「さようなら、子ども時代」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
さようなら、子ども時代
いったいどうしてこうなった?と失敗の原因を探りながらの鑑賞になってしまった。
本当に面白くない。ストーリーが幼稚すぎる。レイの出自も予想どおり過ぎて拍子抜けした。秘密にするほどのことだったろうか。エピソード7でさっさと明かしてその葛藤や苦しみをルークやレイアと分かち合いながら、ジェダイ全員でパルパティーンの野望に立ち向かったほうがよほど心が躍っただろう。パルパティーンもまどろっこしい遠隔操作などせず、エピソード7でその存在感を高めておけば、ラスボスとしての強大さや憎々しさが増していただろう。どれもこれも中途半端で、素人でもできるような謎解きを用意したことが間違いだったのだと思えてならない。伏線の回収をたった一話に凝縮せざるを得なくした、3エピソードの企画全てが失敗だったのだ。せっかく9つものエピソードを40年以上に渡って受け継いできたのに、ラスト一話で全て回収させるなんて、ダイジェスト版しか作れなくなるに決まってる。唯一感情が揺らいだのは、ラストシーンで聞こえてきた数多の声。少しばかり長い年月を経てきた作品ならではの、メランコリックな場面だった。
ルーカスが製作していた時代の荘厳な絵巻は、子ども騙しの幼稚なアトラクションにとって代わった。ラスト3部作は、自分にとってそういう意味でしかなかった。ルーカスが権利をディズニーに引き渡した時点で、自分の子ども時代も終焉を迎えていたのだ。金にものを言わせた人々が、子ども時代の夢を安っぽく再現して台無しにした。そういう意味で、現代を反映した映画でもあった。さようなら、子ども時代。