「スカイウォーカー・サーガの終焉」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)
スカイウォーカー・サーガの終焉
以前に劇場で鑑賞したが、記録を残していなかったのと、金ローで再見することが出来たのでレビュー。
さて、スターウォーズは、初めからスカイウォーカー一族にまつわる話であった。ジェダイもシスも、銀河帝国や皇帝も、全てがそのサーガの基に収束したと言えよう。
象徴的なのがラストシーンである。
名も無きレイは、ついにスカイウォーカーを名乗る。ジェダイとして生きる決意をみなぎらせて。
J.J.エイブラムスは、大団円にルークの故郷を持ってきた。かつてルークがR2D2と眺めた2つの太陽を、今度はレイとBB8が眺める。これほどの確かなオマージュがあろうかと思うし、これでしか終われないとも思う、まさにサーガを締めくくる名シーンだった。
また、なぜ、今三部作が女性を主役にしたのかも納得がいった。
スカイウォーカーの血というのが、俗世にまみれており、エネルギッシュだが、すぐに色恋に走るという欠点がある。一方ジェダイマスターは生涯結婚せず、優秀な子供を弟子=後継者として育てる。
愛や恋は裏返せば憎しみや復讐に繋がるからだろう。血統も危険である。スカイウォーカーは、命が尽きたレイに、レンに自分の命を全て与えることによって、末後のキスのみが残された命として潰えた。セクシャルな表現は避けているが、これはレイにスカイウォーカーの子種を託したことの象徴にならまいか?
そもそも、優秀なジェダイの素質のあるアナキン・スカイウォーカーが年齢の離れたパドメ・アミダラ姫と恋に落ちる(エピ2)ことが、全ての始まりだった。愛した妻が双子を出産したと知った時、パルパティーンの陰謀により、師匠を裏切り、結果ダースベイダーと化す(エピ3)。その子たちによって、ルークらへの愛ゆえベイダーは命を落とすが、帝国は亡び、大団円を迎える。(エピ6)
続く新三部作では、ストーカーのレンと、皇帝の孫レイの奇妙な愛憎劇を踏まえている。何度も命懸けの喧嘩するけど、実は愛し合っており、殺すまでは行かない。思いを遂げた時は、レン、あるいはレイの命の尽きる時であった・・・北斗の拳か?
俯瞰してみた時、エイブラムスはなんと的確な仕事をしたかと舌を巻く。エピ1からの布石を全て拾い、誰もが納得するフィナーレをつくりあげた。およそ40年に渡るスターウォーズ・サーガも、本を閉じる時に思わずため息が出る「嗚呼、これで終わったんだ・・・」と。