「1962年、冷戦下のアメリカ。幼い頃のトラウマで声が出せなくなった...」シェイプ・オブ・ウォーター よねさんの映画レビュー(感想・評価)
1962年、冷戦下のアメリカ。幼い頃のトラウマで声が出せなくなった...
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1962年、冷戦下のアメリカ。幼い頃のトラウマで声が出せなくなったイライザは政府の研究施設に勤務する夜間清掃員。友人は隣の部屋に住むゲイの老画家ジャイルズと清掃員仲間のゼルダだけ。ある日研究所に南米で捕獲された半魚人とともに新しい研究員と米軍関係者がやってきて日夜極秘の研究を続けていたが、イライザはその半魚人に魅せられてしまい、清掃の合間に心を通わせるようになったのも束の間、激しい拷問を受けて満身創痍となった姿を見てイライザは彼を助けようと決意する。
貧しいイタリア系アメリカ人のイライザ、ゲイのジャイルズ、黒人のゼルダといった冷戦当時の虐げられしマイノリティが命を賭して半魚人を守ろうとするクラシックな物語を、随所で現代風刺を匂わせることであくまで現代の世相に訴えかけるファンタジーとして描写。異形の者に対して惜しみない愛を注ぐ監督ギレルモ・デル・トロの作家性が全編に滲んでいて、半魚人が醜怪なクリーチャーではなく人間よりも優れた美しい生物として描かれて、イライザと彼が紡ぐ絆がキラキラとスクリーンに輝くどこまでも赤裸々で眩しい大人の恋物語になっています。
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