空飛ぶタイヤのレビュー・感想・評価
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これは現実である。情け無用な終末である。
答えは製造会社だと直ぐに分かると思うけどね。
警察は民事介入は出来ないが、完璧な刑法上の犯罪だ。
従って、この場合は司法に訴えるべきである。現実は絶対にそうなる。それが責任のなすりつけ問題じゃなくて、刑事事件の問題と理解しなけりゃ駄目だ。
現在の日本の経済を牽引している自動車産業の現実をみれば、日本沈没の現実が分かるはずだ。
株価が登りつめても、円安が進もうと、技術がフェイクなら必ず悲劇は多岐に渡り起こると言う事だ。
とにかく、人の命はお金で変えられないと分かっていながら、お金の問題にして、商業主義で作品を発表する。
なんか釈然としない。まぁ、ストーリーなんだけどね。しかし、
改ざんの問題なんて、滅多に騒がれない。問題はすり替えられる。旧国営放送はオリンピックや野球選手の活躍の方が気になるらしい。
なんか。題名が亡くなられた方の事を考えると道義的に意味不明。
そう言えば『下町ロケ◯ト』って原作があったが、あれは『下◯ミサイル』だからね。
ちなみに内部告発しても、握り潰されるし、悪者にされて追い出されるよ。やはり、社会正義を真剣に考えるなら、司法を引っ張り出して戦う以外ない。・経験者は語る・
そのくらい重い事件だ。
人に薦められる良作
久々に重厚な映画を観て満足した。長瀬さんの演技は評判が良いのは知っていたが、素晴らしかった。最近この世代でこういう重みがある俳優がなかなかいないだけに俳優としての活躍をもっと観たいと思った。重みがありながら、力の入り具合が適度なバランスで見た目にも主役としての華がある。長瀬さんの演技は池袋ウエストゲートパーク以降、題材が興味を持てなかったこともあり観ておらず、かなり久々だった。良い俳優の演技を見逃していたことが悔やまれる。
内容は単純な中小VS大企業の構造かと思ったが、大企業側の人としての倫理観や被害者との部分も描かれており、感情的になりがちな被害者側の問題点についても考えさせられた。
役者が全体的に上手いだけに深田さんの演技が残念だったがそれでも総合で★5だと思いながらエンドロールを迎えたが、まさかのエンドロールが全く合っておらず、今まで色々と観てきた作品の中でこれ程合っていない作品に初めて出会って驚いた。神奈川の話だったからサザンだったのだろうが、作品にもエンドロールの空の画にも全く合わない酷いものだった。★4でもいいくらい酷かったが、他が良かったので甘めの★4.5
悪徳企業を懲らしめるw
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走行中の運送会社のトラックのタイヤが外れて宙を舞い、女性に当たって死なせる。
自動車メーカーの調査結果は「運送会社の整備不良」だった。
しかしその判断には不審な点も多く、原因となった部品も開示されない。
過去にリコールを起こしたそのメーカーが、不備を隠蔽してる可能性がある。
運送会社社長の長瀬、同じことを考えた記者の小池が真実を求めて動く。
しかし財閥でもあるそのメーカーの圧力で記事はボツとなった。
小池は詫びると共に、とあるリストを長瀬に託す。
同等の問題で事故を起こし、同様に「整備不良」と判断された会社のリストだった。
長瀬はそれらの会社を回り、やはりメーカーに不備があったことを突き止める。
まだ整備の必要さえない新車が同様の事故を起こした事例があったのだった。
長瀬がその証拠を警察に持ち込み、ついにメーカーのリコール隠しが明るみに出る。
そしてその裏には長瀬の姿勢に共感したメーカーのフジオカの暗躍もあった。
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いかにも池井戸潤だなって感じの、正義が努力で悪を倒す話。
原作はもっと長いらしい話をうまく2時間にまとめられてる。
どうせ悪が懲らしめられるんやろな、って分かり切ってるし、
努力すれば何とかなるもんじゃないでしょ、ってのも思うんやけど、
この人の作品には何かそれでも共感させられることが多いよな。
人の命の重み…
隠蔽工作をする巨大企業に中小企業の社長が挑むという構図。巨大企業の中でも組織にもがく男たち。遅々として進まない不条理にもがき、会社経営が存亡の危機にさらされる中小企業の社長。池井戸作品によるこの人間ドラマも見応えあるが、何より人が一人亡くなっており、決して看過することはできない。実際にあった三菱自動車の事故の話ということは明白であり、あってはならない人災だ。時間の制約がある映画版だが、出演陣も皆良かった。
癖もなく密度MAXで楽しめた!!
池井戸作品の映像化の中では癖が無く観易いと思います。テンポが非常に良く最後までグイグイ引き込まれました。中盤で万事休す!!もう死ぬしかない!!からの、リスト入手で活路を見出した事は印象的でした。赤松社長は自分のポジションでできる事を全力でやったから救われた、これ以上の良い話はないと思います。ホープ自動車内部にも販売部の沢田(ディーン)達やホープ銀行の井崎(高橋)の存在が自浄作用となり、また富山ロジスティックという先人の戦いを赤松社長が引き継ぐ展開もとても良かったです。岸部・寺脇・六角はバーターかよと思いました(失礼)が、岸部さんの本気の怖さと、最後美味しい所を全部持っていく亀山も楽しめました。これは三〇菱の事だな!?という映画はもう作れないと思いますし、プロの仕事を最高に楽しめました。ありがとうございます。
空飛ぶタイヤ
半沢直樹、ルーズウェルトゲーム、下町ロケット、など池井戸潤の原作の話。
物語は、運送業のトラックが運送中に起こした事故によりある家族の命を奪ってしまう所から始まります。
その事故の原因が運転手による過失かトラックそのものによる不具合かという所からどんどんと話が進んでいきます。
この人の作品は、ぱっと見だと堅苦しいような難しいような印象が与える感じがあったりするけど、物語が進むにつれて惹き込まれる所がすごいなと思いました。
大きな敵に向かうのに自分1人だけではなく、周りを信じる事が出来る勇気がある人にこそ何かを変えれる!とそんなメッセージを感じます。
主人公のトラック運送の社長がお金か真実かという問いかけに人の命は、お金で判断出来るものでは無い。
そのシーンが僕にとって印象的でとても良かったです。
挫けそうになる事もあるけど、誰かの為に真っ直ぐ進む事で何かみえてくるのかもしれないと思いました。
池井戸潤らしい
池井戸潤らしい中小企業対大企業の戦いを描いた作品
最初から中盤までギリギリの綱渡りで敗色濃厚ですが、ご都合主義よろしく最後の最後にしっかり逆転して終わります
原作を読んでないので分からないですが、要所だけを押さえてまとめたような内容なのか、展開がよく分からないような場面も
特に最後の辺りは展開が急すぎる印象です
他に気になった点として、
・長瀬智也の演技が他の演者さんが上手い分若干イマイチな所が...
・最後の線香をあげに行くときのネクタイがカジュアルなのが場違い過ぎてどうも
・最初と最後くらいしか出てこない警察は途中何やってたのか
他にも色々とありましたけど、2時間で纏めるような作品ではないなってのが、素直な感想でした
良かった
池井戸原作なので、勧善懲悪、最後は正義が勝つ!
やっぱりいいです。
予告やチラシ的にもっと高橋一生が登場しているのかと思ったけど、
とても少ない出演。
でもラストの笑顔にもっていかれた。
原作小説を薄めただけの映画化
某レビューにも投稿しましたが
あまりにも映画の出来栄えの酷さに
映画.COMでもレビューを加筆して
掲載することに
池井戸潤の原作小説を読んで
月刊シナリオに掲載された
シナリオも読んで映画を観ました
映画版はつまらなかった
役者のお芝居、ストーリー展開
すべてが原作をなぞっただけで
映画化の意味すらない
赤松社長とホープの沢田がラスト
事故現場で向かい合うシーンなんて
わざとらしく、あきれ果てるほど
あの沢田というキャラクターについて
脚本家も監督も理解していない
沢田という男は自分の出世のために
生きているような人物であり
原作でも機密情報の入ったパソコンを
警察に届けたのも、自分の出世の
見込みが完全に絶たれたからなのだ
原作が良くできた作品を映画化するのは
ハードルが高いのだろう
シナリオ自体面白くなかったから
これは映画もつまらなくなるなと
ひしひしと感じて観たのだが
やはりというところか
映画で唯一お芝居がよかったのは
相沢を演じた佐々木蔵之介だけで
長瀬演じる赤松社長は年齢的にも
お芝居の面でも無理がありすぎた
走行中のトラックからタイヤがはずれ
歩いていた親子を直撃するシーンは
小説では描けない映像ならではの
演出ではあるが
肝心の赤松社長が追い詰められ、
整備不良だったのか?
それともホープの欠陥車両だったのか?
という謎がまったく抜けていて
あっさりしすぎている
真っ先に疑われた門田と赤松のドラマも
小説は感動的なのに映画版は意味不明
週刊誌の記者が女性に変わっていたりと
原作のキャラクターがかなり変わっていたが、
赤松を支える宮代を演じた笹野高史のキャラクターが最悪で
最後まで赤松の右腕として活躍するはずなのに…
「1億円をもらった方が会社のため」なんてセリフは
原作を読めばわかるが、宮代の口から出てくるはずがない
監督と脚本家は何をしたくて宮代のキャラクター設定を変えたのか?
これこそ改悪だと感じた
某映画レビューサイトでは長瀬ファンやジャニタレファンが
わけがわからない星四つをつけているため
映画の面白さをレビューするサイトではなく
ステマサイト化しているのも問題である
星四つをつけた人は、このヒドイ映画を本当に見たのだろうか?
悪いシナリオから良い映画はできない
とはよく聞くはなしだが
全てが空回りのむなしい映画版だった
闘うオトコは美しい
強い信念と覚悟を持って静かに、そして激しく闘志を燃やす姿はまさに「漢」
だが闘うオトコはいつも孤独…
しかし個々で奮闘していた異業種のオトコ達の点と点とが
線となり巨悪を穿つ鉾になり得た。
現代社会において信念を曲げず自分らしく生きていくのは難しい昨今
私は今までどう生きて来たのだろう…
人はおおむね何らかの「組織」に帰属しており
上下のはざまに位置していて、悪い所を感じても
見て見ぬ振りする部分が少なからずあると思う。
映画の中盤、沢田(D・フジオカ)に赤松(長瀬)が1億円という
テイの良い「手切れ金」の申し出をキッパリ断るシーンが
私の中では一番のターニングポイントでありベストシーンでした。
大人なら受けとっていたかもしれませんし
受け取らなっかた闘うオトコの姿は見かたによっては
意地を張った子供かもしれません…
「大人」とは悪を飲み込み善を語る、言わば「いい格好しい」だと
子供の頃の私は思っていました。
そして大人の振りをして飲み込んだ悪を吐き出す
「子供」の様に自分の思いに忠実に生きてみたいと今の私は思うのでした。
【追記】オトコを支える数少ない女性助演の深田恭子さん、小池栄子さんの存在!!
そして高橋一生さん、寺脇康文さんはもちろん
ムロツヨシでさえカッコ良く見えた!
2018/07/19 劇場にて鑑賞
長瀬主演は微妙過ぎだったな
全体的に意味不明なまま突っ走って逆転勝利みたいな感じ。
これ映画じゃなくてドラマにした方が良かったかな。
長瀬くんも変に熱くもないし大体喧嘩口調だし。
社員を想ってる割には選択がチグハグだし。
沢田も中途半端な正義感を持ってる割には途中で投げ出しちゃうし、内部告発もよくわからないまま進んでいくし。
全てが中途半端だな。
深キョンが綺麗だったな。
なんか口調が変だったけど。
正義は勝つ!
原作を読まずに観ましたが、
ストーリーが最初から最後まで、
とても面白かった!
どんなに辛くても、屈強な相手に負けずに、
正義を貫くことが、
そして、勝つ姿が
とてもかっこよかった。
"正しいことをしている人は、
自分から諦めることさえしなげれば、
必ず勝つことができる!"
そんな大切なことを学びました!
役者さんの演技も素敵で、
特に長瀬さんの演技は、最高でした!
あっさり逆転劇
レンタルDVDで鑑賞。
原作は未読、連続ドラマW版は未見です。
池井戸潤原作作品ならではと言える小が大に立ち向かうことで生まれるカタルシスを味わえることを期待していました。
しかし、「半沢直樹」や「下町ロケット」を観ていて感じた興奮を抱けず、あっさり片づいてしまった印象でした。
原作は講談社文庫版で上下巻。それを2時間に落とし込もうとしたのが間違いだったのではないかと思いました。
ストーリーが駆け足だった感は否めず、掘り下げも浅過ぎたために、痛快さを抱けなかったのではないかなぁ、と…
連続ドラマだとじっくり描けたはずなので、もしかしたら、池井戸作品は映画化に向いていないのかもしれない。
[余談1]
長瀬智也の雰囲気が爽やか過ぎて、中小企業の社長に全く見えないのも難点。泥臭さが無い。なんとなく、地べたを這い擦り回っている感じを受けませんでした。
[余談2]
キャストの殆どが「相棒」シリーズや「日曜劇場」などで放送されて来た池井戸潤原作連ドラへの出演経験者で占められていました。観ていて不思議な安心感がありました。
※修正(2023/06/14)
浅く薄い
ダメだと分かっていても、どうしてもドラマ版と比べてしまう。原作を読んでいないから、「ここは映画のほうが原作に近いよ」という場面もあるだろうけど、ドラマ版がそれなりにきちんとしていたから、映画はなかなか駄作だと思ってしまった。
・ディーン・フジオカの演技が見ていられない。「アホか」(クソが、だっけ?)…完全に棒読みやん。
・宮さんが赤松社長に寄り添ってないところが悲しい。
・榎木の癖のある喋り方、どうしてそうなった
・榎木と井崎が元恋人って、どうしてそうなった
・池井戸潤の原作を2時間に収めようってんだからそりゃ無理があると思う。登場人物多すぎて大混乱。豪華なキャスト集めればいいってもんじゃないと思う。
・高橋一生、メインの中の一人だったはずなのに、登場シーン少なすぎ。。。
・映画ならではの壮大さとかが皆無
唯一、沢田と奥さんのシーンが出てこなかったのが良かった。ドラマ版で本上まなみさんが演じていたこの役、甘ったるいしなんか浮いてて嫌いだったから。
何も残さず走り抜けてった映画でした。
名門を汚すのはリコールじゃない、不正なんだよ
映画「空飛ぶタイヤ」(本木克英監督)から。
ストーリーは、予想通りの展開だったので、驚きはなかった。
テーマの1つである、大企業によるリコール隠しの現実が、
浮き彫りにされたけど、主役は誰?と思うような場面も。(汗)
そんな中、大きな組織であればこそのセリフが面白かった。
「誰が書いたかわからない書類は握りつぶされるでしょう、
それがウチの社風です。発信する前にはまず名前を名乗る」
「君にとってベスト職場と言うのはどういうものだろうか?」
「ベストかどうかを言っても仕方ないと思いますが、
会社には戦略がありそれに沿った組織作りがあるわけですから」
「私どもの組織と言うのは、若干一般には理解しづらい部分もありまして、
正直いつ調整がつくのかわからないところがあります」
「澤田課長がどんな素晴らしい企画を立てても、
現場で通すのは不可能です。企画の中身ではなく、政治的な判断で」など、
大きな組織になればなるほど、あり得そうな会話だな、とメモをした。
そして、大企業のリコール隠しを捜査した刑事が、狩野常務に向かって、
取調室で言い放つセリフが、面白かった。
「ホープ自動車っていや名門企業じゃねえか。
名門を汚すのはリコールじゃない、不正なんだよ」
そうそう、今回の作品は、このワンフレーズに尽きるな。
きっとリアルにある話
空飛ぶタイヤ。題名からして勝手に
飛行機を飛ばすお話だと勝手に思い込んでました。
ですが、冒頭からすでに違い、完全に自動車整備工場のお話でした。
タイヤの不備からくる事件について、社長が真相を追っていくお話でした。
実際にこういった隠ぺい問題はたくさんあるだろうなと思いました。
次々と進む展開にとても見やすくてよかったです。
長瀬智也さんかっこいいですね、年取ってもしぶくてかっこいい。
好きな池井戸潤作品の1つ
過去のドラマ化の時点から気になっていたが、映画で初めてストーリーを見た。
大企業の組織体制や世の中の力の流れが、分かる作品。
自身も大企業に働いているが、同様のケースは良くあると思う。正しいことが正しい訳ではなく、偉い人が正しい。それが会社だと思うが、この映画の様な世になれば、もっと生きやすいと感じさせられた。
闘う企業戦士たちが起こす奇跡と、讃歌。熱き池井戸ヒューマン・エンターテイメントにしびれろ!
TVドラマでは度々映像化され好評を博している池井戸潤作品だが、意外にも映画化は本作が初めて。
正直池井戸作品の映像化は記録的高視聴率をマークした『半沢直樹』しか見てないが(久々にドハマったTVドラマ)、それでも多少はその面白さを知ってるつもり。『陸王』も今大評判の『下町ロケット』も面白そう。
なので、本作も非常に楽しみにしていた。
もし地元の映画館で上映してたら、何の躊躇も無く観に行ってた事だろう。
池井戸作品で一貫して描かれるのは、中小企業戦士の闘い。
企業の構図とか、殊に本作の場合自動車業界の専門的な用語も飛び交い、全く小難しくないとは言えないが、それも分かり易く描写。
とにかく、話が本当に面白い!
片時も飽きず、グイグイ引き込まれた!
トラックの脱輪事故が起き、子連れの若い母親が命を落とした。
事故の原因は整備不良とされ、運送会社社長・赤松は世間からバッシングを浴びる…。
もし実際にこのような事故が起きたら、我々は、報じられたニュースをそのまま信用するだろう。
全て悪いのはこの運送会社。人殺しの会社…。
ネット上では悪口や悪質な書き込みが生き甲斐の輩の誹謗中傷の超大型台風…。
でも…
本当に否があるのはこの運送会社なのか…?
本当に原因は整備不良なのか…?
赤松運送では、整備には何の落ち度も無い。寧ろ、チェックは完璧以上。
では、何故…?
事故原因に納得いかない赤松は、独自に調査を始める。
すると、以前にも他県で似た事故が起きていた事を突き止める。
しかも、製造元は同じ大手自動車メーカー、ホープ自動車。
整備不良という事故原因を下したのもこの大会社。
赤松はホープ自動車に再調査を依頼するが、門前払い。
何か、ある…。
赤松の前に立ちはだかったのは、販売部課長・沢田。
組織人で、野心家。
てっきり沢田が『半沢直樹』で言う所の香川照之の役回りかと思ったら、違った。
沢田も事故原因を不審に思い、会社内のつてを頼り、調べ始める。
そして浮かび上がる大企業の闇の数々…。
事故原因は運送会社の整備不良ではなく、ホープ自動車側の構造上の欠陥。
それを認知しながらも隠蔽した、“T会議”なる上層部の秘密会議。
大会社のリコール隠しが全ての原因であった…!
立場の違う男二人が各々の正義を貫き、大企業の闇に立ち向かう。
対立し合うが、お互いにとって本当の敵ではない。
本当の敵は…。
リコール隠しを突き止め、間もなく週刊誌にも掲載される。
やっと、真実が…!
ところが…
敵は強大なる大企業。
たかだか中小企業の人間や内部の一人の力で敵う相手ではない。
沢田は今回の件を外れる代わりに望みの部へ異動。
赤松と補償金で済ませるよう対処もさせられる。
一方の赤松は…。
“人殺しの会社”に仕事は回って来ない。
銀行から融資の断り。それ所か、返済要求。
遺族側から裁判の訴え。
経営危機どころではない。絶体絶命、崖っぷち、万事休す…。
先代であった父から会社を引き継いだ赤松。
俺は社長の器じゃない…。
それでも、会社と社員とその家族を守る為に闘うと誓った。
それなのに…。
赤松の心を何よりも深く突き刺したのは、遺族の夫の悲痛な叫びだろう。
何でウチなんだ。
妻が何か悪い事でもしたのか。
それでも人間か。
人一人が死んだんだ。
そう、人一人が死んだんだ。
それなのに、どいつもこいつも大事なのは、保身。
本当に分かっているのか…?
人一人が死んだんだという事が。
大企業は必ずそれを認めない。
認めない所か、何事も無かったかのように知らぬ存ぜぬ。
こっちに否は一切無く、全て悪いのは末端。
大企業よ、愛する人を失った遺族の悲痛の声に、責任を丸投げされた末端の苦しみの声に、耳を傾け、聞け。
何度も何度も窮地に追い込まれながらも、赤松は諦めない。
守ると誓った会社の為に。社員の為に。家族の為に。
亡くなった被害者や遺族の悲しみと無念を晴らす為に。
汗水垂らし、靴底を減らし、頭を下げ続ける赤松。
その姿を嘲笑する奴は、人間じゃねぇ。
こんな人間臭い社長になら、ついていきたいと心から思わせる。
そう思わせる大企業の社長が、一体何人居るだろう。
勿論、居るのは居るだろう。
が、これが大企業と中小企業の違い。
背水の陣で挑んだ闘い。
到底一人では無理。
決心の覚悟で挑めば、必ず味方は現れる。
絶対無いと思われていた不正の決定的証拠を託され…。
同じ思いの者たちを信じる。
一人が諦めず立ち向かい続ければ…。
今度こそ。
きっと、届く筈だ。
俺たちの闘いと正義と信念が。
そして遂にやっと、奇跡が起きた。いや、闘い続けた彼ら自身が奇跡を起こしたのだ。
苦闘は必ず報われる。
本当に胸のすく展開。
これが、池井戸作品の醍醐味。
中小企業戦士たちへの讃歌。
原作はもっと豊富なエピソードがあるらしく、原作既読者の間では賛否になってるようだが、原作未読者としては文句は何も無い。
テンポ良く、飽きさせず、見応えあり、コミカルな作品が多かった本木克英監督の演出も上々。
長瀬智也にこの熱い主人公はピッタリ。
組織人として、一人の人間として、葛藤するディーン・フジオカが好演。
この男二人が魅せる対立しながらも…の姿には男ならしびれる。
周りにも実力派が大勢。この人とこの人はあの作品やこの作品で…と思いながら見るのも楽しみ。
そんな中で一人、高橋一生の演技がちと拙かったなぁ…。
それから、先日発表された日本アカデミー賞ノミネートで長瀬の妻役・深田恭子が助演女優賞に挙がったが、そんなに印象や出番、あった…?
エンディングのサザンの主題歌。
よくよく聴けば何と言うか異色の歌なんだけど、何度か聴いていると味がある。
その昔、山崎豊子原作の社会派小説が多く映画化され、極上の骨太エンターテイメントとして今見ても非常に面白く、池井戸作品もそのように本作を皮切りにもっと映画化されて欲しい。
そう思わせてくれる、熱きヒューマン・エンターテイメント!
間もなく公開の『七つの会議』も楽しみだ。
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