劇場公開日 2019年12月20日

  • 予告編を見る

「新たなる希望」スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け Pennaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5新たなる希望

2019年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

満席の映画館が、張り詰めた緊張感に包まれる。

浮かび上がる"A long time ago in a galaxy far, far away.... "の文字。
そして、あの壮大なオーケストラの音楽。
不安と期待が交錯する中、私達を一瞬であの世界へと連れて行ってくれる。

もう、この旅路は終わるのだ。
この感覚を味わうことができるのもこれで最後かと思うと、宇宙の孤独にも似た寂しさに支配される。

昨晩、劇場であの感動を共有した400人強の観客一人ひとりが、人生の決して短くない時間を、この映画とともに過ごしてきたのだろう。
一つとして同じ人生が無いように、誰しもに自分の中のスター・ウォーズがある。
その思い入れの強さこそが、このシリーズの魅力であり、難しさでもある。

我々は弱い生き物だ。
子供の頃の純朴な眼差しは、いとも簡単に曇ってしまう。
あの頃、「あんな大人にはなりたくない」と思っていたはずなのに、現実は残酷なまでに理想との間に深い溝を刻みつける。
その溝の深さに、自らの恐ろしさに、思わず足がすくんで前に進めなくなる。

スター・ウォーズはそうした人間の弱さを、まっすぐに描いた作品だった。
アナキン、ルーク、ベン、そしてレイもまたそうした弱い人間だ。
その弱さをどう受け止めるかが、この作品の一貫したテーマであると思う。

J・J・エイブラムス監督はこの問いに対して、彼の答えを示してくれた。

長い旅路の終わり、最後に映るあの光景を目にした時、私達は「新たなる希望」を胸に抱くことだろう。
この映画と同じ時を過ごせたことに感謝したい。

Penna