「ディズニー版SWの夜明け」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け snake666さんの映画レビュー(感想・評価)
ディズニー版SWの夜明け
ジョージルーカスが関わっていないエピソード7、8はディズニーが手探りで制作を進め、迷走していた感があったが、ようやく今作にて軌道修正がなされディズニーがSWの扱い方を見つけたように感じさせる仕上がりだった。特にエピソード8での逸脱した方向性をよくぞここまで本来のあるべきSWらしさを取り戻せたかと、監督のJJにはよくやったと言わざるをえない。
そうした部分を強く感じさせたのは前半のテンポのいい冒険エンターテイメントだ。それと同時にディズニーランドにおけるスターツアーズ等をもろに意識させる部分はディズニーの経営戦略の攻めの姿勢をも強く感じた。
ただ今作においての最大のサプライズとなるはずであったレイの出生についてのオチには正直ポカーンとせずにはいられない。
これはSWだからとかではなく、直接の親にあたる人物には最低でもこれまでの作品に登場したキャラクターからチョイスして欲しかった。
おじいちゃんが皇帝だったというのは良しとしても、その子供に関しては一切触れられてこなかったわけで、全く感情移入できず、盛り上がるはずの後半のクライマックスも終始モヤモヤを感じながら観ることになってしまった。
しかし、個人的な見解をするならばディズニー版SWは今作の最大のテーマはレイの出生よりも実は別な所にあるのではないかと観終わった後に推測した。
ディズニー版SWは子供兵士として育てられた名もなき元トゥルーパーや、望んでいない血縁だったという運命を背負った若者が出てきたりと、そうしたつらい境遇を若者らがいかに自分で生きる道を見つけ希望を持って前に進んでいくのか、こうした成長を描くストーリーこそがディズニー版SWの目指す路線なのかなと。
これはある意味で数多くのアニメ作品を生み出してきたディズニーが常に目指してきた路線であり、それをSWの世界で表現するすべを見つけたのではと、つまりは本作でようやくディズニー版SWが夜明けをむかえたのではと思った。
そう考えると今後発表されていくであろうSWの新たな映画シリーズはこうしたディズニーの基本路線をベースに制作されていくのではと予想した。
何はともあれ、ジョージルーカスの関わってきた「本家」SWシリーズはそんなディズニー版も含め終わりを迎えてしまった。
SWシリーズは新作が公開されるたびに、毎回どんな内容になるのかワクワクしながら予想しまくって常に自分の人生の中の一部として存在してきたわけだが、それも一旦の終わりを迎えてしまった。もうこんなにドキドキしながら公開を待ったりする事は無くなってしまったのだなと思うとかなり寂しいが、こうした体験を味わえた事は映画ファン冥利につきるというかとっても幸せであったとしか言いようがない。
ありがとうスターウォーズ!