三里塚のイカロスのレビュー・感想・評価
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イカロスたちの苦悩・逡巡
この映画を見て良かったと思う。というのも、成田空港闘争に関してはTV・新聞・ネット記事等で得ただけの知識であったが、それだけでは感じ取ることのできない泥臭さ・生々しさ・人間の体温を感じ取ることができたからだ。反体制側は一枚岩ではなかったこと、また、体制側にも複雑な感情が宿っていたことなども、複数の人物へのインタビューから浮き彫りにされていく。
「後悔はない」と言う反体制側の女性が、諦めに似た笑みを浮かべている場面は強く印象に残る。あの闘争は何であったか、assertiveに語ることのできる人物は一人も登場しない。国家と資本に翻弄され、50年近く経過した現在においても確信が持てないままでいる人物の苦悩・逡巡が即物的に描き出される。
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三里塚を振り返るために
大変に良い作品であった。農民の素朴な怒りに端を発したその抵抗運動は、セクトの様々な参入を経て、やがて泥沼化し、延々と続くことで全体像が見えなくなってきた。その答えを提示するわけではないが、運動に携わった多様な人々に振り返ってもらうことで、社会運動や、それに携わることとは一体なんなのか、ということを投げかける作品になっている。
現在の映像だけでなく、過去の(小川プロ作品等の)映像も引用しつつ、三里塚闘争の歴史を概観し、多様な当事者へインタビューを行うことで、視点に厚みが出ている。
また、運動では、それを続ける人だけでなく、離脱する人や、方向転換する人も当然出てくる。そこに伴う苦みを丁寧に取り上げていた印象。
意外におもしろい作品
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