女神の見えざる手のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
百戦錬磨の実績を誇る大手ロビー会社所属の超やり手ロビイストのリズ・スローン。銃所持規制に対抗する為女性の支持層を増やすロビー活動を指揮してもらいたいとの依頼をある議員から受けるが、彼女はその場でその計画を一笑に付した上に、自分のチームから希望者を募って逆に銃所持規制を支援する小さなロビー会社に転職する。時には血も涙もない冷徹な決断を下し、法を逸脱するリスクをも厭わず着実に法案支持議員を増やすリズだったが、リズの手口を熟知する秘書やあるとあらゆる手段を使ってリズを追い落とそうとする元上司らに次第に追い詰められていく。
法案を通すには60票要る!この人をオトせば何票獲得!といった展開をスリリングに描写。敵味方が裏をかき合う後出しジャンケンの乱れ撃ちでお話を転がし、時制を前後させながらクライマックスに繋ぎ、一呼吸置いてからのドンデン返しの連発を経て意外かつ爽快な結末に着地。主演のジェシカ・チャステインのシャープな演技も実に魅力的ですが、リズを引き抜いて行動を共にする弱小ロビー会社CEOを演じるマーク・ストロングのド渋いダンディな演技も素晴らしいです。
切り札は最後に取っておく
銃規制から始まる流れはアメリカの病的部分を突き刺していて、「これは言って大丈夫なのか」と心配になるほど。
銃規制に反対する団体からの猛反撃を受けて、作品中でも不利を強いられるシーンが繰り返される。
目的を果たすのが義務と話す彼女がウエットな人間的関係を持てないのが悲しい。
ラストは衝撃の切り札ではないが、勝ち戦に油断するとこうなる見本。
しかし、勝ったとは言え、彼女が何を得たのか?
ラストまで何も語ってくれない。
お涙ちょうだいのドラマではない為、ちょっぴり歪んだ感性をもつスローン女史を楽しもう。
どこまで正気で、どこから狂気?
まるで将棋かCHESSのゲームを見ているようだった。
ここ2年この映画が封切られてからも米国の教育機関デモの銃の乱射は続いている。
「なぜ?銃を規制しないのか?」
これは日本における電気原発事業にも近い匂いがする。
国を支配するほど余りに企業が巨大化したために、
正義は見えなくなってしまったという舞台背景。
そこに単なる冷徹なロビーストではなく、
人の命、地球のために必要な法整備や投票数を稼ぐという、
本質は人間的なハートを持つ壊れた女性の主人公が、
目に焼き付く。
最後のドンデン返しにどこまで計算していたのか?と背中がぞーっとするほど、見ている側を裏切ってくれる。
とてもよかった
人情や人間味をここまで切り捨てられるものなのか。もしかして彼女は末期ガンか何かでどんな汚名を着てでもやりとげたい気持ちだったのかと思って見ていたら、全然関係なかった。ただの変人だった。そういう人がいてもいいと思うけど利用されたり近くにいたら嫌かもしれない。
物語はミステリーだったことが後から分かる面白い構成だった。
勝つためには身を削るという素晴らしさ
「女神の見えざる手」を観て来ました。
ストーリーは、所属する会社の大口顧客が「銃規制法案」に反対のため潰して欲しいと依頼があるものの、主人公は「銃規制法案」に賛成のため、所属の会社から追い出されるものの、仲間を引き連れて「銃規制法案」に賛成の会社に移り、ロビー活動(賛成、反対のどちらも意思表示していない議員に対して賛成票を投じてもらう活動。また、常に先手を打っていくこと)を行って行きます。
その中には、銃の被害にあった人を前面に出して、感情に訴えるといったこともありました。また、自分の仲間をTVに出演させてしまったため、銃を持った暴漢に襲われそうになるのを銃を持った民間人に助けられたシーンがあると銃を規制する方向に動くのか展開が読めなくなるなと思ったりもしました。
「銃規制法案」と言っても、
・現在、国民が所持している銃は回収しない。
・新規に銃を購入しようとする客の身分確認を徹底し、2週間の審査を経る。
といった当然すぎる内容ですので、それをどうして全米の銃協会が「国民の権利の侵害」と言って反対するのか、あまり理解できませんでした。
映画も終盤を迎え、「銃規制法案」の投票前に主人公が別件で書類偽造を行った容疑で「聴聞会」が行われています。その「聴聞会」で野球で言うと、9回裏に満塁ホームランを放つようなシーンがあるのですが、その書類の偽造さえもこの「聴聞会」に呼んでもらうために行っていたとしたら… 背筋がゾクッとしました。結局、主人公は書類偽造の罪で刑務所に服役することとなります。主人公の勝つために身を削るといった覚悟ある姿勢に感動しました。
この映画は、清濁を併せ持つ女性の活躍を描く、良作の映画ですので、時間の許す方は、是非、ご覧になってください。
なお、主人公の「ジェシカ・チャスティン」が、数か月前に観たフランス映画の「エル」(名作)の主人公、「イザベル・ユペール」と雰囲気が似ていると思うのは私だけでしょうか。(笑)
また、映画を観た「シアタス調布・イオンシネマ」という映画館は出来たばかりで、調布駅すぐ近くで足元のゆったりしている清潔な映画館でした。
みなさん、今年はお互いに良い年としましょう。
ありがとうございました。
_:(´ཀ`」 ∠):アメリカ クレイジー
気になったのは出所する彼女を迎えに来た同僚はいたのだろうか?
という点。我々視聴者が映画をどう見ているかの答え。
目標は達成されたのだろうがなんでもありありで仲間を売る様な 上司を果たして、、、、。
私は行きますよ。
『ミス スローン』の英題そのままにして!
ロビー活動って頭を使ってる感じがするなーって思うけど、その分かなり高ストレス、睡眠障害と法律侵してまで勝ち取りたいという意気込み、怖すぎました。
全部が計算づくだったのか!最後まで目が離せないです。政治活動が、国のためじゃなくなっている現実を皮肉った力作だと思います。
見せざる魂。
もしも世界各国のロビイストが巧妙な戦略で政治を動かしている
のだとしたら、一見ハチャメチャなあの人の政治にもなんらかの
奇策があるとみていいのだろうか?なんていう疑問さえ湧くのだ
が(たぶんそれは無い)一向に進まない銃規制問題と不正駆け引き
をスリリングに描いた本作は最後まで目が離せず面白い。主人公
スローンが何をどう企んでいたかはすでに冒頭から始まっている
と思って観たほうがいい。おそらくこの視点はそういうことだと
踏んだ自分も最後で裏切られたかと思うくらい先が読めなかった。
敵だらけの中に身を置き、薬で眠らない身体を維持し、肉欲すら
買春で済ませる凄い女をチャステインが見事に体現してしまった。
何でこんなに面白い作品が賞レースに引っかからないのか不思議
で堪らないが、それこそ優秀なロビイストに頼めなかったのかい?
と思ったほど(これも現実か)。自身のピンチや収監は予定範囲内
だった彼女も部下の危険にはさすがに慄いたはずだが、心を入れ
かえるどころか冷徹さを増し、孤高の存在になり切るところなど
本当に鉄の魂。観客の共鳴すら求めないヒロインに女神の称号を。
面白い
ワシントンD.C.で、スパーリング上院議員(ジョン・リスゴー)による聴聞会が開かれていた。召喚されているのは、敏腕ロビイストとして名高いエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。大手ロビー会社、コール=クラヴィッツ&W在職中に手がけた仕事で不正を行っていたとされ、その真偽が問われている。
聴聞会から遡ること、3ケ月と1週間前。
エリザベスは、コール=クラヴィッツ&Wの花形ロビイストだった。勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在だった。
エリザベスは、銃擁護派団体からの仕事を依頼されていた。新たな銃規制法案に対し、女性の銃保持を認めるロビー活動で、廃案に持ち込んでくれというのだ。団体の代表者は議員たちにも強い影響力をもつ人物だが、エリザベスは彼の目の前でその仕事をきっぱりと断る。その結果、上司のデュポン(サム・ウォーターストン)から、「依頼を断るなら、君にいてもらう必要はない」と言い渡される。
その夜、パーティに出席したエリザベスは、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社のCEO、シュミット(マーク・ストロング)から、自分と一緒に闘わないかと誘いを受ける。
次の日、エリザベスは部下を引き連れ、シュミットの会社へ移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。
だが、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や元同僚も負けてはいない。エリザベスの過去のスキャンダルが暴かれ、スタッフに命の危険が迫るなど、事態は予測できない方向へ進んでいく。
聴聞会の最後に議員が不正を画策する様子を密かに撮影した証拠を突きつけるエリザベスであったが、結局、彼女は矯正刑務所に収監されてしまう。面会に来たかつての弁護士からそこまでやるのかと聞かれるエリザベスであったが、刑期が5年とわかっていたのでやったとほのめかす。最後は釈放シーンで終わる。伏線が複雑に錯綜するストーリー展開は非常に見応えのある作品。
驚かされました。
全体的に低年齢層には難しい内容です。
仕事が出来て頭がとてもキレる。
しかしとても孤独な女性。
仲間を大変な目に合わせてしまい
だんだん追い込まれていく。。。
最後まで素性を明かすことなく終わる彼女。
実は昔何かあったのでは?
など考えさせられることが多い作品でした。
知略
なるほど見応えのある作品だった。
惜しむらくは、俺が合衆国の憲法や社会情勢に明るくない事だな。
本国の人達は、この作品をどおいう形で受け止めているのか知りたいところだ。
エンターテイメントなのか、それとも…。
ロビイストという馴染みのない職業が実在するのかどうかも知らず、その業務が作中で語られるものと同様なのかも分からないが…劇中に出てくる「偵察メカ」が、結構な分岐点で…この存在があるからこそ、かなり政治的な話に食い込んでいくものの、これが物語であるとの生命線を維持しているようにも思える。これが無かったとすると…フィクションとして成立するであろうか?
そんな内容である。
結果、銃規制法案の是非を問う形で作品は進むが、落とし所は汚職と癒着という民主主義のウミのような部分の摘発だった。
なかなかに技ありな作品で、本国の事に精通してれば、今の100倍面白い!と胸を張って言えたと思う。
緻密な布石と、頭のいい人を見る楽しさよ
思ったより、ずっと、ずっと、面白い映画でした。有能だけど、イッてるスローンが、全てを緻密に計画して実行したのかと思うと震えがくる。最後の瞬間まで面白かった。聴問会からは法定ものバリの駆け引きも始まるし、いやー、いいもん見ました。
必見!平日夜に満席だ!
映画は、あまり情報を入れずに見に行く。
これは、大正解だった。
アメリカの政治のロビー活動の映画程度の認識から、
銃規制の話題になる。
いきなり刀狩りは、出来ないと思っていたけど、
銃の登録制ぐらいは、すれば良いと思っていたが、
現実は、それすらこれほど困難だったとは、
恐れ入った。
スピーディなセリフまわしと、凛々しい演技、
展開と、素晴らしい。
レビューを見ずに映画館へ行こう
「勝つために先を読み、切り札は相手より後に出せ」、まさに冒頭のこの台詞通りの展開をお互いが繰り広げる。
主人公の動機とモチベーションが何処に有るのかが私には分からなかったが、勝つ事への執着の凄まじさは良く伝わってくる。
それにしても主人公は一体いつこのシナリオを描いたのだろうか。
一線を越える時
一貫したビジョンに対して
揺ぎない方針で周りを巻き込んでいく。
信念に賛同できればよいけども
上司としてはしんどい。
彼女の人として正直なところが、
本当に裏切りがあると困る人達には
効いていたのかな。
だから、
つかの間恋人や懐刀の部下は
助けてくれたんだろうか。
その人達には、信頼を得るために自分の一線を許していたんかな。
事務所でリズが一人泣いていたのが
印象的です。社会人になれば
何でも相談できるものでもない。
そんな夜を乗り越えて
キーマンとの絆を
作れるかどうかが鍵ですね。
仕事でもプライベートでも。
なかには、許されない一線もあって
エスメはダメだった。
ソコが難しい。
サマリーとしては、
ストーリーに引き込まれて
予想がつかないところが
凄くいいです。
転落人生で終わるとおもいきや
最後は気持ちいいどんでん返し。
脚本、演技が素晴らしい
あっという間の2時間だった。個性的な女優陣、日本にも大量にいそうなおじさん達、最後が素晴らしい。
主人公の境界線がわからないと言うところが個人的には響いた。たぶん仕事中毒でそれを止める手段を自分で仕込んだのかな?
脚本が素晴らしい!
全く無駄の無い展開であっと言う間でした。
より楽しむには、
ロビイストのことを勉強しとけば良かった。
アメリカの銃規制のことも勉強すれば良かった。
最後にどんでん返しがあると皆さんが書いてたので、それ知らなければ良かったかな。
今年のベスト3に選ぶと思います。
この内容である意味ファンタジーともとれるのがアメリカ
現実のことを思えばこの物語にカタルシスは無い。ただどうしてアメリカで悲劇がくり返されながらも規制法案が通らないのか、何が問題でそれを覆すためにどのような犠牲が払われるのか、というシミュレーションにもなっている今作はジェシカ・チャステインのダークヒロイン像がまず素晴らしい。リズの造形と戦略はそのまま映画的なサスペンスに繋がっているということで、やや作為的に過ぎるきらいもあるがこれくらいで良いのかもしれないなと感じた。結末としてはファンタジーだから。
日本公開があのラスベガスの事件直後ということでタイムリーとも言えるが実際のところいつ公開してもタイムリーであるだろう。それほどに銃による大きな規模の事件が日常化しているかの国では、乱射事件を受けて銃規制が取り沙汰されると重機販売が増加するという。おそらく今では「バンプストック」の購買数が伸びているのではないか。
今作はキャスティングがまず面白くてサム・ウォーターストンの配役はニヤリとするところではあるし、アリソン・ピルやマイケル・スタールバーグ などドラマのキャリアにおいて相応しい役どころだ。 マーク・ストロングは『ゼロ・ダーク・サーティ』のことがある。
しかし今作ではググ・バサ=ローが特筆される。彼女が演じるエズメがリズを突き放すシーン、これがカタルシスになっていてそれが良い。
そしてラストシーン。リズが施設から出てきた際に彼女の視界には誰かがいたのかどうか。パンフレットでは評論家が「いなかった」と断じているが個人的には「いたんじゃないか」と感じた。彼女は誰かがいることを期待するような人物ではないが、あのように振る舞ったのは意外な人物がいたからだろうと思うのだ。
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