「So this is how STAR WARS dies, with thunderous applause.」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け Maryさんの映画レビュー(感想・評価)
So this is how STAR WARS dies, with thunderous applause.
シークエルトリロジーが、取り分けフォースの覚醒と最後のジェダイが嫌いだと言う人に問いたい。スターウォーズを殺したのは誰?
新たなる希望をなぞったフォースの覚醒から、一気に舵を切った最後のジェダイ。そして、今作スカイウォーカーの夜明けは、これまでのことなどなかったかのように、7.8と散らかしてきたものを回収するだけの映画だった。それも、オリジナルやプリクエルへのオマージュたっぷりに。スターウォーズを愛する者たちにとっては、懐かしい面々が活躍するのは喜ばしいことに違いない。
でもそれって、アナキンが犯した「執着」という罪そのものじゃないの?
オリジナルトリロジーこそが真のスターウォーズだと信じてやまないから、最後のジェダイでライトセーバーを捨てたルークを、ベンを見切ろうとしたルークを、霊体でしか戦地に赴かなかったルークを否定するんじゃないの?ルークはそんなことしないって、それこそが「奢り」ってもんでしょう。
オリジナルだけがスターウォーズじゃないんだ。
だから最後のジェダイではフォースという概念に迫ったのに、スカイウォーカーの夜明けではなかったことにされてるのが腹立たしい。スノークとは何だったのか?なぜ急に、パルパティーンが出てくる?過去を引き摺りすぎでは?新しいスターウォーズが観れることを期待していたのに、これは酷い。
ピンチの時に助けてくれるのはミレニアムファルコンだけなの?わたしは新しい時代の戦闘機を愛したい。1000年続く伝説もいいけれど、伝説だけでは新たな時代を生きていけないよ。
ここまで不満ばかりを吐いてきたが、レイとベンの関係性には胸を打たれた。冒頭でアナキンの「執着」を引き合いに出したのも、この影響だ。
ふたりでひとつの共同体が憎しみを持って見つめ合うのではなく、ふたりで同じ方向を見つめることが出来てよかった。レイがベンにライトセーバーを渡すシーンは、まず、あの性質を「物を渡す」ために活用したのがアツすぎる。その上、ライトセーバーを受け取ったベンの仕草よ。かつては常に怒りで身を燃やしていた彼が、父親譲りの軟派なキャラクターに成り下がっているではないか。好きだ。
でもキスはいらない。
それに、フィンは何がしたかったんだ?
今作は、ロマンス的な観点としては落第に違いないだろう。
とにかく、長く続いたものを終わらせるときは、万人の万通りの期待を背負うことになる。最善の道を選んでも零れ落ちる人はどうしてもいる。それがわたしなのだと、そう思いたい。愛するスターウォーズという物語は、「遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」起こった出来事なのだ。事実に文句を言ったって仕方がない。
なにはともあれ、この作品を愛しているのだから。
ありがとう、スターウォーズ。