「雪上ジェットカーだけが爽快だった。」ウインド・リバー kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)
雪上ジェットカーだけが爽快だった。
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愛情の反対は憎しみではなく無関心だ。アメリカ合衆国はネーティブアメリカンたちを特定の居住区に隔離している。先住民に対するリスペクトはない。フロンティアは逆方向から見れば侵襲だ。中央から無関心に放置され閉ざされた住民たちの悲しみの連鎖が切り取られた秀作であると思う。白い雪の上の真っ赤な血のごとく浮かび上がった。吹雪が去ればまた、血潮も犯人の足跡も消し去ってしまう非常な土地で。
(ふと、沖縄に思いが入ってしまったのは私だけではないのではないか。)
希望に満ちたいたいけな少女が犠牲になる殺人事件は個人的な悲劇だが、住民たちの集合意識の一部でもある。コヨーテは、家畜や放置された死体には手をつける。しかし、本当の獣のような鬼畜は暖房の効いたインドアにしかいなかった。
隔離されていても武器と薬はやすやすと侵襲してくることも悲劇を増幅する。殺人事件と立件されない限りFBI捜査官はたった一人張り付くことすら難しいこととの対照も実に皮肉であった。
主人公二人の表情の豊かさと、映画ならではの臨場感あふれる雪上ジェットシーンの爽快さに救われた。
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