「スカイウォーカーの夜明けとは」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け いたるさんの映画レビュー(感想・評価)
スカイウォーカーの夜明けとは
12月20日から公開された「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」も今日で終わるので、再度まとめます。
ネタバレ注意。
2015年より始まった続三部作の3作目にして、1977年に始まったSF超大作の9作目としての最終章。
観る度に新たな発見があり、情報もいろいろ出回ることにより、いろいろ考えさせられる。結局4回観た。
今回注目ポイントは何と言ってもタイトルのスカイウォーカーの夜明け、また最終章ということで様々な過去作へのオマージュ。最早そこはJJのSW好きが伝わる。
また、8のライアン・ジョンソン監督が挑戦したことに対し、J・J・エイブラムス監督の8をなかったことにした感の対比。
最初観た時はいろいろ感じたし、なんやかんや言われているがライアン・ジョンソンの最後のジェダイあってのスカイウォーカーの夜明けだと感じた。
まず8で最高指導者スノークが死んだことに対し、パルパティーンの復活。
予告編からも分かっていたが、最初からいきなり。
カイロ=レンをラスボスにはできない、スノークの役不足感もあったから仕方ない。
今更感もあるが、シスのクローン技術や不死の研究などはずっとあったからあり。
最早正史ではなくなった小説でも生き返ったし。
またこれまで用意周到に準備してきたシディアスがあっさり負けるわけもない。
シスの根源までは経っていなかったことにできる。
次にルークがライトセーバーを投げたことに対し、レイが投げた時の注意など。
ジェダイといっても1人の人間。
若きスカイウォーカーも悩んで成長する。
自らの誤りを認めるのもいい。
これもまたスカイウォーカーの夜明けといえるのではないだろうか。
伝説や偉大なジェダイと言われるも、まだまだ成長途中。
それが人間味を持つことで、スカイウォーカーというジェダイの象徴からの脱却。
レンのマスク、レン騎士団復活。
これは単純にカッコいい。
でもすぐ脱ぐからあんま意味ない。
レンとベンの間を行ったり来たり迷ってる感じ。
それと忘れてたものを思い出されたレン騎士団との対比かな。
騎士団の弱さ、活躍の少なさ。
ルークの元で修行してた他の弟子ではなかったのか。
8の最後でフォース使ってる少年。
そもそもフォースというのは誰にでも備わっているもの。
ルークしか残ってないから神聖化されたり、伝える者がいなくなっただけ。
あくまでスカイウォーカーはフォースがより強いということ。
フォース使える者が現れても不思議ではない。
これもまたスカイウォーカーからの脱却。
そして過去作へのオマージュ集。
まずSWと言えば敵艦隊での救出劇やファルコンでの逃亡劇。
宇宙だけでなく砂漠やジャングルでのシーン。
これまでそれぞれの戦いをしてきたレイ、フィン、ポーがチームに。
またチューイに3PO、BB-8も。
BBの新相棒のD-0はJJ自ら声を担当。
最初の祭りが42年に一度というSWが42年前に始まったことへの言及。
マンダロリアンのジェットパック。
旧三部作から出ていなかったランド・カルリジアンの登場!
ランドとチューイにファルコンは最高!
その際にウェッジ・アンティリーズも!
ただランドとレイアが会えなかったのは辛い。
レイアと言えば4でのレイアの外交船も登場!
またコニックス中尉のビリー・ラードとキャリー・フィッシャーの本当の親娘共演にも涙。
レイアに息子の死を予感し、修行をやめたことは父アナキンとは違う道を辿っている。
アクバー提督の息子の登場やナインナンも登場。
ナインナンは死亡説もあるが。
また「やあ」と言ってサプライズ登場のハリソン・フォード演じるハン・ソロが登場するのは最高すぎる。
やるべきことは分かっているのにできない息子の後押しをする父親。
家族愛をしっかり出してくれる。
これはアナキンとルークの関係への追求ではないだろうか。
父が子の背中を押すのか、子が父の背中を押すのか。
さらに最後にレイ、フィン、ポーが集まるのに対し、R2、3PO、チューイといった旧三部作が集まっているのがいい。
またチューイがマズ・カナタから受け取った4でもらえなかったメダルを3POに見せてるのもいい。
マズ・カナタが何故アナキンのセーバーを持っていたかなど謎は解決されぬものも多い。
また先代ジェダイ達の言葉の中で、アナキンの「僕のようにフォースにバランスをもたらすんだ」は最高!
他にもアソーカ、クワイガン、オビワン、ヨーダ、ウィンドゥなど。
そしてスカイウォーカーの夜明けとは。
アナキンは選ばれし者として、ジェダイとシス両方を滅ぼしたことによってフォースにバランスをもたらした。
アナキンがフォースから生まれたならレイもそれで良かったのだが。
しかし、そうなると選ばれし者となるので、違う。
選ばれし者はあくまでアナキンただ1人。
アナキンがジェダイからシスへ、そしてジェダイに戻り、フォースにバランスをもたらしたのに対し、レイはシスのパルパティーンから生まれるも暗黒面には落ちず、ベンはスカイウォーカーから生まれるも暗黒面に落ち、再度ライトサイドへと帰還する。
8から出てきたレイとベンのフォースの繋がり、交信からレイもベンも選ばれし者ではないが、2人の強いフォース、また絆による2人で1対という解釈、またそれぞれがライトサイドとダークサイドどちらに転んでもおかしくないという共通点もあり、それが1人ではできなくも、再度ベンとレイでフォースにバランスをもたらした。
またレイは血縁ではなく、ジェダイの全てを、先人たちの想いを受け継ぎ、またスカイウォーカーの全てを受け継いだ。
6でシディアスを倒し、ベイダーがアナキンへと戻り、ルークが最後のジェダイとなることでフォースにバランスがもたらされたが、今回シスの根源を倒し、最後のジェダイであるスカイウォーカーの血も途絶えたことで、シスとジェダイ双方が完全に消え去った。
残されたレイは、最後にスカイウォーカーと名乗るが、これはジェダイまたスカイウォーカーを受け継いだことを意味し、黄色のライトセーバーを持つことで、ジェダイを受け継ぎつつも、それらの脱却を意味するのではないか。
これによりシスにもならず、ジェダイともならず、フォースにバランスがもたらされる。
さらに最後の戦いでは、レジスタンスだけではなく、銀河中の民衆が立ち上がることに意味がある。
スカイウォーカーの夜明けとはスカイウォーカーの血が途切れるとともに、最後のジェダイであるスカイウォーカーに頼らず、民衆が立ち上がり、これからは誰もが主役になれる時代の到来、またフォースも誰もが感じることができるという本来のものに戻った。
その象徴が何者でもないフィンの可能性。
最早この辺はガンダムのニュータイプにも似てる気がするし、ファーストガンダム最終回感がある。
スカイウォーカーの夜明け=ジェダイの象徴でもあるスカイウォーカーに頼るのではなく、誰しもがフォースを持っていて、ジェダイ=スカイウォーカーになれる、これからの時代は自分達だということだと考える。