「熱いけれども雑過ぎる」パパはわるものチャンピオン kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
熱いけれども雑過ぎる
もともとが絵本とのことで、子ども向けに作成された映画のような印象です。
ベタな盛り上がりを見せますが、演出があまりにも雑で、ガッツリと世界観に浸ることは難しかった。元が絵本だし、オーバーな演出の方がわかりやすいし、みたいな意図があったのでは、と邪知してます。
日常パートが雑だと、ホント引きますね。プオタ女子のエキセントリックな演出とか、素顔の時にマスクマンの名前で互いに呼び合うとか、正直鑑賞に耐えられないレベルでした。
神は細部に宿りますからね。雑演出の映画は、いくらストーリーが良くて盛り上がっても、質の低さを感じてしまいます。
とはいえ、新日ファンムービーとしては熱く、レスリングパートはおしなべて説得力抜群でした。ラストバウトはなかなかドラマティックで、若干レッスルマニア18のロック様vsハルク・ホーガンの通称『Icon vs Icon』を少し連想。フィニッシュに向かう展開もすごく良かったです。
あと、棚橋を始めとする現役選手もおしなべて好演でした。特に田口はいぶし銀の雰囲気があって、俳優としてもイケそうですね。
また、新日がここまで持ち直して、ファンムービーまで作れたか、と思うと胸熱です。永田さんがヒョードルに撲殺されたり、アルティメットロワイヤルとかやってたころは、このまま新日は消滅していくんだろうな…なんて雰囲気がありましたし。
だからこそ、雑演出が勿体無いと感じました。せっかくの機会なんだから、もっとクオリティの高いものを作って欲しかったです。
あと、本作は中島らもの『お父さんのバックドロップ』にちょっと近い構造を持ってましたね。原作が参考にしているのだろうか。