「よくぞまとめてくださった。」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
よくぞまとめてくださった。
エビソード7が、ファンムービー的な要素はありながらも旧3部作の続きを新作としてきちんと立ち上げてくれたのに、エビソード8でバカばっかりのドタバタ茶番劇を見せられて落胆させられた思い出から2年。
「おいおい、新3部作のうち1本を無駄遣いしちゃったけど、大丈夫?『まだまだ続くよ』『エビソード9,後編を乞うご期待!』みたいなのはやめてくれよ」
しかし再度メガホンを取ったJ・J・エイブラムスが、この長かった「スカイウォーカー家の物語」をしっかりと締めくくってくれた。
これだけコアなファンを多数獲得してしまうと、物語をどっちに振ったところで批判はされてしまうのだろうし、人によっては今作を「最大公約数的な」「できるだけ怒る人が少ない」物語と言う人がいるのも分からなくは無いが、私にとっての「スターウォーズ」はコレで良い。
良く言えば「王道」、悪く言えば「ワンパターン」。でもそのベタさもカッコ良さも、旧キャラクター達への敬意を合わせてしっかりと描き切り、「実はまだ続きます臭」は最小限に抑えて見事にオチを付けてくれた、とファンの一人として感謝している。
フォースの使い方も、前作でずいぶんインフレしてしまったが、今作は多少控えめ。その分「アイツ」の力が際立つ様に設計されているのも好感が持てる。
サブタイトルの「スカイウォーカーの夜明け」。
最終話だし、みんな死んでいくのに「夜明け」って…と思っていたら、この「THE RISE OF SKYWALKER」の「RISE」は劇中でも印象的に使われていて、なかなか趣深い。
もちろん旧作ファンをワクワクさせる小ネタも満載。
ただでさえ「あの惑星」には思い入れがあるし、私はやっぱり「ああ!あの戦闘機が!ああ!あのヘルメットを!」と身悶える感じも心地よかった。
過去作ではあまり意識しなかったが、エンドロールも、まさに最後の最後まで、特に最後の小節でオーケストラがこれ以上無いほど豪華な演奏と共に華々しく幕を閉じる。
この映画がこれだけメジャーであり続けたのはもちろんジョン・ウィリアムズの功績も大きい。
本編スタートの「ジャーン!」で我々がしびれてしまうのと同様、まさに最終話のラストにふさわしい最期の瞬間を音楽と合わせて、劇場内が明るくなるまでしゃぶり尽くす様に堪能すべし。
長年のファンも、そうでない初心者も共に楽しめる娯楽超大作の最期。
劇場以外で観るなんて野暮はやめて、ちゃんと映画館でこの最期を看取ってあげて欲しい。