「ファンファーレは鳴らない」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
ファンファーレは鳴らない
2017年。
12月15日午前2時32分。
新宿東宝の劇場内はパラパラと乾いた拍手はあったものの、上映前の盛り上がりは一気に静まりかえり、それまで上映されていた最後のジェダイをどう解釈すれば良いか戸惑うファン達が思考停止になり、さながらお通夜の様相だった。
2時間半観続けて、さほど進捗が無かったスターウォーズと言う伝説が崩壊する場所に居合わせて、その内容を解釈し、自分なりに納得する形に落とし込んで、12月19日、期待と恐怖を胸に抱き、カウントダウン上映に向かった。
既に、数時間前に六本木での先行上映を幸運にも観ることが出来たと思われる熱心なファンも居たがその顔は明るかった。
日付が変わると同時に劇場が暗くなりルーカスフィルムのロゴ。
しかしファンファーレは鳴らない。
JJはフォースの覚醒で並々ならぬ重圧を乗り越えて、作品を作り上げ、種を撒いた。
その芽が咲いたと思いきや、ローラ・ダーンが銀河の彼方へ吹き飛ばした。
予告でてっきりクライマックスだと思っていたカイロ・レンの無双に始まり、あっけなくパルパティーン復活。
雑に扱われるスヌーク。
そして、砂漠でのタイサイレンサーとレイの一騎打ち。
そこからチューバッカの取り合いでレイの出生の秘密が明らかになる。
8の誰でもジェダイの新解釈を結局振り出しに戻して、ローズの出しゃばりも極力抑えめにして、8でのチンタラした進行も忘れさせる程の気持ちの良い、それでいてそこまで無理の無い展開。
居ないはずのレイアの演技ひとつひとつに涙をこぼしながら、レイアとハンソロがカイロ・レンを呼び戻す。
涙腺崩壊。
強かったポー・ダメロンが戻ってきて、HEROSのあの人とか、ロードオブザリングのあの人とか、自然な感じにそこにいて、ミレニアムファルコンが宙を舞う。
涙で覆われた向こうにイウォークの姿を見て、最後はあの場所で、二つの夕陽を観てそれにBB8が重なる。
良かった。
観続けて良かった。
信じて良かった。
この映画のそのものが何かしらのフォースに包まれていて、ようやくファンファーレの鳴らないスターウォーズを受け入れられた気がする。
P.S. 前作以後に一緒に観に行こうと約束していた女性との関係は破綻してしまい、僕のフォースは覚醒しませんでした。