「なんだかやみつきになるこの妙演。クスクス笑いが止まらない」ハード・コア ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
なんだかやみつきになるこの妙演。クスクス笑いが止まらない
平成の奇書とはよく言ったものだ。そんな原作が平成の終わりにまさかの映画化を迎えるのも宿命と言うべきか。この特殊すぎる味わいを損なうことなく、社会の底辺でこだわりと生きにくさを持って堂々と這いつくばる男たちの相貌を色濃く浮き彫りにする。その点、さすが山下監督。深刻になりすぎず、かといってカルトな方向に行き過ぎることもなく、我々は淡々と積み重ねられていくシュールな展開に終始ニヤニヤ笑いを浮かべながら、この不可思議で切ない男たちとロボットの友情にじっくり心を寄せることができるのだ。本作の中では誰もが一笑に付してしまう嘘のような現実が思いがけない展開を見せる。しかもその背後に隠された逸話や理由についてはほぼ黙殺された(というより知る由も無い)状態。果たして話が前進しているのか後退しているのかわかったものでは無いが、その宙ぶらりんな状況できりもみする山田と荒川の妙演がクセになる。とことん珍味である。
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