「ありがとうJ.J」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け ケルさんの映画レビュー(感想・評価)
ありがとうJ.J
ネタバレを含みます。ご注意ください。
簡単に言えば、嫌いではないけど好きでもない映画でした。
続3部作、そしてスターウォーズ全9部作の完結となるスカイウォーカーの夜明けですが、その役目は果たせたの?そもそも続3部作って無理矢理作る必要あったの?と思わざるを得ない出来だったと思います。
とは言え、私はエピソード7は完全擁護派です。、、、、でした。レイ、フィン、ポー、新キャラクターはみんな輝いて見えたし、カイロ・レンも未熟で不安定ながらも、ビジュアル含め好きなキャラクターです。それぞれのキャラクターが今後どうなって行くのか、とても気になったし、観た直後にエピソード8を隣で上映していたら迷わずそのまま観に行っただろう、と言えるほど楽しんだことを覚えています。
そのエピソード8ですが、私は正直大嫌いです。エピソード8好きな方、本当に申し訳ありません。やりたいことはとても強く伝わってくる映画だったとは思います。全く新しいスターウォーズを。けれどその手段はファンが予想していたであろう展開の真逆を繋げただけ、というもの。最後にはもうどうでも良いやと思ってしまうくらい、うんざりしていました。加えて、じゃあエピソード7のあれは何だったの?そのキャラってそんな人じゃなくない?このシーン全部無駄だったの?などなど、考えれば考えるほど気になる点、突っ込みどころが出てくる映画だったと思います。
そしてエピソード9について。最初に書いた通り、嫌いではありませんが、好きでもありません。まず、エピソード8後の軌道修正を図ろうとしたのは隠しようがない事実だと思います。
・ローズの出番激減、C-3PO、マズ・カナタの出番大幅増加。
・ライトセーバー同士の戦闘大幅増加。
・レイ、フィン、ポーの絡みの増加。
◎捨てられそうになったライトセーバーをルーク(霊体)がキャッチ、ジェダイの武器は大切に扱え、私は間違っていたと発言。沈んでいたXウィングをフォースで引き揚げる。
・ホルド提督が行ったハイパースペース特攻への釘刺し。
・アクバーJr.登場。
・カイロ・レンが壊れたマスクを修理。
・8では影も形もなかったレン騎士団ようやく登場。
・スノークの正体。
・レイの出自。
・修行らしいジェダイの修行。
などなど、エピソード8でなされた、なされなかった数々のことに、大小ありますが軌道修正・補足がありました。見たかったものが見られたというものも勿論あります。ライトセーバー同士の戦闘はやはりスターウォーズならではですし、ちゃんと師としてレイを導いてくれたルークを見られて嬉しかったし、ハンやランドやウェッジをまた見られるとは思ってもいませんでした。もう一度最後にベンのもとに現れるハンのシーンには目頭が熱くなりました。フィンとポーの掛け合いはエピソード7の時もそうでしたが最高です。シーンだけを切り出せば良い部分もあったとは思います。けれども、これ7から9でちゃんとしたヴィジョンがあった結果なの?と思うしかない展開もありました。
一番引っかかったのはパルパティーンの再登場。アナキンが文字通り命と引き換えに葬り去った悪の親玉が復活したってことは、無駄死にだったということになってしまうわけで、、、。エピソード1〜6でやってきたことは何だったんでしょう。本当は、当初はスノークをラスボスとして設定していたのではないでしょうか。そうでなければ、わざわざパルパティーンを引き出してくる理由が無いと思うのです。
レイの出自の真実とその葛藤、ポーの過去、フィンと同じく元ストームトルーパーの中隊、レン騎士団、など掘り下げれば面白そうな展開が3部作最後で急に出てくるのも不自然です。それもかなり急ぎ足で片付けられる。エピソード8でやっていれば、新キャラクターにももう少し愛着が湧いたし、エピソード9でのカタルシスももっと大きかったのではないでしょうか。個人的にレン騎士団はビジュアルの格好良さや、レンとともにルークを裏切ったという背景から、とても気になっていたので、結局雑用と噛ませ犬としての役割しかなかったのが残念でなりません。
結局何がしたくてどこに話を着地させるのか、その辺りを一貫したヴィジョンとして描けていなかったのではと考えてしまいます。
加えて引っかかったシーンを挙げていくと、
・チューイが死んだと思ったら生きてた、C-3POの記憶データが全部消えたと思ってたら全部もとに戻せた、レイが死んだと思ったら生き返ったと思ったらベンが死んだ、など肩透かしというかまどろっこしい展開が多い。
・ランドやウェッジ、アクバーJr.登場は嬉しかったけど、正直ファンサービス以上の理由がない。
・出自は関係ない、お前はお前だ、ということに落ち着いたと思ってたら、スカイウォーカーを名乗る。
・8のローズとフィンのキスと同等かそれ以上に取ってつけたようなレイとベンのキス。思わず目を背けてしまいました。
・フォースデリバリーの演出。最後のレイからベンへのライトセーバー受け渡しは完全に手品。
・パルパティーンとの最終決戦。どっかで見たことあるようなよくある決着の付け方。全く盛り上がらない。
・やりたいことは分かるけど、双子の太陽のシーンは8でやっちゃってる。
・ハックスが裏切った理由が超絶的にダサいし、死に方も超絶的にダサい。
ちゃんと思い出せばもっとあるかもしれません。
長々と書いてしまいましたが、私個人の感想としては、よく出来た映画とは言えないというのが正直なところです。続3部作が出揃った今、遡ってエピソード7の評価が下がったかもしれません。
頑張って終わらせようとしたんだろうな、とは強く伝わってきますが、どうしても急ぎ足すぎて無味乾燥な感じが拭えません。本当にもったいないと思います。
エピソード8の出来からあまり期待はしていなかったので、まあとりあえず終わってくれれば良いかなと思っていたのですが、本当にその通りになってしまいました。
とは言え、スターウォーズを、本作を嫌いになれないのも本心です。そしてJ.J.エイブラムスはエピソード8の流れから、とりあえずでもよく終わらせてくれたと思います。ありがとうJ.J。お疲れ様でした。
私個人の感想です。不快になられた方は申し訳ございません。長文、駄文失礼いたしました。以上です。