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予告編で美しい北杜の風景に魅せられて、風景目当てで鑑賞しました。
しかし、思いのほか風景のカットは少なく、肩すかし。うーん。北杜市は間違いなく美しい街なんだろうな、とは思いましたが。
とにかく、物語や演出がとても雑で野暮ったく、リアリティラインもよくわからない。クライマックスの弓道のシーンは、マジでやったのかギャグなのか、まったくわからないし、どちらであっても酷いものです。
端的に言って質が低い。
特に演出が下手です。セリフで説明しちゃうので売りである水の良さも伝わらない。だいたい、悪役に水を飲ませるなよ。
キャラクターも、物語のために当て書きされたような感じで、そこに生きている感じがしません。情熱とか信念とか、彼らを動かしている根拠が見えないため、薄っぺらです。主演の女の子もまさに典型例で、ギャーギャーうるさいだけに思えてしまう。
そもそも、このようなドタバタしたストーリーが北杜市の透明感ある雰囲気にミスマッチだと感じました。北杜市が舞台で、『水・豆腐・青春』の三題噺ならば、もっとリリカルで繊細な物語の方が合っていたと思います。
それでも、北杜市の良さはそれなりに描けているため、ご当地映画としての目的はそこそこ達成されているのかもしれない。しかし、もっと丁寧に作り込み、ファンを生み出すことができれば、経済効果ははるかに高いと思います。
結局、関係者が満足して終わるようなスケールの小さい内向きな作品だったな、との感想です。舞台には昭和末期のノスタルジックなムードがあったので、料理し具合で結構な秀作に化けた可能性もあったと思います。北杜市の素晴らしいポテンシャルをまったく生かせていないので、実にもったいない。
これじゃあ、聖地巡礼もないでしょう。残念です。