体は好きだと答えるだろう。特に音楽シーン(冒頭など)や水の演出、光の使い方、シーンの切り替えなど、一つ一つの細かい部分が洗練されていたように思う。
特に色使いに関しては、この映画のように黒とも白とも言えないグレーカラーの演出は、まるで人生における中年期の様相を表象しているかのようにも思える。中年期と捉えるとネガティブなイメージが浮かぶ。しかし、今作では独特の味わい深さから不快さなど微塵も感じず、ただただ映像に魅せられてしまった。最初から最後まで一気に見た映画。ビバ!中年期の美しさ!!
繰り返しになるが、改めて気持ち悪いか、気持ち悪くないかで言われたら若干気持ち悪いと思ってしまう映画だ。たびたび繰り返すのはやはり受け入れられない気持ち悪さがあるからだ。すまない。おそらく、自分が登場人物や主人公の女性に共感できていないことからくるのだと思う。
そもそも登場人物は若さという意味において美を体現した人物でもなければ、その片割れは人間ですらないわけで、現実世界からするとファンタジー作品といえる。そのため、同じ経験をすることは稀にあっても、ほとんどない人が大半だろう。稀というのは、人間ではなく、虫に恋するかもしれないし、物に恋をするかもしれないといった要素を含んでのことである。この共有しきれない経験の差によって共感に至らず、気持ち悪いと感じてしまっているのかもしれない。
◉感想
この物語は半魚人と中年の女性の恋愛という"異種族間"恋愛ストーリーのように思われるが、私はそうは思わない。というのも、半魚人と中年の女性には共通点があるからだ。それはお互いに話せないということ。この共通点において2人は異種族ではないと考える。私自身は声を使ったコミュニケーションをとることができるため、彼女の世界を真の意味で理解することは難しいのかもしれない。しかし、彼女自身が抱える葛藤のようなものはなんとなく想像することができる気がする。多くの人が声を使ったコミュニケーションを取る一方で、自分にはそれができない主人公。この映画の時代にはインターネットもSNSもないため、現代のように同じ共通点を持つ人と簡単につながることはできない。そのため、自分だけが世界から取り残されているかのように、まるで新海誠監督の映画に出てくる登場人物たちのように、自分と関わる人たちとの世界観に対して違和感を常に感じていたのだと推測される。
だからこそ、中年の女性は半魚人との声を介さないコミュニケーションにおいて、彼自身を理解しようとしたし、彼に理解されているように思えたのかもしれない。
昔の詩人は、「あなたを感じる。あなたの愛が見える。」という表現をしたようだが、まさに声ではなく、2人の間には通じ合う何かがあったのだろう。そして、それが恋愛のきっかけになったのかもしれない。しかし、これを恋愛ととるのかは鑑賞者に委ねられる。恋愛以外には「私たちは分離されてしまった片割れを求めている。」と聖書に書いてあるように、肉体の片割れを探す1人の人間(中年の女性)が、その片割れに出会った物語だと捉えることもできるからだ。
振り返れば、これは2022年2月から上映されている『CODA』とも共通している部分がある。『CODA』では、耳が聴こえる人と聴こえない人の世界観を深掘りし、それぞれが抱える葛藤にスポットライトを当てる。
耳が聴こえる人にとって感じる世界と、耳が聴こえない人にとって感じる世界は、地球という環境を共有していても、お互いが全く同じ世界を共有できているとは言い切れない。なぜなら、互いにコミュニケーションツールが異なるからである。人間は言語を発明することでコミュニケーションを容易にしてきた。
しかし、言語を介していても他者の心を読み取ることはできないし、同じ言語話者同士でも伝えないと伝わらないことがしばしば起こる。細かい点では、解釈の違いなどのずれは言葉にしなければ訂正が難しい。そういう意味では、そもそも言語における意思の疎通とは知ったかぶりのやり取りのような気もしてくる。
その一方で、声を使わない(言語を介さない)場合はどうだろう。最初から言葉のように曖昧なものに依存しないからこそ、意思疎通のために何か見えないものを通して相手を感じることができるかもしれない。
このように考えると、この物語は半魚人と中年女性の異種族恋愛ストーリーではなく、理解し合える片割れに出会い、共に生きていくストーリーといえるのではないだろうか。
テンポが良く、思ってたのよりシンプルで、思ってたよりグロくなかった...
テンポが良く、思ってたのよりシンプルで、思ってたよりグロくなかった。なまなましいシーンはあったけれど、それは重要ではなく、なくてもいいくらい。全年齢対象できるようにすればよかったのに...と思っちゃう。本当に良かった。他にいろいろ思ったのは、セットが非常に良い。そもそも映画館の上にすんでるとか良い。オーナーも好き。
ゆでたまごのせいでバレんのかと思ったけど違ってた。
ストリックランドが嫁とヤッてるシーンが一番いらない。指の血が...とかも関係なかったし、家族シーンは権力側の人間という事をいいたいのか、イライザとの対比で見せているのか。
ホフ博士は(ディミトリ)根性ありそうだったのに最後は何で喋ったかね。言わなさそうだったけど。死後に手掛かりが出てきてバレる...みたいな展開のほうがしっくりくる。良キャラだったのに、さいごイヤになった。
ジャイルズ(リチャードジェンキンス)がとても良いキャラクターをしていた。自分に忠実じゃないか。良識はあるもダメな部分が結構あってそこがまた良い。パイ屋のイケメン目当てで店に通うので、まずいパイが冷蔵庫にびっしり入ってる。ダメポイント。酒で失敗してる過去があり、ハゲを気にしてカツラをかぶる。
はじめは救出を断る。イケメンが黒人差別にゲイ差別だったので傷心→イライザ、君を手伝うよ。この流れも人間くさい。
ハゲなおったら大喜びして魚人への評価が変わるとこも人間くさい。
純愛ストーリーとしての評価が高い作品なのだけど、ストリックランドを差別と権力の象徴のように描かれていて、差別される側の人間がそれと戦う物語でもある。ラストも良かった。
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