「抗い難い魅惑の囁き」トレイン・ミッション つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
抗い難い魅惑の囁き
この映画の肝は、一も二もなくヴェラ・ファーミガだ。華やかなオーラがあるわけでも、際どいドレスに身を包んでいる訳でもない。なのに逆らい難い艶っぽさがある。俗っぽく言うと、エロい。
知的なようにも見え、柔らかな表情は良い人のようにも見える。
なのに何故だかミステリアス。
実直さを絵にかいたようなリーアム・ニーソンを持ってしても、彼女の言葉に不思議と誘われる。
突拍子もない申し出で、「そんなバカな」と即座に否定してもおかしくないような提案であるにも関わらず、だ。
「ひょっとしたら」と思わずにはいられない。
リーアム・ニーソン演じるマイケルは、刑事を辞めて保険のセールスマンとなり、毎日郊外から通勤電車に乗って真面目な社会生活を送っていた。
人生の基本が地道な男なのだ。
ヴェラ・ファーミガ演じるジョアンナは、そんな彼に現実味のないオファーをする。
マイケルはそれを一笑に付しても良い筈だった。
なのに確かめずにはいられなかったのは何故か。
もちろん、経済的な理由もあっただろうが、ジョアンナから醸し出される逆らい難い誘惑の香りに飲まれた部分は大きい。
ジョアンナの囁きは、楽園の蛇の囁きだ。ささやかな力だが、その先には大きな落とし穴が待っている。
登場シーンは少ないのに、圧倒的な魅力を見せつけるヴェラ・ファーミガ。彼女をキャスティングした事がこの映画の最高の見せ場、かもしれない。
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