「重厚なサスペンス映画であり、切り込んだ物語でもあり」ウインド・リバー テツさんの映画レビュー(感想・評価)
重厚なサスペンス映画であり、切り込んだ物語でもあり
観た後重たくズシンとくる作品
物語は女性の遺体の発見から始まる
彼女は裸足で足は凍傷、暴行の後もあり、派遣されたFBI捜査官は地元のハンターに協力を仰ぎ、捜査を進めるが…といった処だろうか
冒頭にも出されるようにこの物語は史実を元に作られている
ネイティブアメリカンの先住民たちは強制的にある地域に住まわされている
そこは雪に閉ざされた大地であり、追い込まれ抑圧された者たちは醜く哀れな罪を犯し、その被害にあったかもしれない女性たちの失踪者は正確な数が分からないまま…
このようなアメリカ社会の闇深い一端がジェレミー・レナー演じる地元のハンターとエリザベス・オルセン演じる地元を知らないFBI捜査官の視点を通して描かれており、
観た者に衝撃と暗い影をおとす
また、この作品で描写される被害者遺族の怒り悲しみは心に突き刺さるものがあり、ハンターの彼は3年前に娘を失った者であり、今回は同じ被害にあった女性の犯人捜しをする立場でもある。
彼の怒りであり悲しみがジェレミー・レナーの抑えた演技がそれを静かに表してくれている
サスペンス映画としても非常に見応えはあり、静かな画面に緊迫感が漂っており、銃撃戦も生々しくリアルな雰囲気をまとわせている
アメリカ社会の暗部を描きつつ、犯人を巡るサスペンス映画としても素晴らしい作品
どうしてもお国柄というか、アメリカ社会の実情をそこまで分かっていない面があるので、この暗部をもっと理解した上で観るとよりこの社会的問題を感じながら観られるのかもしれない
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