アムール、愛の法廷
劇場公開日:2017年5月13日
解説
「大統領の料理人」のクリスチャン・バンサン監督が熟年の淡い恋を描いた法廷劇で、第75回ベネチア国際映画祭で脚本賞と男優賞を受賞した。多様な人種や階層の人々が集まる法廷で裁判長としての職務を果たしているミッシェルは、厳しく人間味がないと周囲から恐れられている。そんなある日、法廷にミッシェルがかつて思いを寄せていた女医のディットが陪審員のひとりとしてやってくる。思いがけない再会を果たしたものの、厳格な裁判長としての顔を崩さず審議を続けるミッシェル。しかし、ディットと向き合ううちに、審議は次第に人間的な温かみを帯びていき……。ミシェル役を演じたフランスのベテラン俳優ファブリス・ルキーニがベネチア映画祭で男優賞を受賞。「インフェルノ」「王様のためのホログラム」などに出演したシセ・バベット・クヌッセンがディット役を務め、第41回セザール賞の助演女優賞を受賞。
2015年製作/98分/フランス
原題:L'hermine
配給:ココロヲ・動かす・映画社○
スタッフ・キャスト
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2018年11月18日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
裁判長と女医の関係が気になる。
起承転結はないが、落ち着いてみるには良いと思う。フランスの日常が分かる。悪くなかった。
2018年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
生後7ヵ月の娘を殺した容疑で被告人ベクランが裁かれる。裁判長ミシェル・ラシーヌ(ルキーニ)は陪審員を選んだとき、秘かに想いを寄せていた相手ディット・ロランサン=コトレ(クヌッセン)が選ばれたことに驚く。彼女は医者で、ミシェルがかつて入院していたときにずっと側にいた女性だ。17歳の娘もいるが、落ち着いた美人だ。
裁判の進行はメインテーマでなかったことに途中で気付く。陪審員と裁判長が個別に会うことは違法でないことを強調していたことで、2人の会話が重要になってくる。直接的な愛情表現は抑えていたが、次の裁判にも来てくれという約束を果たしてくれたことで今後の成り行きが想像できる仕組みだ。
序盤ではミシェルの裁判長としての評判などが噂されるが、有罪となったら最低10年の刑期だとか、人に嫌われているだとか、悪いイメージばかり。それが被告人に有利に向かうように発言することで徐々に好人物というイメージに変わっていく。全編通して静かに進む映画ではあるが、なかなか面白い趣向だった。
2018年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
法廷のシーンがほとんどだが
心理描写が秀逸。大人の作品だった。
2017年10月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
王道のフランス映画である。
男女の恋愛がテーマだが、男性は初老のおじさんで、女性は大きな娘のいる中年、激しく燃え上がる恋ではなく、ゆっくりと温まっていくもので、物語は彼らの今後をほのめかすだけで終わる。
これといった伏線もなく明確なオチもない、苦手な人には物凄く苦手な作品であろう。
主演の気難しい裁判長ミシェル・ラシーヌを演じたファブリス・ルキーニの過去の作品は『屋根裏のマリアたち』を観たことがあるぐらいだろうか。
この作品では、スペイン人女性に恋をして人間性を取り戻す気難しい男を演じていた。
本作の裁判長も過去に恋をした女性に法廷で偶然再会したことで人間味を取り戻していくので、似たような役を演じていると言える。
ルキーニはインタビューで「私の演じてきた役は非常に少ない。私は自分の限界を楽しんでいる」と述べている。
他にも「カフェで女性を振り返らせるようないい男を演じることはできない」と述べていたり、「役を作り込むような要求をしないでほしい」と述べるなどフランス人らしい発言を連発していてなかなかユニークである。
エリック・ロメール作品にも出演しているらしいので、我が家に眠ったまま未視聴のロメール作品でいずれはチェックしようと思う。
判事が恋する女性役のシセ・バベット・クヌッセンは『インフェルノ』に出演していたらしいが、どんな役だったのかも覚えていない。
その他の法廷の陪審員や被告、判事、証人などのほとんどが素人を起用しているようだ。
監督のクリスチャン・ヴァンサンも「役者が私を驚かせてくれることを期待している」と述べているので、陪審員たちが法廷の合間に昼食を取りながら世間話をするところなども含め結構アドリブが多いのかもしれない。
本編中、陪審員を選ぶ際は法廷にいる人々の中から立候補して選ぶ仕組みになっているのだが、面白いのは被告の弁護士が相手の見た目で判断しているところである。
いかにも軽薄そうな外見の女性やアラブ系の男性は違う裁判になっても冷たく拒否されている。
本当に裁判が判決に至るまでの過程も主演2人のやり取りも淡々と進んでいくだけの作品である。
ただし恋する相手を想ってソワソワして、相手にいいところを見せたくて人間らしくなる初老の男性を主役に据えるのは意義深い。
日本では恋愛映画と言えば高校生やせいぜい20代が主役である。
初老の男が女性にアプローチをかけるなど「ストーカー!」とか「キモイ!」などとひどく拒絶されそうである。
日本で本作のような作品が映画化されるイメージが湧かない。
多様性がつとに乏しくなっている日本映画の現状では、この手の作品が制作されること自体が羨ましい限りである。