劇場公開日 2018年9月7日

「個人的ラストの解釈」累 かさね 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0個人的ラストの解釈

2019年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

怖い

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野々原 ポコタ
野々原 ポコタさんのコメント
2019年5月31日

※ちなみに鑑賞直後に、ドメスティックなサイトに上げたわたしの感想です

表現と自己顕示欲への渇望  ~ 累 と 響 の類似点 ~
(投稿者:ポコタ)投稿日時2018/09/21 19:42 評価4つ星

最初、私は本作を全くもってノーチェックで視聴する気はなかったのですが…
ほぼ同時期に公開していた『響 ひびき』を先に視聴して考えが変わりました。
「この2つの作品はきっと私の中で何かが繋がる」そう直感したからです。
そしてその読みは見事に当たりました。

私のつたない文章で思う様、共に描かれている類似点を書き連ねるに
狂気にも似た天才の存在と取り巻く人々のあいだに起きる…
嫉妬、嫌悪、不理解、劣等感、優越感、認知と周知
そしてそれらの欲望を内包しても尽きることのない
『表現と自己顕示欲への渇望』

あと、「響」のレビューで最初に記したのですが
●オスカー・ワイルド繋がり
(「響」という作品を紐解く上で私が思考メソッドに置き換えて勝手にこじつけただけ、
 「響」には直接関係ありません)←今では無関係じゃなかったと確信しております!
●表現者繋がり
●タイトル漢字一文字繋がり(今となっては偶然とは思えない、制作が同じ東宝ゆえ)

…と類似点を挙げましたが逆にこの2作品の決定的な違いを考えてみましょう。

私は主人公が『偽っているか、いないか』の違いだと思います。

「響」は偽りのない自分を突き進みます。
そこにシビれる憧れるぅー!でも同時に底知れない恐怖も覚えました。

「累」は顔を偽り、他人を偽りそして自分をも偽っていたと思います。
母親の亡霊に取り憑かれながら「私はサロメにはならない」と思っているものの
サロメそのものにならざるを得ない性なのでしょう。

主演の二人、芳根京子さんと土屋太鳳さんはまさに「二人二役」の演技でとても見応えがありました。
土屋さんの表現者としてのポテンシャル、劇中劇の「七つのヴェール」の印象的なダンス
そして『あぁ…わたし、あなたの唇に、キスをしたわ…ヨカナーン!』
という言葉が呪詛のように作品の中にも、私の中にも深く沈殿して行くのでした…

野々原 ポコタ