「腹に一物あって当然」犬猿 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
腹に一物あって当然
クリックして本文を読む
本気で消えて欲しいと憎く思えど、本当に消えられるのは耐え難い。
私に兄弟はいないけど、親などに対して抱く嫉妬や嫌悪の感情と愛情を刺されたような気持ちになり、笑って泣きながら辛くしんどくもあった。
小競り合いを繰り返しながら生活する兄弟と姉妹がコミカルで笑ってしまうけど、一人一人を見ていくとそれぞれ言い分や頭悩ませることがあって。
私は由利亜に自己投影と感情移入しがちだったけど、真子の気持ちも理解できる。
ただそれは所詮傍観者だからであって、いざ自分の身になってみると酷く苦しくてたまらないよな…
なんとなく予想通りとはいえ、救急車のシーンは心揺さぶられてどうしようもなかった。
泣き喚きながら吐き出す後悔と懺悔と情の言葉が沁みる。
ただ、一度すべて吐き出してリセットしたとはいえ一筋縄じゃいかないのでまたすぐ始まる小競り合いに笑って終わる。
そりゃそうだけど、これからはもしかしたら今までとは何か違ってくるかもと思える良い終わり方だった。
ゆるいけどテンポは良く飽きずにずっと観ていたいと思えた。
急に時が流れたり展開したり、敢えてスクリーンに映さないシーンがあることで、内の見えない人間の心を表現されているように思えた。
大なり小なり家族ってこういうもんだよねと再確認できる、まさに愛憎溢れる面白い人間劇だった。
コメントする