「重い問題提起…」友罪 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
重い問題提起…
全編通してとにかく暗くて重いです。瑛太さん演じる鈴木(青柳)と、生田斗真さん演じる益田の二人を中心に物語は進みますが、ここにさまざまな人が絡できます。そしてその誰もが、つらく苦しい人生を歩んでいます。
殺人、自殺、死亡事故など、命が失われたことにより、あるいは家族や自分を大切にできなかったことにより、登場人物はみんな重い十字架を背負い、過去に苦しめられています。それは、加害者、被害者、その家族にとどまらず、親類縁者や友人にまで及びます。しかも、そこに終わりはなく、区切りをつけることも許されず、出口のない闇が続くだけです。そんな中、「罪を犯した者は幸せになってはいけないのか」という問いかけや「生きる価値がないと思いつつ、それでも生きたい」という訴えが、心に突き刺さります。
さまざまな人の苦悩の日々が描かれますが、それぞれが接点を持ちつつも最後まで深く絡むことはなく、どんでん返し的要素もなければ、納得するオチもありません。そのため、誰にも感情移入することなく、感動もないです。おかげで下手なきれいごとに丸め込まれることはなく、「もし自分なら…」と考えさせられます。結果として、問題提起だけされた形で、この作品を見た者がそれぞれの人生で、その問いに答えていくしかないように思いました。
ただ、まったく未来も希望も見出せない中で、益田と鈴木がわずかに心が通えそうだったのが、せめてもの救いでした。暗闇にわずかな光を見つけたような青柳を、瑛太さんが渾身の演技で魅せています。
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