「最後にもう1度、友人たちに。」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け tentekomaiさんの映画レビュー(感想・評価)
最後にもう1度、友人たちに。
全国2300人だけに許された前夜祭上映争奪戦は今回も瞬殺玉砕(笑) 昨夜12/20/0:00からの公式初回上映を観にTOHOららぽ横浜のIMAXへ。EPⅧの記憶ゆえ“嫌な予感がするぜ”と思いつつ会場は見事な満席。やっぱりファンは簡単には引き下がれないのだ(笑) いつもの初日なら万雷の拍手で開幕だが、流石に不安を表すような疎らな拍手で開幕…いかん、不安はダークサイドに繋がるぞぃ!…でもやっぱり“遠い昔…”とSTARWARSのロゴとテーマ、そして見慣れない“EPISODEⅨ”のタイトルロールが飛び込んでくると「あぁ、世の中もSTARWARSも色々あったけど、2015年から本編3作、スピンオフ2作、毎年新作を劇場で観れただけで、幸せだったな」と感慨にひたってしまった。
★先ずは具体的なネタバレ無しでの感想
公開前にJJエイブラムスが「全9部の締め括りとして出来るだけ拾っていった」という主旨のことを述べていたが、なるほど、伏線回収というよりは「あんな事もあったよね、こんな感じのとこも行ったよね」といったように過去8作(いや、ローグワンやハンソロも含む)のシチュエーションや面影を走馬灯のように巡って見せる、言わば“長い長いお別れビデオレター”といった趣の作風となった。JJによるEPⅦでのEPⅣオマージュは露骨すぎという批評も多々あるが、今回はシリーズ各所からイイさじ加減で“STARWARSあるある”を引用して終始懐かしさに溢れており、ふとスクリーンの前に、TV放映やビデオを夢中で見ていた子供の頃の自分の幻を感じるような、そんなノスタルジーを味わうことができる。
★ここからはネタバレ覚悟で印象的なポイントの感想(未見のかたは本編をご覧後に。)
▼レイア登場シーン
EPⅦの未使用素材を活用したとのことで、実に巧みに組み込んでいる。特に当時CMでは使われていたレイアとレイの間でのライトセイバー受け渡しカットが、今回ピタッとハマった。流石にデジタル加工で造ったと思われるが若きルークとレイアの訓練シーンもグッときた。
▼ハンとベンの対話
ハンはEPⅦで亡くなり、ジェダイでも無いためゴースト出演も不可能だったが、今回善と悪の間で葛藤するベンの記憶の中の存在として再び登場。EPⅦの時と同じようにベンの頬に手を添えて父としての声をかける。さて、今度はベンはどうする?という巧いアンサーシーンでしたね。しかも最後のセリフは“I Know.”ですよ。泣ける。ハリソンのクレジットがエンディングに無かった?のは事情が気になるね。
▼エンドアでのレイとベンの戦い
不安定なデススターⅡ残骸上で大波に揉まれながらの戦いはEPⅢのムスタファでのアナキンとオビワンの戦いを彷彿。オビワンはアナキンに瀕死のダメージを与えて去り、結果アナキンはシスに染まりましたが、レイはベンに瀕死の一撃を与えるも、すぐさま治癒します。これがベンが善人に戻るきっかけにもなります。あの時オビワンも手を差し伸べていたら…?
▼結構小説やファンの予想も採用?
パルパティーンはクローン技術を応用しての復活という発想は小説シリーズにもあったし、レイの出自はパルパティーンの孫というのもEPⅦの頃からファンの有力な見立てだったので、「ファンの予想合戦は採り入れないようにしている」という見解も多少緩和したのかな?
▼オクトー=ダゴバ
周知の通り、本3部作でのルークはオリジナル3部作で言うところのヨーダの立ち位置であり、それぞれ辺境の星に隠居していて、それぞれ若きルーク、レイが修行にやってくる。今回ゴーストとなったルークは海に沈んだ愛機レッドⅤを在りし日のヨーダよろしくフォースで引き上げてみせる。BGMはヨーダのテーマ! 直前にはレイが火に投げ捨てたライトセイバーを手にし、「これは粗末にすべきものじゃ無い」とEPⅧでポイ捨てした自分を棚に上げてお茶目に言い放つ(笑)
▼スカイウォーカー家の終わり
ハンが亡くなり、レイアも亡くなり、善の心を取り戻したベンは最後にレイに力を授けて力尽きる。「もう救ってくれたんだ、ルーク」といって力尽きた祖父アナキンのように。願わくばラストシーン、ゴーストとなったルークとレイアの横にベンもいてほしかった。
■まとめ
まずはJJエイブラムスの仕事に讃辞をお贈りしたい。この1話のみでEPⅧからの修正と全9部の大締めを(監督途中交代のうえ)しなければならない中、確かに未回収の伏線や無理のある展開、編集が散漫になっているカ所も数多くあるが、やれる限りをやった充分な結果と思う。あわよくばキャリーが存命で、EPⅧが示した伏線の本来の意味をEPⅨで語ることが出来ていたら、EPⅧに対する見方も実は大きく変わったのではないかと悔やむ。レイアが実はジェダイという設定もたぶん本来のEPⅧからⅨへの流れで、敬意を表しての名残だろう。
本3部作は特に“フォースの乱用”が批判を浴びているが、例えばレイとベンの蘇生能力や空間移動能力はシスの子孫や力にふれたものの成せる技かもしれないし、ゴーストとなったヨーダやルークが物理的に物を動かせるのもそもそもゴーストになるなんて設定自体が突拍子ないわけで、ツッコむのは野暮である。むしろなぜそれが可能なのか?を色々想像をめぐらせるのが、この遠い昔はるか彼方の銀河に対する楽しみ方なんだから。
さて、最後に“もう2~3度”、友人たちに会いに映画館へ行こう!