「どんなジャンルにも属さない、まさに濱口作品と表現するしか術のない逸品」寝ても覚めても ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
どんなジャンルにも属さない、まさに濱口作品と表現するしか術のない逸品
運命はメビウスの輪のようだ。この、どんなジャンルにも属さないリズムとテンポを持った作品を享受していると、心底そう思い知らされた。全ては水辺で起こる。出会いも別れも抱擁も、後の様々な出来事も。自分が愛しているはずの人を目の前にしても、それが本当に愛している人なのか、愛の言葉を語り合いながらもまた別の人のことを思っているのではないか、との疑念が湧き出して止まらなくなる。それもドミノ倒しのように綺麗に、ゆっくりと倒れていくのだ。
しかし、この映画は愛の脆さを描くのと同時に、この世の全ての関係性が、互いに与え与えられながら、美しい弧を描くことに気づかせてくれる。それは男女の愛のみならず、親子であったり、友人であったり、このおよそ10年の間に日本人の誰もが何度も自問し続けてきた想いであったりもするのだろう。気づきがある。道のりがある。関係性がある。ようやくたどり着いたその境地がふっと腑に落ちた。
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