劇場公開日 2018年3月1日

「大人の絵本の世界」シェイプ・オブ・ウォーター KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大人の絵本の世界

2018年3月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

大人の絵本の世界に入り込んだような映画体験。
冒頭シーンからイライザの日常にリンクして、少女のようでアダルトな彼女の感情や表情がダイレクトに伝わってきた。
ほぼ全編、豊かな表情と手話で語られるのが普通に声を発して話すよりも心掴まれたように思う。

どんなに良い人でも、何かハンデのある人間に対して最初から何の先入観もレッテルも貼らずにいられることってないと思うけど、「彼」だけはありのままの自分を見てくれていると心惹かれるイライザと
また「彼」も、神と崇め奉られたり研究対象にされたりと、ずっと異質を見る目で見られてきた中で純粋に優しく近づいてくれるイライザに惹かれていったのではないかなと思った。

「彼」の絶妙な見た目が好き。
意外と精悍な顔付きだし腹筋バキバキでイケてるんだけどグロテスクな部分も多くて。
彼が何か動くたびに私もドキッとしたし、ただただ内面の良さだけじゃなく、半分人間のような姿だったからこそ本当に愛し合うこともできたんだろうな。

思ったより起承転結はっきりしていてわかりやすい話の進み方だった。
ただ、時代背景をちゃんと把握しているともっと楽しめたかも。
たまに何がしたいのかわからない人がいたので…
きっと私が思うより遥かに多くの意味と要素を含んでいるんだろうな。

最後のシーンではそのあまりの美しさに揺さぶられ、一方で生理的にゾワッとなる部分が一瞬写されて2つの意味で鳥肌立った。
ファンタジーロマンスとしてすごく好きな終わり方だった。
劇場の出口でタップを踏みたくなったのはきっと私だけじゃないはず。
ゆで卵食べたい。

KinA