劇場公開日 2018年6月29日

  • 予告編を見る

「もはや観光地化した怨念渦巻く家」ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5もはや観光地化した怨念渦巻く家

2025年2月16日
Androidアプリから投稿

現在もしっかり建立するお化け屋敷、"ウィンチェスター・ハウス"。完全な観光地と化してしまったが、幽霊の目撃談が後を絶たないのも事実である。そんな物語を1906年まで遡って映像化したのは、スピエリッグ兄弟監督である。どこかレトロ感漂うホラーやSFを得意とするコンビだが、本作はそんな才能を発揮するのに持って来いの舞台である。こだわり抜いた世界観は全作品を通して共通だが、もちろんふんだんに本作でも使われている。もはや、安心材料と言っても良いくらいだ。24時間体制で増築を続ける家は、とても歪な形をしており、「変な家」でも取り上げて欲しい代物である。その不気味であり荘厳な家に、ジェイソン・クラーク演じる主人公がやって来る訳だが、何と言ってもヘレン・ミレン演じるウィンチェスター家の家主のオーラが半端ない。だが、他の出演者のオーラもこれでもかと感じられ、それがより一層作品の質を向上させているように感じる。

だが、それも"らしさ"と取るべきなのか、かなりB級テイストである事は容易に見て取れる。恐怖演出や視覚効果、霊のメイク等は決して秀逸とは言えず、「ジグソウ ソウ:レガシー」で共に製作に携わったジェームズ・ワン監督や、「ブラック・フォン」や「フッテージ」等を手がけたスコット・デリクソン監督らに比べるとかなり質は落ちる。その部分の詰めが甘く、イマイチ盛り上がりに欠けてしまったのは勿体無い所である。せっかくの家もその存在感を示すことは無く、ただの"変な家"で終わってしまうのも惜しい。恐らくジェームズ・ワンならば時間になると家が勝手に動き出して…みたいなシーンがありそうだ。そこら辺の部分を直せば更に引き締まった作品になるだろう。それでもホラー映画としての基本はしっかり押さえているようであり、観るのに困った際は本作を観ても後悔は無いだろう。

Mina