The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめのレビュー・感想・評価
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門によって分けられる日常と戦争
戦争と日常が、寄宿学園の門によって分けられていたのに、負傷した兵士が門の中に運ばれることによって、境界が曖昧になってしまい、寄宿学園のなかにもまた戦争状態が運び込まれるおはなし、
日常生活には秩序があって、それが守られていれば、その生活は保たれるけれど、戦争にはそれが全くない。
女たちは美しくて紳士的な負傷兵に興味を持って、取り合う。女たちによる男を巡る戦争。
その結果、男は階段から落ちてしまって脚を失うのだけれど、逆上した男は女たちに憎しみを持つようになる。女たちと男の戦争。
結局彼は女たちが毒キノコを食べさせて殺されてしまう。
寄宿学園のなかの戦争が終わった証として、彼は門の外に出されてしまう。運び込まれてしまった兵士が、戦争が、また外に出される。とても象徴的な場面。
彼女たちが共謀して、彼を殺すことができたのは、戦争状態で、秩序がなくなっている状態だったからこそ。敬虔なキリスト教主義者たちが日常において、教えに反くことである殺人を犯すことは考えられない。戦争は、秩序も人間の信じている宗教もすべて意味のないものにしてしまう、
とんでもない男
女性しかいない閉ざされた館の中で、一人傷ついた兵士が入ることによって、男を意識し、浮足立ち、それまでの関係が変わっていく様は、女性監督ならではの上手い演出。ジゴロ感を出したら天下一品のコリン・ファレル。最年長の先生として、男に次第に惹かれながらも、理性で落ち着かせるキッドマン、唆されて、純情なキルスティン・ダンスト、少女たちより年上で恋に好奇心旺盛なエル・ファニングがそれぞれはまり役。しかし、少女も居るのに、毒キノコ摘ませて、皆で会食しながら殺すって、やっぱり女性の陰湿な部分、怖いけど上手く描いている。まぁ脚が無くなり、発狂するコリン・ファレルもリアルでわかるけど、女たらしは自業自得。
ゾウの鳴き声が聞こえてきたような気がした。
中学生の頃、深夜に放送されていた『白い肌の異常な夜(1971)』というタイトルに無性に惹かれてしまい、親に見つからないようにこっそりテレビを見ていた記憶があります。そのうちタイトルも忘れ、また同じ深夜映画を見てしまうことを繰り返し、4回くらい見てしまった。ドン・シーゲル監督、クリント・イーストウッド主演のその映画は忘れることのできない作品となりました。本作はソフィア・コッポラ監督が同一原作を女性視点に変更して再映画化されたものです。
71年版では思いっきりイーストウッドに感情移入できたのですが、今作ではさすがにコリン・ファレルに感情移入はできない作り。南北戦争当時の服装も清楚なイメージが残り、全体的に綺麗な映像になっていました。またニコール・キッドマン演ずるマーサ園長も美しく描かれすぎて、男に対する欲望もあっさりしていたような気がします。「私だって女だから・・・」といった、嫉妬も入り交ざったドロドロ感が物足りないのです。その点、教師エドウィナ(キルステン・ダンスト)と年長のアリシア(エル・ファニング)は71年版の女優たちと全く同じ雰囲気。階段から突き落とすシークエンスもデジャヴを感じたくらいでした。
もう一つ物足りなかったのは、負傷したジョン・マクバニー伍長(コリン・ファレル)を発見したエイミー(ウーナ・ローレンス)の描かれ方。幼い彼女もまたマクバニー“男”として、もしくは父親への憧憬みたいな接し方をして、カメのヘンリーを投げつけられたことで怒り、復讐の念を燃やすといった役割を果たすハズなのですが、その怒りがマーサ園長の陰に隠れてしまった感がありました。これは惜しい・・・
また、全編通してほとんど音楽が流れないのも特徴。虫の音が眠気を誘う心地良さを醸し出しています。実際、ストーリーを知っているためかウトウトしてしまいました。脚を切り取られたあとではゾウの悲鳴によって目が覚めたという感じだったのですが、上映時間も93分と短かったため丁度いい具合でした。
私は伍長が怖かったです。
女の怖さよりも、伍長の暴力性のが怖いやんってあたしは思いますけどね。
結構怖い話ではありました。
南北戦争時代の小さな女子寄宿学校。
そこに北軍の負傷兵がやってきて、みんなムラムラした挙句、関係性が崩壊するスリラー?です。
聖なる鹿殺しでも思ったけど、ニコール・キッドマンの老けなさは異常ですよ。ちゃんと老けないとこの先もっと大変になりません?と、余計なお世話ですが思いました。
ニコール・キッドマンでさえ、女は若く美しくなければならぬという呪いからは自由になれないのだね。
こわい映画ですよ
たいへん絵が美しかったです。
構図や色や世界観がいちいちソフィア感満載で、映像見るだけでも価値あります。
ストーリーも単純で面白かったです。
エイミーがかわいすぎた。
今後の成長が楽しみです。
なんとなく「狼と7人の子やぎ」を思い出しました。
サスペンス?スリラー?ジャンルよくわかりませんが、一瞬で表と裏がひっくり返る感じ、よくわからないもの同士、少しずつ距離を縮めて、信頼して、安定したと思ったら、狂気に震え、後悔したり。
最後はエゴが勝つのですが、そういう人間のドロドロに満ちたすばらしき後味の悪い映画になるはずが、ソフィアマジックでなんだか童話風なグリム風に仕上がってます。
映像の力はすばらしいしおそろしいです。
画が美しくすぎていろんな道徳感がふっとびます。
ソフィアコッポラ。
ある意味、狂気に満ちた作家だといえます。
そういう意味でゾッとする映画でした。
衣装と情景が綺麗
だいぶ前に同監督のマリーアントワネットを見たが、その時はとっても華やかでポップな印象。
今回は、淡く美しい世界の中で一人一人の女性たちに個性があり衣装の無垢な美しさ・可愛らしさが素敵。
ストーリー自体は、「ああ、こうなっちゃうのね」という感じ。
脚を失った怒りを彼女たちにぶつけている感じ
思ったよりサスペンスだった
タイトルの持つ意味が深い
beguileという単語を知らなかったので引いてみると、騙す、欺く、紛らわせる、楽しませる、喜ばせるという意味があってまさしく…という感じ。
女性の園に男性がひとり…ということで女性の奥底にある性的な欲望…に目が行きがちだけど、もっと無邪気な欲望も複雑に入り組んでいると思いました。
拾ってきた小鳥やかぶと虫じゃないのよ、というセリフがあったけどあの学園の女性たちにはそういう類のエゴがあったと思うし、頼られることによる無意識の支配欲、信頼されているという満足感、そして反動のように裏切り(少なくとも真相を知らない者にとっては)に対する鋭い残酷さが際立っているように思えました。
そして責任の伴わない気まぐれな愛情に翻弄されていくジョン。生い立ちや戦争から心身ともに傷があったところに幼い少女との友情、大人の女たちからの愛情にさらされれば無理はないんじゃないかな。もしかしたら言っていることが嘘かもしれないし、男慣れしてない女の子なんてちょろいぜと思っていたのかもしれないけど。
意図して騙し騙され…というよりは結果的に騙した形に、騙された形に…という感じが面白かったです。悪意があったわけでもないのに坂を転がるように物語が進んでいくというか。
あとさすがソフィア・コッポラ、期待してたとおり画面がとにかく美しい。最初から最後まで目も楽しい作品でした。
しかし欲望のめざめとかいうロマンポルノみたいな副題はなんとかならなかったのかしら…。
観れば言いたいことはわかるんだけど、観る前はドロドロなやつだったりするのか…?と思ってしまった。
閉鎖的空間の中で
女性、少女たちの白い衣装が禁欲的、蠱惑的で画面から目が離せません、たった一人の男の侵入によって崩されていくのは無理ないことなのか。
その均衡と秩序のに危うさがたまりません。
ニコール・キッドマンの演技、毅然とした態度が崩れることがなく、彼女がいるからこそ、女の子たちの安全が保証されているのです。
自分の存在が何をもたらすのか、気づいていないのだとしたら、男という存在は一体何なのか。
足一本と引き換えに命が助かったことは、男としての存在意義がないと考えているなら、これほど愚かなことはないと思ってしまいます。
戦争のせいにするのは簡単、で最後の晩餐で死んでしまった男が、見ている側の自分としては可哀想とも、哀れとも思えなかったのは、自分が、あの学園の中の一人だったら。
そんな気持ちになったせいかもしれません。
毒キノコで男の命を奪うというのは、いかにも女性らしい血を見ないやり方です。
そして門の外に捨てるように置かれた死体、結局はこうなる運命だったんだと、思ってしまったのです。
毒キノコ
巨匠の娘というだけで色々なプレッシャーと立ち向かう姿勢は大変素晴らしいとは思う。過去作は未見だが、今回初めて鑑賞した。女流監督というと、キャスリン・ビグロー監督を思い出す。あの激しさをコッポラ監督は表現出来るのか、そんな思いで観たのだが・・・
結論から言うと、塩味的な出来映えだった。作品を創るという才能は流石親譲りだが、では観客に訴えるべきものはあるのかというと、少々薄いかなと。。。テーマとしては面白く、それに南北戦争時の生活様式、正に、カントリーマアムのあのお菓子のような世界が繰広げられているロケーションは興味深い演出であった。しかし、逃げ込んだ伍長の小賢しさや、女子供の嫉妬心の浅さに、ドラマ性が見えずらかったと感じる。男はもっと暴れても良いだろうし、女たちはもっと嫉妬と裏切りを他の女性にぶつけてもよいのではないだろうかと。ま、自分が伍長だとしても、やはりエル・ファニングのあの幻想的な容姿にはメロメロになってしまうけどねw
起伏のなだらかさを愛でる人ならば楽しめたかもしれないが、もう少し味付けが欲しかった作品である。
面白い
見る前はもっとドロドロな感じになるのかと期待に胸躍らせていたが、とてもあっさりしていた。個々の人物のドラマよりも「こういう環境に置かれたら、人は、女性はどうなる?」と俯瞰から見せられている感覚だった。コリン・ファレルは自業自得感が凄かったが、あんな状態になってもちゃんとセックスできるのは尊敬してしまう。
うーん
正直イマイチ分からん
この映画が何なのか、掴めないまま終わってしまった。
南北戦争戦時中、森の奥にある女学校の生徒に助けられた兵士を巡るお話なのだが、正直単調というか画的に盛り上がりみたいなモノはない。(正直言えば最初のほう、少し眠気が…)
他の方のレビュアーも参考にさせて頂いたが、それでもうーん(゚-゚)といった飲食
とりあえず邦題のこともくんで考えると、色んな欲望が人間を狂わせる物語とでも言えばいいのだろうか。
戦時中の閉鎖的な女学校にやって来た(今までにない刺激をもたらす存在でもある)魅力的な男性
女性達は彼に気に入られよう、少しでも長く居てもらおうという欲望から彼へ優しくしたり、コミュニケーションを取ったりするわけで
で、兵士も魅力的な女性達に囲まれ、優しくされることで愚かな欲望を抱き始める。
そして、その夜事件が起こる…
彼は怒りを巻き散らかし、女性達は自分達の安全を求め、彼を何とかしようと企む…
双方ともに様々な欲望に駆り立てられた結果、愚かで悲劇的な展開を迎えるといった感じだろうかな?
最後の食卓のシーンでの女性達の容赦ない表情はなかなかゾクッとする
様々な心理的描写が、よく言えば繊細、悪く言えば分かりづらかったのかも
そんな感じでした。
けっこう面白かった
『白い肌の異常な夜』みたいな映画だなと予告を見ていた時に思っていたら同じ原作とのことだった。コリン・ファレルはイーストウッドほどめちゃくちゃじゃなかったのに悲惨な展開を迎えて気の毒だった。映像の感じが素晴らしくて本当に南北戦争の当時にタイムスリップしたみたいな雰囲気だった。女性の性欲を変に煽るととんでもないことになるとリアルに怖くなった。南軍の兵士が「銃を持った怯えた女性ほど危険なものはない」と名言を述べていた。
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