テルマのレビュー・感想・評価
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不穏な空気に圧倒され続ける傑作
冒頭の父親が幼い娘に銃口を向ける衝撃的なシーン。一体この親子に何があったのか? 大学生となり都会で一人暮らしを始めたテルマには幼い頃の記憶がない。突然の発作による検査の過程で過去の記憶が、そして彼女の持つ「力」が明らかになっていく。 しかし重い。実に不穏で重い空気に圧倒される。親にも、宗教にも、医学にも救われることはない。 決して贖うことのできない罪を自覚してもなお生きようとするテルマ。その「力」ゆえ、生き続けることが罪なのだろうが…
サイキック ファンタジー
ホラーというよりも、不気味な不穏な雰囲気の映画。 前半は意味が分からず、何の話?と退屈だったが、後半特に残り1/3からは引き込まれていく。 ラストは、現実なのか妄想・幻覚のことなのか・・・ 想像力が膨らみ、確かに頭から離れない。
心が凍りつくサイキックホラー。
北欧の清く重々しい空気感と共に、少女テルマの“何か”に対する戸惑いを 美しくスタイリッシュに観せる画面に引きつけられました。 ただその重々しい演出が観念的すぎて… ホラー、サイキック、難病?と作品の核心を見えにくくしている様にも感じましたが、そこが最近のハリウッドホラーに欠ける新鮮な所かも知れません。ラース・フォン・トリアーにも通づる、精神的にも心が凍りつく演出は儚く唯一無二の物を感じました。
凛とした空気感
誰にでもある経験かと思うが、「あいつ居なくなればいいのに」とか「あの人さえ居なければ私は…なのに」とか、心の中で思ったことはありませんか? ある、と思う人には、興味深い物語です。 ない、と思う人は、見ない方がよいかな。 邪悪さと純真さを合せ持つ人の心、天使のような顔をした子供にさえ潜む心のパワーは、悪にも善にも転びうるのだが、物語の最後を悪(絶望)と見るか善(希望)と見るかは、あなた次第? 私はテルマの10年後が見てみたい。続編希望します。 それにしても、オープニングの氷上のシーンがとても美しい。魚が足元にはっきり透けて見える程の氷の上を歩くって、割れて落ちないの?と思ったけど、魚や鳥、湖上を渡る人、などキリスト教にまつわる要素だったのかな、と思うと、あのシーンも充分意味のある伏線だったのかな、と見終わった今、凛としたあの空気感と共に映像が蘇ります。
美しいファンタジー
無宗教の有神論者の自分からすると聖書とか経典とかの現代版のようなものに感じる。 見る人によっては宗教映画だし、サスペンスとか、愛の物語ともとれる。 これは、排除される側が実は排除する力を持ち、力は如何様にも使えるという寓話。 特別な力など無くても誰かが必ず見守ってくれてる。
「二面性」あるいは「相反する性質の同居」
主人公テルマは生物学を専攻する大学生。 量子力学の講義では「光の粒子性と波動性」が言及されることによって、「二面性」が暗示される。 テルマは生命の起源について神を必要としない説明を好む一方、父の導きによって、キリスト教の規範を深く身につけている。禁酒、禁煙、禁欲(異性愛)。 ところが旧約聖書の「楽園追放」さながら、彼女に"蛇"が忍び寄る。アンニャは、同性愛、酒、タバコによってテルマを誘惑する存在である。 幼少期から身につけてきたキリスト教的価値観と、反キリスト教的快楽による誘惑とのあいだで、主人公は揺れる。同時に、テルマの身に起こった痙攣発作の原因について、科学的説明の探求と、超自然的説明の探求が(観客のなかで)並進する。主人公はまた、両親に対して相談することもあれば、隠すこともある。信頼することもあれば、秘密のままにしておくこともある。これもまた、二面性かも知れない。 しだいに明かされる主人公の秘密は、公平でもなく、また善や悪のどちらか一方に全面的に加担するわけでもない。キリスト的(キリスト教的、ではない)側面も、悪魔的側面も備え持つ。本人の欲求にしたがって用いられる、人間的なものである。善行にも使えるし、自らの欲望のためにも使える。善意も欲望も併せ持ち、共に自分で制御しながら、テルマは自らの人生を選択していくのだろう。
怖い目覚め
冒頭の不可解なシーンからザワザワとした不安に陥れられる。 ある意味怖い目覚め/自立までの女学生と家族の苦悩。 魔女狩りで解決できない現代の悲劇? ”RAW 少女のめざめ”に近い後味。目覚めという言葉もここから浮かんだ。 "RAW"とは違い、画面の構成はずっと上品だしきれい。映画としても良く出来てると思う。
ノルウェイの森に潜むもの
両親から精神的に抑圧され、狂信的キリスト教信者のごとく育てられる、思春期少女の持つ恐ろしい能力。 今年最も恐ろしく美しいホラー。ノルウェイ版スタイリッシュキャリー。じわじわ来るゾクゾク感。 ノルウェイの森なら何かが潜んでいそう。 ヘビーな蛇の夢を見てしまいそう。
少女から大人へ
少女が成長する様を象徴的に描いた作品だ。 抑えきれない衝動。 自分を縛り付ける家族や信仰。 自分は一体何者なのか。 ノルウェーの曇天が重苦しさを助長する。 何かを失い、そして、それと引き換えるように手に入れるもの。 少女から大人への道程だ。 30年くらい前に観た、ピクニック アット ザ ハンギングロックという映画を思い出した。 鑑賞後、お年寄りの女性がスタッフに、何が言いたいのかわからなかった!と言っていた。 確かに、分かりづらいなと、同意したくなった。 でも、美しく、印象に残る映画だった。
大学デビュー
主人公は田舎から都会にでてきたばかりで厳格なキリスト教徒の両親を持つ少女、テルマである。 最初に言っときます、ホラー映画ではないです。強いて言うなら「キャリー」みたいな感じの映画です。物語としてはテルマが大学で友人と接するが、その過程中に不可解な現象が起きるといった流れである。予備知識としてはキリスト教がどのような宗教でどんなことを罰していることなどをわかっていたらよりこの映画をわかりやすくなるはずに違いない。 この映画は簡単によめないストーリー展開や、映画音楽、そしてテルマを演じたエイリハーボー始めキャスト陣の演技が素晴らしかった。 ただ演出の都合上、画面が暗かったりフラッシュの連写などのために目が疲れやすくなるので注意してもらいたい。 個人的には今年の映画のトップ10に入るぐらいよかった。
このジャンルはホラーか?
異様な親子の関係が、過去の悲劇や彼女の身の回りに起こることを交え紐解かれ、なるほどという感じ。 実家に帰り、壁で懺悔する娘を詰問する父、父からされた同じ手法で、友人に携帯電話の仕組みを問い、優位に立ち回る娘。 宗教と欲望と支配(コントロール)のパワーバランスを見事に描いていた。 彼女がプール、池に潜っていくシーンは潜在的な欲望と自己の確立を表しているようで、印象的だった。 で、面白かった。
キリストはサタン
田舎育ちのマジメで人付き合いの苦手な少女がオスロの大学に進学する為にひとり暮らしを始め、同級生の少女に恋をして巻き起こる話。 幼い頃の記憶がないという設定の中、冒頭の子供時代の不穏な描写から一転いきなり大学生に。 片鱗の始まりまでは早かったけど、そこから先がまあ長いしマッタリテンポでダレてくる。 終わってみれば、そんなことにしか使わないのかというスケール感と最後のヤツが出来るなら弟は…。 実は腹黒いってことか? 覚醒してこれからが始まりってことなのかも知れないけれど自分にはもの足りなかった。
じわじわと怖い
ホラーというより、登場人物の内心の狂気をじわじわと描く北欧版サイコミステリーという作りでした。主演のエイリ・ハーボーさんは初見でしたが、日本でいうと芳根京子さんのような、素朴な雰囲気と演技力を兼ね備えている女優さんですね。
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