「観客が憂鬱になる涼宮ハルヒの中途半端なカレッジ・ファミリードラマ版」テルマ 徒然草枕さんの映画レビュー(感想・評価)
観客が憂鬱になる涼宮ハルヒの中途半端なカレッジ・ファミリードラマ版
この映画をどうも2回観たらしい。前半、何だか覚えがあるなと思っていたのだが、半ば過ぎまできたら、はっきり記憶にあるシーンが出てきたので、「あー、一度観たのを忘れていたのか」と思い至った。それだけ記憶に残らない、つまらない映画だったのであるw
内容を要約すると、田舎から出てきた大学生の女の子が涼宮ハルヒのような神の力を持ち、その能力を使いたくなくて悩むが、無意識のうちに力を使って人を簡単に消滅させたりしてしまう。父親は娘に薬物を呑ませて廃人にし、「リング」の貞子の伯父のようにその能力を消滅させようとして、逆に消滅させられる。解放された彼女は明るく生きていくといったものである。
まず、前半は普通のカレッジドラマで、少女が男女の友達と交流する姿が描かれているのだが、彼女に異常なところがあることを示唆しながら焦らしまくる。これが長々と間延びして退屈極まりない。
半ば過ぎになると彼女が超能力らしきものを見せ始め、そのDNAの元になる祖母を訪ねていくところなどは「お、何が出てくるんだ??」と思わせるものの、結局、何も出て来ないのであるw
その後はファミリードラマに移り、世界を破壊しかねない超能力者を廃人にしてしまおうとする父と少女の戦いになる。しかし、そこにまったく緊迫感がないまま、あっけなく父親は殺されてしまい、少女は母親の下半身麻痺を癒して実家を出ていく。最後は自分が消してしまった愛する女性を復活させ、2人で元気に歩いていく…。
ストーリーそのものは悪くないのだが、せっかく超能力モノなのに能力を使い惜しんでいるばかりか、使った結果がはっきり言ってショボいw そのくせ彼女の能力は神様並みに全能らしいから何でもありとなり、ドラマ性が希薄となって印象に残らない。
ま、映像が頑張っているのはわかるが、いかんせん中身のなさをカバーできるわけもないのだった。