「人間より怪物がマシってか!」シェイプ・オブ・ウォーター 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)
人間より怪物がマシってか!
アカデミー賞を狙いに行ったかどうかは別としてデル・トロが昨今の世界的な潮流に媚を売ったように思えた作品。
ヒロインは年配の不美人で口がきけず、友人は黒人、仲の良いじじいはゲイ、不思議な力を持っているかもしれないが見た目が普通に怪物とセックスまでする。
怪物と交わるとかどうかしている。
設定に露骨な仮託が多過ぎて萎える。
デル・トロの怪物偏愛がここまで来ると若干偏執狂にも感じる。
もはや同じ人間よりも心が清い怪物の方がマシってことか?
もっとも自分を受け入れない人間は平然と殺すので、本当に怪物の心が清いかは疑問である。
日本も含めて世界中の映画界が左翼(コミンテルン)の活動家たちに牛耳られているのを頭では理解しているが、ついにここまで来たのか!という印象を受けた。
授賞式のトロちゃんの発言も言外に反トランプっぽいし、もはやウンザリである。(トランプを全面的に支持するわけでもないが)
他者を無批判に受け入れないのは悪なのだろうか?
多様性を標榜する世の中だが、昨今はその手の映画が溢れかえっていてむしろ作品としての多様性を感じられなくなってきた。
同監督作品の『パンズ・ラビリンス』に比べて明らかにバランスを欠いた数段劣るレベルの作品に感じるが、気のせいだろうか?
同日にクリント・イーストウッド監督作品の『15時17分、パリ行き』を観た。
アメリカでは全体の犯罪発生率自体は減少傾向にあるようだが、銃乱射事件が多発している。
規制の話は持ち上がっても銃廃絶にまで議論が発展しないかを垣間見たように感じる作品であった。
反トランプに染まった今のハリウッドでイーストウッド作品が受賞することはないだろうと容易に想像がつく。
なお本作の主要な登場人物たちを「虐げられた者たち」として報道ステーションが持ち上げていたので余計に気持ち悪く感じた。
彼らは「虐げられた者たち」ではあるかもしれないが、一面では怪物好きのただのフリークだろう。