「作品の意図は面白かったのですが...」デイアンドナイト ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
作品の意図は面白かったのですが...
自殺した父親の秘密を探るうちに、昼は孤児を世話する善行、夜は自動車泥棒の悪業を重ねる闇のグループに深く関わることになってしまう主人公(明石幸次)に纏わる社会派ドラマ。善行を施すにはお金が必要ですが、そのお金を得るためには何をしても良いのか?と言う重たい問題を問いかける矛先はなかなか鋭いものがあると感じました。「清濁併せ呑む」と言えば、度量の広さを褒める様な肯定的なニュアンスがありますが、一人の人間が右手で善行を、左手で悪業を行うとなると話は別。やはりそれを正当化するには無理があります。しかし、大なり小なり私達は似たようなジレンマを抱えながら、何とかその中間を掻い潜ろうとあくせくしているのが現実ではないでしょうか?その意味で本作のテーマは、少し直球過ぎて扱いに困ってしまうのですが、私達の日常の本質を突いているような気がしました。ところでこの作品では幾つか不自然に感じられる演出が気になりました。地方の小都市(おそらく東北)が舞台の筈なのに、毎夜毎夜自動車泥棒をしてもばれなかったり、盛り場がやけに大きくて盛況だったりする点は兎も角としても、闇のグループを率いる北村亡き後も孤児院が何の変りも無く運営し続けられるのは何故でしょうか?資金に余裕があったのなら自動車泥棒など続ける必要も無かった筈ですし。作品の狙いはとても面白かっただけに、偉そうなことを言うようですが、もう少しリアリティがあれば文句なしだと思いました。
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