「survive or surrender」ウインド・リバー everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
survive or surrender
舞台はWyomingのWind River。
その一角を占めるIndian Reservationは、Arapaho族を含むIndigenous Americansが追いやられた不毛の地。
事件捜査の過程で、この地域が抱える闇の深い数々の課題が浮き彫りになっていきます。
かつてインディアンが生活の糧としていたバッファローは根絶され、多くの産業も農業も根付かず、一年の大半が雪に埋もれたような土地柄。住民達の心も凍傷にかかり、ルーツへの誇りは勿論、将来の夢も希望も凍てついているようでした。屈強な戦士の血が流れているイメージの”インディアン”の子孫が、根を上げたくなるほどの戦闘相手は、過酷な自然環境と社会問題。現実逃避したくても、娯楽すら容易に得られず酒や薬物に溺れ、大雪に抑えつけられた鬱憤と憤怒は、平穏な生活を望んでいるだけの人々からも、ようやく咲いた美しい花を無惨にもぎ取り踏みにじります。
過去に殆ど全てを強奪したのに、
再建の機会を与えることのないまま、
これからもどこまで奪う気なのだろう。
世界を変えられないなら、
この境遇で静かに強く生き延びるのみ。
ただただ、命を守るのみ。
隙を見せれば終わる残酷な弱肉強食の世界。
最後の銃撃戦が凄まじいです。
吹き飛ばす威力が、正義の怒りを表しているようでした。
共に娘を失った父親達の絆が涙を誘います。
痛みを受け入れてこそ素敵な思い出も残るのだと。
井戸水を飲んでいましたが、過去のウラン採鉱の影響で汚染されている可能性があるようです…。
エンディング曲が、凍りついた感情を溶かすような音色でした。
“Luck don’t live out here.....Out here, you survive or you surrender. Period. That’s determined by your strength and by your spirit. Wolves don’t kill unlucky deer. They kill the weak ones. You fought for your life..... Now you get to walk away with it. You get to go home.”