「男の真価は嵐の時に分かる(What makes you a man is what you do when that storm comes.)by Alexandre Dumas」トレイン・ミッション kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
男の真価は嵐の時に分かる(What makes you a man is what you do when that storm comes.)by Alexandre Dumas
車両の中に普段見かけない人がカバンを持っていて、その中には盗品が入ってる。名前はプリンという偽名。それを列車内で探せというのか!?何が何だかわからない序盤の展開とともに、電話口でのジョアンナ(ベラ・ファーミガ)の声がむちゃ怖い。自宅鑑賞のときはトイレに立ったり、パソコン開いたりで集中力が欠けるのですが、これはもうTV画面に目が釘付け。スリリングな上に多角アングルでの撮影に驚き、警察時代の後輩マーフィ(パトリック・ウィルソン)やホーソーン警部(サム・ニール)が怪しくて堪らない。ゾクゾク・・・
アクションよりもむしろサスペンス要素のほうに痺れてしまうほど、表現力のあるリーアム・ニーソン。10年間同じ電車での通勤(commuter:原題)によって挨拶をする顔見知りがいっぱいいる。そこに初めて見る女ジョアンナが声を掛けてくるのだ。お金が欲しそう、元警官、彼のことは何でも知っている様子。誰にも喋るな、助けを呼ぶな、忠告をちょいと無視してしまったためにウォルトをはじめとして次々と犠牲者が出るのだった。捜すターゲットはプリンという偽名で盗品の入ったカバンを持っている・・・それだけかよ!
「蝿の王」、「嵐が丘」、「怒りの葡萄」、「緋文字(主人公:ヘスター・プリン)」、そして「モンテ・クリスト伯」・・・文学にも精通しているマイケル・コーナン(ニーソン)が警官を辞めて保険会社に勤めているなど、彼にしてはとてもユニークな設定。電車内アクションや痛々しいシーンも満載で、巌窟王の台詞が最後に効いてくる。そして家族を人質に取られ、市役所職員の自殺に絡む目撃者と天秤にかけて選択を迫られる心理描写が上手い。ニーソンにしては、ただただ怒りで行動するだけじゃないところが素晴らしいし、乗客達が自らプリンだと名乗り出るところにウルッとしてしまった。
さすがに電車パニックのクライマックスはありきたりだが、そんな状況下でのインタビューも冷静さを保っているし、鉄道マンの真髄を見せてくれたサムやお笑い担当のジミーといった脇キャラもいい。フローレンス・ピューの最後の行動もいいし、police detectiveのバッジも輝いていたなぁ・・・それよりも気になっていたのは背もたれに刺した切符で降車駅がわかるというシステム。そんなの知らんよ。