「許すことの難しさ」友罪 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
許すことの難しさ
緊迫感のある展開と主人公たちの精神世界が興味深くて、グイグイ引き込まれながら観た
しかし、徹底的に暗い
面白いけど、暗い
そんな映画だった
ここで描かれるのは、未成年の頃に犯罪を犯した者たちが、大人になってから味わう苦悩
先日、新潟で起きた痛ましい事件と被るところが多々あって、とてもタイムリーな作品だった
悲しい事件が起きた時、当事者ではない人間にとっては、数年経つと「過去の出来事」になってしまうけど
当事者にとっては、「一生背負っていくべきもの」である
ではその場合、どこまでが「当事者」なのか
事件を起こした本人、その友人、そして家族
それぞれが、それぞれの十字架を背負って、常に後ろ髪を引かれながら生き続けることになる
何もそんなに思い詰めなくても…
と思うところもあるけれど、
いつまでも自分を許せない彼らの気持ちも理解できる
彼らが犯してしまった罪は、決して許されるものではないけれど
法的な償いを済ませた後は、彼らも普通の人として、生きていく権利がある
かといって、目の前にいる人が、「○○事件の犯人」だと分かってしまった時に、その人を平常心で受け入れることができるだろうか
私は、この映画を観ながらその答えを探し続けていた
その犯罪者たちに対する社会的制裁と、それでも生きていかなければならない犯罪者たちの心境をとても丁寧に描写した作品だった。
もう十分償ってるし、更生してるし、社会的制裁も受けたのは、分かってる
それでも受け入れられないんだという一般人の気持ちも見事に代弁している
新潟の事件があまりにリアルにリンクしてしまうように
この映画には、今の日本の闇があると思った
コメントする