劇場公開日 2019年12月20日

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「スカイウォーカーの弔い」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5スカイウォーカーの弔い

2019年12月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

語るべき物語がなくなったときに映画は幕を閉じるべきであると常々思っている。それゆえに本作には心底ガッカリした。EP6でやっと訪れた平和を壊してでも語る価値のある物語が新3部作にあったとは思えないのだ。ここまで引っ張ってきた謎や疑問はJ・J・エイブラムスお得意の“後出しじゃんけん”という荒技でご都合主義的にカタをつけ、あの件はどうなってるの?なんでそのキャラが出てくるの?という観客の疑問に対して、その当事者をいとも簡単に退場させることで説明責任を逃れるというどこぞの政府のような幕引き対応に終始呆れっぱなしだった。

そもそも、個人的に新3部作はEP7-8で黒星が先行。もう後がない状態で起死回生のKOパンチを打つことがEP9の使命だった。いや、KOパンチが打てなくとも、最終ラウンドで見応えのある展開があれば、少しは満足できたであろうが、驚くほど何もない。シリーズ集大成の見せ場であるはずの最後の戦いですら、誰が、どこで、何のために戦っているのかが分からないお粗末さ(EP6の3カ所での同時進行の戦いのリンクがいかに凄かったか改めて感心)。

もちろん映画は時代を反映するものだ。EP4-6のような勧善懲悪、単純明快なものではいけない時代なのかもしれない。故に人の心の不安定さや、各々のキャラクターに善悪の両面を持たせることも必要だ。しかし、3作通じてライトサイドとダークサイドの間で揺れ動く煮え切らない主人公たちの葛藤にお付き合いするのは、いい加減ウンザリしてしまったし、善悪の間で揺れ動く者の葛藤は既にEP1-3でやりきっている。

それだけにEP9のこの展開、この結末は語るべき物語は既にEP6で終わっていたことの証明としか思えないのだ。少なくとも私にとって本作のタイトルは『スカイウォーカーの弔い』であり、42年間多くの映画ファンの期待を背負いながら良い時も悪い時も戦い続けてきた『スター・ウォーズ』というコンテンツに穏やかな安らぎを与えてほしいとフォースと共に願うばかりである。

Ao-aO