「言葉を変えても差別はなくならない」私はあなたのニグロではない とえさんの映画レビュー(感想・評価)
言葉を変えても差別はなくならない
アメリカで黒人が差別をなくすために戦ってきた軌跡をたどるドキュメンタリー
いきなり冒頭で映された昔のテレビの討論番組で
白人の司会者が「ニガーは」って言い出したところから始まったことにびっくりした
最近、あまり聞かなくなっていた言葉だったからだ
しかし、この映画を観ると
「ニガー」という言葉が使われなくなったのは、
白人が「差別していないこと」をアピールするために言葉を変えているだけで、
本質は何も変わっていないことがわかる
それをよく表しているのは、
この映画の中で「黒人の地位が向上した」
と宣言しているのは、いつも白人の政治家や学者たちであり
その宣言だって上から目線の
「してやった感」が溢れたもので
自分たちが心の広さをアピールするために言っているに過ぎない
では、本当に差別をなくすためにはどうしたらいいのか
白人が黒人をアフリカから奴隷としてアメリカに連れてきて、彼らをまるで物のように売買していた時から今までの歴史を白人が認めて受け入れ
「黒人初の」大統領というような「黒人の」という冠がなくなったとき
差別がなくなったと言えるのではと思った
それは例えば、黒人の学者に話しかける時
「あなたは、アメリカ人の学者です」
ではなく
「あなたアフリカ系アメリカ人の学者です」
と言ったら、それは言葉を変えているだけで「あなたはニガーです」と言っているのと同じ意味なのだ
彼らはその度に
「私はニガーではない」
と心の中で反発しているのだ
潜在意識がそこまで変わったとき、
恐らく白人が黒人に暴力をふるうことはなくなるだろうし
「黒人貧困層が暮らす地域」も無くなるだろう
しかし、全ての人々が、そのことに気づくまで
相当な時間がかかるだろうと思いながら、この映画を見終えた
そしてマーベル映画「ブラックパンサー」やホラー映画の「ゲット・アウト」が、どれだけ革新的で、そこにどれだけ彼らの思いが詰め込まれているのかが、よくわかった作品だった
これは「ブラックパンサー」の前に観たかったなぁーと、何度も思った作品だった