「裁きの曠野」ウインド・リバー bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
裁きの曠野
C.J.ボックスが好きで、映画.comのニックネームも彼の著書の原題を拝借したもんです。だから、この映画の設定はど真ん中のストライクな訳で、凍った曠野や雪の解けかけた山脈と言った景色だけでワクワクしてしまう。
某国には同情とか共感という概念が無く、翻訳に困るのだと言う話を聞いたことがある。ネイティブ・アメリカンには、おそらく「正義」の概念が無い。自然に宿る精霊が全てを決めるのだから必要ないんだ、きっと。
他所からやって来た無法者達は、コリーの手製カスール弾に吹き飛ばされるのだが、それは仲間の命を守るためだ。最悪の1人だけはガネットピークで自然の裁きを受ける(本当にあんな所まで連れて行けるのかどうかは知らないが)。低圧で膨れ上がった肺胞に氷点下30℃の呼気が流れ込めば、一呼吸毎の陽圧で毛細血管は破裂し肺の中は血液で溢れる。自分自身の血で溺れ死んだ男は報いを受けただけであり、コリーが正義を全うした訳じゃない。勿論、友人の娘の復讐でもない。あくまでも自然の裁きによる結果なのだ。だからコリーは氷の様に冷たくいられるし、罪悪も感じない。
連邦法に裁きを任せない。州法にも渡さない。この地で犯した罪は、この地の神の裁きを受けてもらう。ただそれだけのこと。
現代西部劇の基本例題の様なお話でした。
日本の神道に通じる精神。雄大な自然。強烈な火力を持つ銃器と凶器。惹かれる要素が揃ってる、個人的に。
C.J.ボックスの映画化、本当に、本当に、心待ちにしてます。まだ映画化されてないだなんて、そっちの方が謎だし。
bloodtrailさん
コメントへの返信有難うございます。
その背景 ( 鑑賞後、スマホで少し検索しました 👀 )をどの程度認知しているかで、捉え方が変わる作品ですね。
西部劇、ほぼ( ゼロに近い ))観ていません ☺️
bloodtrailさん
「 現代西部劇 」、確かにそう考えると、この作品をより理解出来る気がします。
ですが、重い作品でした。
今も、ずっしりが続いています。
へええ、bloodtrail さんの名前って、そういうところから来てたんですね。知らなかった。
このレビュー、映画とほぼ同じ体温の、ホントにクールなレビューですね。めちゃ、好感です。