「置きに行った作品」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け へにゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
置きに行った作品
フォースの覚醒以降の二作についてはあまり掘り下げて見ていないので悪しからず。
前作「最後のジェダイ」は、スカイウォーカーというフォースに選ばれた血筋の否定、ジェダイオーダーそのものの否定、フォースについては神秘ではなくディズニー的な普遍性を持たせることによる陳腐化など、(賛)否あれど挑戦的なことをしようとしていた。
翻って今作では、可能な限りオールドファンを納得(≠満足)させられるよう、ルーカス時代の要素を可能な限り投入した、いわば置きに行ったような内容だったと思う。レイの血筋(予想されたことだが)、EP5をなぞったかのようなレイとカイロ・レンのシーン、ベンのライトサイドへの復帰、そして自己犠牲(EP6に類似)。監督の苦労した跡がありありと感じられる。
一方でこのことは肝心のディズニー三部作からの新キャラクターの魅力についてはやはりそれほどないことを認めた上での脚本なのだと思った。カイロ・レンについては弱い心と複雑な内面を持っているという点でそれなりに魅力を与えることには成功した。しかし、例えば主人公のレイについて、ダークサイドからの誘惑がどれほど強いものなのか、なぜダークサイドの誘惑を断ち切ることができたのかという部分にはリアリティや説得力がない。それを分かった上での最終的なベンとの悲恋であり、民衆の参加による艦隊戦の勝利という、アメリカ的でありきたりな結末であり、結局は平均的なハリウッド映画的作品に落ち着いたといえる。
これを良しとするか否か。「最後のジェダイ」の壊滅的な評価を見る限り自分としては一定の評価をしたいが人それぞれだろう。アナキンの犠牲を汚したという意見があることも理解できる。またパルパティーンに隠れた妻子があったという点については掘り下げが欲しいところだ。