「とりあえず着地させた」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け juriさんの映画レビュー(感想・評価)
とりあえず着地させた
1つの作品としての出来は悪くないです。
ただ、なんとか着地だけさせた感が否めない。
たぶんEP8の監督ライアンジョンソンとJ・J・エイブラムスの方向性があまりに合わなさすぎるからこんなことになったんだと思う。エイブラムスは保守的、ジョンソンは革新的な感じ。EP7でエイブラムスがしたことがEP8で否定され、EP9でEP8を否定するという無駄足感がハンパない。まだ三部作全部エイブラムスがやった方が一貫性あってよかったんじゃない?
あとはEP8で話進まなすぎた。ただただEP7からの流れをぶち壊しただけで、なにがやりたかったのか謎である。
EP8への不満は置いといて、思ったことをあげていきたい。
①フォースの使い方が反則すぎる
「フォースは魔法じゃない」ってどっかのエピソードで誰かが言ってませんでしたっけ?本当にその通りで、フォースで遠隔地にいる人と会話とかできなかったじゃん!なんでEP8からいきなりそういうことができるようになってるの?!ってかEP9からは遠隔地にいるレイのものを奪ってたよね?!
例えば、ルークとレイアが離れていてもお互いのことが感じられるのは2人が強いフォースの持ち主であり、双子の兄妹だからと説明がつく。
じゃあ、その2人ですらできなかったことがなぜレイとレンにはできるのか。それに対する答えが欲しかった。
②レイとレンが対ってどういうこと?
レンとレイが遠隔地にいてもコミュニケーションが取れたのは、2人は対だから以外に説明がつかないなと感じる。それなら、なぜ2人が対なのかについて納得できる答えが欲しかった。
パルパティーンの孫とダースヴェイダーの孫。ダースヴェイダーはパルパティーンの右腕であったことは間違いないけれど対かって言われるとうーんって感じするので、ワンクッションなにか説明が欲しかったな。
③パルパティーンの出現があまりに突然すぎる。
なんかもうちょいなかったの?なんか字幕でさらっとパルパティーンがとか言われても「は?」ってなってしまう。
それにパルパティーンは死んだはずだし本人も劇中で自分は死んだと言っているのになんか生きてるみたいだし…フォースってそんなことするような力でしたっけ…フォースは死者を蘇らすことはできないみたいなことどっかのエピソード(1〜6のどれか)で言ってませんでしたっけ…時間の関係か?()
私は今までのスターウォーズというものに特にこだわりはない。最低限の世界観さえ守ってもらえれば(これはシリーズ物として当たり前)、別に善と悪の勧善懲悪の物語でなくしてもいいし、旧三部作で出てきたキャラクターを死なせてもいいし死んだキャラクターを復活させてもいい。
ただ、そうするのなら納得がいくだけの話の筋道が欲しい。それはスターウォーズであろうがなかろうが関係なく、映画というものには必ず必要なものだ。
それが不十分だと思う。EP8にしても9にしても。だからただただ既存を壊しただけという風に見えてしまうんだと思う。8・9のレビューに散見される否定的な意見の多くはそういう考えだと思う。納得できるだけの筋道がないのだ。
具体的にいえば、ルークレイアハンソロを死なせる必要はあったのか。話の流れに3人の死は必要だったのか、今までよりフォースの使い方が多様化したが、多様化する必要はあったのか。
それについて納得できる筋道がはっきりと示されていないために、とりあえず着地させたなという感じがしてしまうんだと思う。
1つ1つの作品自体はそれなりに魅力的なのに、私の中ではEP7〜9はなかったことになりそうで悲しい。
それぞれの監督、キャストは悪くない。ただひたすらにディズニーとキャスリーン・ケネディにやるせない気持ちを覚えてしまった作品だった。