ローガン・ラッキー
劇場公開日:2017年11月18日
解説
2013年の「サイド・エフェクト」を最後に映画監督業を退き、テレビ界で活躍していたスティーブン・ソダーバーグが、新人レベッカ・ブラウンのオリジナル脚本を映画化し、再び長編劇場映画でメガホンをとった映画監督復帰作。アメリカ最大のモーターカーイベント、NASCARレースを舞台に、一攫千金を狙った計画に挑む強盗団の姿を、アダム・ドライバー、チャニング・テイタム、ダニエル・クレイグらの共演で描くクライムエンタテインメント。足が不自由で仕事を失い、家族にも逃げられて失意の人生を送るジミー・ローガンは、まもなく開催されるNASCARレースのさなかに大金を盗み出すという大胆な計画を練る。戦争で片腕を失った元軍人で冴えないバーテンダーの弟クライドと、美容師でカーマニアの妹メリーを仲間に加えたものの、不運続きな自分たちだけでは心もとないジミーは、服役中の爆破のプロ、ジョー・バングに協力を求めるが……。
2017年製作/119分/G/アメリカ
原題:Logan Lucky
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、STAR CHANNEL MOVIES
スタッフ・キャスト
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2017年11月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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ラスベガスを狙う「オーシャンズ」とは趣が違う。程よく泥と埃にまみれた何ともオーガニックな味わいがスクリーンから伝わってくる。ソダーバーグらしいアーティスティックな遊び心も随所に炸裂し、彼の映画のファンたちは久々の語り口のリズムに「そうそう、この感じ!」と歓喜せずにいられないはずだ。
構成として面白いのは、主人公が挑むミッションの「準備段階」と「実行」とが単純な繰り返しにならないところだろう。観客は準備段階から主人公のすぐそばに目線を据えているのに、実際にはその計画や進行内容についてほとんど知らされない。それゆえ一番身近な目撃者のようにすっかりとダマされながら、事の成り行きを見守ることになる。これぞ語りのマジック。この辺りの匙加減こそ、過去に幾度も犯罪計画をスクリーンに具現化してきたソダーバーグのなせるわざ。そしてこの物語を通じてそっと南部の人々の尊厳に心を寄せるところも実に彼らしい。
2017年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
チームを組んで大仕事をやってのける犯罪のプロたちをオールスターキャストで華麗に描いた「オーシャンズ」シリーズと比較されることの多い本作。だが一見して明らかに違うのは、今回徒党を組む面々のポンコツ感、ダメダメ感だ。チャニング・テイタムとアダム・ドライバーが演じるローガン兄弟は大ケガや戦傷のせいで人生下り坂。タイトルとは真逆のアンラッキーな二人とその妹、しゃれたスパイよりガテン系の悪党のほうがよほど似合うダニエル・クレイグが扮する爆破の専門家(プロと呼べるのはこの男だけ)と頭のネジが緩そうな弟二人で、人気カーレースの当日に会場の金庫から大金を奪うというのだから、観ている方は笑ったり呆れたりしながら、おいおい大丈夫か、しっかりしろとつい応援したくなる。
あっと驚く結末を知った後はきっと最初から見直したくなるはず。ソダーバーグ監督の復帰作、大ヒットして続編、3作目とシリーズ化されることに期待。
2022年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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単純に面白かったです。
ワクワクドキドキってあまりなかったですが。
面白かった。
変にいじってないからよかったのかな?
ラストも定番的な終わり方でしたが、アメリカぽい感じでよかったです。
カントリーロードのところは、涙が出そうに。
よい感じの作品でした。
2022年6月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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アメリカ南部を舞台にした、乾燥した空気感のクライムミステリ。
東南部の州、ノースカロライナ。
ジミーとクライドのローガン兄弟は、地元では有名なアンラッキー家族の一員。
まともな仕事がなく、犯罪者の子供が同種の犯罪を受け継ぐようなアメリカの片田舎で、地元の大箱シャーロット・モーター・スピードウェイ で開催される一大イベント、NASCARレースで最も金の動くコカ・コーラ600の集金所を狙う。
だが二人で行うには巨大すぎる計画となり、周りにアンラッキーなローガン・ファミリーと組むような物好きはいない。
やっと見つけた協力者は、優秀なドライバーの妹メリー、刑務所で服役中の金庫破りジョー・バング、そして奇妙なこだわりを持つジョーの弟たちだけ。
ジョーの脱走計画に、ジミーの元妻が養育する娘セイディの歌唱コンテストも重なり、スケジュールがどんどん散らかってゆくこの計画を、ローガン兄弟は果たして成功させる事ができるのか。
アメリカ南部の独特の空気の中、一癖も二癖もある南部男たちの、奇妙な文化と風習と価値観にまみれた犯罪計画。
セイディの幼い声で歌われるジョン・デンバーのカントリーロードも、つまずきだらけの計画にいらだったジョーと観客を和ませてくれます。
失敗に失敗を重ね、絶対に計画遂行は無理だと思わせてからの驚きのラスト。
レースのような息をつかせぬ疾走感で一気に駆け抜け、全てが終わった時に、一体だれが幸せになったのか。
計画後、FBI捜査官の視点から内容が語られるスタイルも非常にクール。
南部のコミュニティを描くドラマとしても、個性的なプロたちによるチームケイパー物としてもお勧めできる、オーシャンズ・シリーズを立ち上げたスティーブン・ソダーバーグの力量を示した好編です。