「はじめに言葉あり」シェイプ・オブ・ウォーター chaiさんの映画レビュー(感想・評価)
はじめに言葉あり
『パンズラビリンス』で魅せてくれたギレルモデルトロ監督の真骨頂というところだろうか。
ますます磨きがかかった映像と内容にあっという間に時間が過ぎてしまいました。
言葉を話せないイライザ、思いをうまく伝えられない年老いたゲイの画家。そして夫婦感には嘘がつきものだという黒人の友人。
登場人物は一般社会から負け組とされた人たち。
しかもコミュニケーションをうまく使えない。
この映画はコミュニケーションとは言葉を話せればいいのか。
聖書のはじめには『はじめに言葉あり…』と書かれている。言葉とは。
言葉を話せたからといって伝わるのかと問いかけてくる。
アマゾンから連れて来られた半魚人に惹かれていくイライザ。
彼女は初めて自分の事をありのままに見てくれていると吐露する。
人は少数派に対して色眼鏡で見てしまう。
この映画を見ていると少数派の彼女達の感覚が正常で見ている私たちも賛同してしまうが現実に同じ事が起きた場合に自分はどういった行動を取ってしまうのかと思わされる。
映画の舞台は60年代の冷戦真っ只中のアメリカ。
音楽やファッションと言う小道具がとても素晴らしく心憎い。
ことに主役のサリー・ホーキンスの演技が光ってます。
対比として悪役を演じているマイケル・シャノンも凄かった!
大人なファンタジーといて描かれているが背景にある痛烈な批判が見る人に問題を突きつけているかのようだった。
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